シャーラダー文字

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シャーラダー文字

シャーラダー文字(シャーラダーもじ、英語: Sharada scriptヒンディー語: शारदा लिपि シャールダー・リピ)は、カシミール地方一帯でかつて使われていた文字グプタ文字の系統のアブギダであり、左から右に書かれる。サンスクリットおよびカシミール語を記すのに用いる。

概要 シャーラダー文字, 類型: ...
シャーラダー文字
17-18世紀のシヴァ派の写本
類型: アブギダ
言語: サンスクリットカシミール語
時期: 9世紀頃-現在(絶滅に近い)
親の文字体系:
ブラーフミー文字
Unicode範囲: U+11180–U+111DF
ISO 15924 コード: Shrd
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号 (IPA) を含む場合があります。
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現在、カシミール語は主にペルシア文字で書かれ、シャーラダー文字の使用はホロスコープに限られている[1]

歴史

シャーラダーとはカシミール地方の女神で、サラスヴァティーの別名とされる。このため、カシミール地方は「シャーラダーの国」とも呼ばれる[2]

シャーラダー文字は8-9世紀ごろから刻文にあらわれる[3]。古い写本ではバクシャーリー写本が有名である。カシミール地方の外にも広く分布し、アフガニスタンにもシャーラダー文字で書いたサンスクリット碑文が存在する[4]

19世紀にシャーラダー文字で書かれた『新約聖書』がカルカッタで印刷されたことはあったが[3]、一般には手書きによってのみ伝わる。

シャーラダー文字からは、商人が使うランダー文字が発展した。16世紀にシク教のグル・アンガドがランダー文字をもとにグルムキー文字を作った。最近まで西部ヒマラヤで広く使われたタークリー文字もシャーラダー文字から発展してできた[5]

特徴

シャーラダー文字の基本的な構造は他のインド系の文字と同様である。デーヴァナーガリーと同様、多くの文字の上部に横棒がついており、i ī などの母音記号の書きかたもデーヴァナーガリーに似ている。

カシミール語は口蓋化子音や中舌母音など、他のインドの言語と異なる音声的特徴を持つが、シャーラダー文字はそれらの特徴を表すための文字を持っておらず、かならずしもカシミール語を表すのに適当ではない[1]

Unicode

Unicode バージョン 6.1 で、U+11180..U+111DF の領域がシャーラダー文字のために割り当てられた[6][7]

シャーラダー文字
 0123456789ABCDEF
U+1118x 𑆀 𑆁 𑆂 𑆃 𑆄 𑆅 𑆆 𑆇 𑆈 𑆉 𑆊 𑆋 𑆌 𑆍 𑆎 𑆏
U+1119x 𑆐 𑆑 𑆒 𑆓 𑆔 𑆕 𑆖 𑆗 𑆘 𑆙 𑆚 𑆛 𑆜 𑆝 𑆞 𑆟
U+111Ax 𑆠 𑆡 𑆢 𑆣 𑆤 𑆥 𑆦 𑆧 𑆨 𑆩 𑆪 𑆫 𑆬 𑆭 𑆮 𑆯
U+111Bx 𑆰 𑆱 𑆲 𑆳 𑆴 𑆵 𑆶 𑆷 𑆸 𑆹 𑆺 𑆻 𑆼 𑆽 𑆾 𑆿
U+111Cx 𑇀 𑇁  𑇂   𑇃  𑇄 𑇅 𑇆 𑇇 𑇈 𑇉 𑇊 𑇋 𑇌 𑇍
U+111Dx 𑇐 𑇑 𑇒 𑇓 𑇔 𑇕 𑇖 𑇗 𑇘 𑇙 𑇚 𑇛 𑇜 𑇝 𑇞 𑇟

脚注

参考文献

外部リンク

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