グリコゲニン

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グリコゲニン

グリコゲニン: glycogenin)は、グルコースからグリコーゲンへの変換に関与する酵素である。グリコゲニンはグルコース分子の重合のプライマーとして作用し、最初の数個の分子の重合を担う。その後の重合反応は他の酵素に引き継がれる。37 kDaのサブユニットからなるホモ二量体で、グリコシルトランスフェラーゼに分類される。

概要 glycogenin glucosyltransferase, 識別子 ...
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この酵素は次の化学反応を触媒する。

UDP-α-D-グルコース + グリコゲニン is in equilibrium with UDP + α-D-グルコシルグリコゲニン

すなわち、この酵素の2つの基質はUDP-α-D-グルコースとグリコゲニンであり、2つの産物はUDPとα-D-グルコシルグリコゲニンである。

命名

この酵素はグリコシルトランスフェラーゼファミリー、特にヘキソシルトランスフェラーゼ(hexosyltransferase)に属する。この酵素の系統名はUDP-α-D-グルコース:グリコゲニン α-D-グルコシルトランスフェラーゼ(UDP-alpha-D-glucose:glycogenin alpha-D-glucosyltransferase)である。他の慣用名には次のようなものがある。

  • グリコゲニン
  • プライミンググルコシルトランスフェラーゼ(priming glucosyltransferase)
  • UDP-グルコース:グリコゲニン グルコシルトランスフェラーゼ

グリコゲニンはグリコーゲン合成の開始を担い、グリコーゲンシンターゼが引き継ぐ。

発見

グリコゲニンは1984年にWilliam Joseph Whelanによって発見された[2]

機能

肝臓筋肉でのグリコーゲン合成はUDP-グルコースによって開始されるが、グリコーゲンの重合の主要な酵素であるグリコーゲンシンターゼは、少なくとも3つのグルコース残基の鎖が存在しているときにのみ、付加を行うことができる。グリコゲニンはグリコーゲン合成のプライマーとして作用し、グルコースの付加も行うことができる。この反応は自身へのグルコースの付加(自己触媒)によって行われ、UDP-グルコースのグルコースをチロシン194番残基のヒドロキシル基に結合させる。さらにグリコゲニンのグルコシルトランスフェラーゼ活性によって、UDP-グルコースに由来するグルコースを7つ付加することができる。十分なグルコース残基が付加されると、グルコース鎖の伸長はグリコーゲンシンターゼに引き継がれる。このときもグリコゲニンはグリコーゲン分子の還元端に共有結合的に結合したままである。

構造

Thumb
グリコーゲンの二次元断面図。コアタンパク質であるグリコゲニンはグルコース単位からなる枝に囲まれている。球状複合体には約3万単位のグルコースが含まれている[3]

アイソザイム

ヒトでは、グリコゲニンには2つのアイソフォームが存在する。GYG1遺伝子にコードされるグリコゲニン1は筋肉で発現し、GYG2遺伝子にコードされるグリコゲニン2は肝臓と心筋で発現しているが、骨格筋では発現しない。グリコゲニン1の欠乏患者が見つかっており、筋細胞にグリコーゲンを貯蔵することができないため、筋力低下と心臓疾患が引き起こされる[4]

さらに見る glycogenin 1, 識別子 ...
glycogenin 1
識別子
略号 GYG1
他の略号 GYG
Entrez英語版 2992
HUGO 4699
OMIM 603942
RefSeq NM_004130
UniProt P46976
他のデータ
EC番号
(KEGG)
2.4.1.186
遺伝子座 Chr. 3 q24-q25.1
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glycogenin 2
識別子
略号 GYG2
Entrez英語版 8908
HUGO 4700
OMIM 300198
RefSeq NM_003918
UniProt O15488
他のデータ
EC番号
(KEGG)
2.4.1.186
遺伝子座 Chr. X p22.3
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出典

関連文献

外部リンク

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