スブチラーゼ

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スブチラーゼ

スブチラーゼ(サチラーゼ、サブチラーゼ、: subtilase)は、スブチリシンセリンプロテアーゼファミリーである。このファミリーのタンパク質は、トリプシン様セリンプロテアーゼと同様にAsp/Ser/His触媒三残基を有するが、それぞれ独立した収斂進化によるものであるようである。このファミリーのタンパク質の構造は、7本のストランドからなる平行βシート構造を含む、α/βフォールドである。

概要 Subtilase3 family, 識別子 ...
Subtilase3 family
Subtilisin Carlsbergと、ヒルの1種Hirudo medicinalis由来エラスターゼインヒビターであるEglin Cとの複合体構造[1]
識別子
略号 Peptidase_S8
Pfam PF00082
InterPro IPR000209
PROSITE PDOC00125
MEROPS S8
SCOP 1cse
SUPERFAMILY 1cse
CDD cd00306
Membranome 546
利用可能な蛋白質構造:
Pfam structures
PDB RCSB PDB; PDBe; PDBj
PDBsum structure summary
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スブチラーゼファミリー(スブチリシンファミリー)は、これまで特性解析されているセリンプロテアーゼのファミリーの中で2番目に大きなファミリーである。現在200種類以上のスブチラーゼが知られており、そのうち170種類以上で全アミノ酸配列が解明されている[2]。スブチラーゼは進化的に広く分布しており、真正細菌古細菌真核生物ウイルスに存在する[3]。ファミリーの大多数はエンドペプチダーゼであるが、エキソペプチダーゼトリペプチジルペプチダーゼも存在する[3][4]。スブチラーゼファミリーのいくつかのメンバーに関しては構造が決定されており、キモトリプシン類と同じ触媒三残基を利用するものの、残基の順序は異なる(キモトリプシンではHis/Asp/Ser、スブチリシンではAsp/His/Ser)ことが示されている。その他の点では、他のタンパク質との類似性は示されていない[3][4]。スブチラーゼの一部はモザイクタンパク質英語版である一方で、N末端やC末端に他のタンパク質との類似性が全くみられない延長部が存在するものもある[3]。配列相同性に基づいて、6つのサブファミリーへの下位分類が提唱されている[2]。前駆体タンパク質のプロセシングを行うエンドペプチダーゼであるケキシンフーリンや関連タンパク質は、ケキシンサブファミリー(S8B)と呼ばれる明確なサブファミリーを構成している。これらのタンパク質は、塩基性アミノ酸ペアのC末端側を選択的に切断する。このサブファミリーは、活性部位周辺のわずかに異なるモチーフによって同定される[3][4]。ケキシンサブファミリーのメンバーやTritirachium由来エンドペプチダーゼR、T、Kメタリジウム由来クチクラ分解酵素はチオール活性化を必要とするが、これは活性ヒスチジン残基近傍にシステイン残基が位置するためである[4]。スブチラーゼファミリーに属するウイルスタンパク質は、アメリカナマズに感染するIctalurid herpesvirus 1の56-kDaプロテアーゼが既知の唯一の例である[3]

セドリシン英語版は、スブチリシンと類似したフォールドを有するタンパク質分解酵素である。一方でセドリシンはスブチリシンよりもかなり大きく、成熟型触媒ドメインは375アミノ酸から構成される。これらの酵素を決定づける特徴は特有の触媒三残基Ser/Glu/Asp、そしてオキシアニオンホール英語版にアスパラギン酸残基が存在することである。このファミリーに関しては、Pseudomonas sp. 101由来セドリシンや好熱菌Bacillus sp. MN-32由来クマモリシン(kumamolisin)の高分解能結晶構造が解かれている。このファミリーに属するタンパク質をコードするヒト遺伝子CLN2英語版の変異は、致死的な神経変性疾患の原因となる[5]

出典

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