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キュー・ボックス (cue box)とは、録音スタジオあるいは舞台において、演奏者等の手元で複数の入力からなる音源に対して個々にレベル調整可能な小型ミキサー付きのヘッドフォン・モニタリング・システムである。特にこの用途に特化した製品をキュー・ボックスと呼称する事が多く、ヘッドフォンを差してモニタリングする際に使用する子機の方を指してキュー・ボックスと呼称され、そのシステム自体はキュー・システムと呼称される。
音楽録音の歴史においてステレオ録音の発達にともない楽器ごとのセパレーションが重視されるようになり、スタジオ内で楽器同士の音が目的外のマイクに混ざらないように衝立を立てるような録音手法が一般化したときに演奏者同士がお互いの音を確認するためにヘッドフォンを用いるようになった。また、マルチトラック・レコーダーの普及により、オーバー・ダビングする際にそれまでとは異なったモニタリング環境が必要となり、既に録音されているトラックの音を聴きながら多重録音をする際にもキュー・システムが必要となってきて使われ始めた。
キュー・ボックス創生期にはミキシング・コンソールのマスター・アウトプットと同じ物が聴けるだけの装置で、現在でも一番簡略化されたキュー・システムは複数のトラックを持たない仕様になっている。大編成での録音の際などには各演奏者ごとに要求されるバランスが異なり、コントロール・ルームでのスタジオ向けモニタリング用のバランスをミュージシャン毎に個別に用意するにはコンソールの仕様が対応しきれないため、コンソールのBUS OUTあるいはAUX SENDからいくつかにまとめられた音声信号を送り、演奏者側の手元で各々必要なバランスにミキシングすることによって演奏時のモニタリング環境を向上させたシステム。
舞台においては演出上テープであるとかシーケンサーなどからの演奏以外のガイド信号を舞台上のスピーカーから出さずに(お客さんにガイド信号が聞こえてしまう為に)ミュージシャンに聞かせる必要にせまられ、スピーカーの替わりにヘッドフォンを用いるケースが多くなった。このときに録音同様演奏者が自分の好みのバランスをとれるように手元にキュー・ボックスを置くようになった。
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