4次元時空では、ガンマ行列は相対論的な場の理論に応用される。4次元時空ではガンマ行列は 4×4 行列で書ける。
基本的性質
4次元時空では
同士の積から生成される 24 = 16 個の元





が一次独立となる[注 2]。これらを
と表したとき、各
は
及び
を満たす。
16個の
が一次独立であることから、
を行列表現するには、少なくとも16個の成分を持つ4×4行列が必要となる。特に4×4行列による表現は既約表現であり、
と
を異なる4×4行列による表現の組とすると、正則行列
が存在し、
の関係が成り立つ。
また、
を4×4行列で表現した場合、任意の4×4行列
は、
と、
の一次結合で表すことができる。ここで、展開係数は
で与えられる。
カイラリティー
カイラリティー
は

によって定義される行列である。高次元時空における第5成分とは関係が無い。


の固有値は ±1 である。
固有値 +1 に属する部分空間を右手型 (right-handed, RH)、或いは右巻きと呼び、−1 を左手型 (left-handed, LH)、或いは左巻きと呼ぶ。
射影演算子

を定義すると、


によって、ディラックスピノル ψ を右手型、左手型の成分に分解できる。
文献によっては
の定義で符号が逆の場合もあるが、そのときも固有値+1が右手、−1が左手である。
ディラック表現
ディラック表現において、
、
、及び
は

となる。ここで
(j = 1, 2, 3) はパウリ行列、1, 0 はそれぞれ 2 次の単位行列、零行列である。
ディラック表現は次の直積表現[注 3]
に相当する。

カイラル(ワイル)表現
カイラル表現、或いはワイル表現において、
、
、および
は

となる。
カイラル表現では、
(カイラリティー)が対角化されており、射影演算子は

となる。つまり、左右の成分が上下2成分ずつに分かれた表示である。


カイラル表現は次の直積表現に相当する。

カイラル表現とディラック表現は次の相似変換で結ばれる。

マヨラナ表現
マヨラナ表現では、ガンマ行列は全て純虚数になるように選択される。具体的に
および
は

となる。
マヨラナ表現においてディラック方程式は実数で構成される。
マヨラナ表現は次の直積表現に相当する。

また、マヨラナ表現とディラック表現は次の相似変換で結ばれる。
