サッパン・スックーン

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サッパン・スックーン[1]Zapam-zucún[2], Zapam Zucum[3])は、アルゼンチン北西部およびボリビア[1]チリ北端のアイマラ[3]ディアギータ英語版[4]のあいだに伝わる聖なるアルガロボ英語版の木(いわゆる「白イナゴマメ」/ホワイトキャロブを含む種類の総称[5])の女神、あるいは妖怪[1]

概説

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アルガロボの木(Prosopis alba 種)の「さや豆」

アイマラ族は、アルゼンチン北西部のラ・リオハ州や、ボリビア、チリ北部に分布するが、彼らの間では聖なる木とし崇められるのがアルガロボの木[3][注 1](訳では"キャロブ"や"イナゴマメ"を充てる[注 2])である。アルガロボの木は、その豆をパタイスペイン語版という菓子パンや[7]穀粉にしたり、数種類の飲み物[注 3]などに加工できる恵みの木である。

女性たちが畑で働いているあいだ、子供らはその樹木の陰で昼寝するが、その木に女神が宿っていれば、「サッパン……スックーン」という音がし、子供らはなぜか飢えを感じない[3]。肌の浅黒い[注 4](小麦色の[1])裸体の女性の姿で具現し、泣く子やそれを必要とする子に母乳を与える[1][9][3]。黒い長髪と黒い瞳の美女で、その手([1])だけは他の皮膚とちがって白く、その柔らかい手で葉っぱの揺りかごをこしらえ、眠らせる[3]。異様に巨大乳房をしており、女神が歩くたびにも「サッパン……スックーン」という音を立て、これが命名の由来である[1][3]

女神は、この木の守護者であり、聖なる木に斧を打ちつける音を聞きつけると、その者どもを容赦なくいずこかに連れ去る[3]。あるいは伐採者の子供が連れ去られるという[9]

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ビクーニャ

なおビクーニャを殺すとその家の子供を連れ去り返してくれないので、男性たちは間違ってビクーニャを殺さないよう細心の注意を払う[2][注 5]

サッパン・スックーンはやさしい妖怪とみなされることが多いが、邪悪で口汚い男たちに復讐心を燃やし、彼らを誘惑して窒息死させるという証言もある[9]。地域によっては、巨大な姿のサッパン・スックーンが畑仕事を勝手に休んだ男性を何人もおっぱいで捕え、どこかに連れ去ったという伝承もある[1]

またディアギタ英語版族(アルゼンチン北西部チリ小北部英語版に分布)の間でも色黒だが小さく白い手をした巨乳女性の伝承がみつかる[12]

脚注

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