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言語学用語 ウィキペディアから
シニフィアン(仏: signifiant)とシニフィエ(仏: signifié)は、フェルディナン・ド・ソシュールによってはじめて定義された言語学の用語。また、それらの対のことを、シーニュ(仏: signe)と呼ぶ。
シニフィアンは、フランス語で動詞 signifier の現在分詞形で、「指すもの」「意味するもの」「表すもの」という意味を持つ。
それに対して、シニフィエは、同じ動詞の過去分詞形で、「指されるもの」「意味されているもの」「表されているもの」という意味を持つ。
日本語では、シニフィアンを「記号表現」や「能記」[1]、シニフィエを「記号内容」や「所記」などと訳すこともある[2]。「能記」「所記」は岩波書店版『一般言語学講義』の小林英夫による訳業であり、以降広く用いられたが、現在では用いられることは少ない。
日本語 | フランス語 | 英語 | 例 |
シニフィアン (記号表現、能記) |
signifiant | signifier | 「海」という文字や、「うみ」という音声 |
シニフィエ (記号内容、所記) |
signifié | signified | 海のイメージや、海という概念、ないしその意味内容 |
シニフィアンとは、語のもつ感覚的側面のことである。たとえば、海という言葉に関して言えば、「海」という文字や「うみ」という音声のことである。一方、シニフィエとは、このシニフィアンによって意味されたり表されたりする海のイメージや海という概念ないし意味内容のことである。そして、表裏一体となったシニフィアンとシニフィエの対が「シーニュ」(signe)すなわち「記号」である。
シニフィアンとシニフィエの関係(シニフィカシオン signification または記号表意作用)は、
ととらえることができる。
ゴットロープ・フレーゲの指摘にもあるように、シニフィエにあたる「意味」ないし「概念」は「指示対象」とは必ずしも一致しない。この意味において、「指示対象」はレフェラン(référent)と呼ばれ、シニフィエとは区別される。
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