ガビアロスクス
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ガビアロスクス[2](学名:Gavialosuchus)は、ヨーロッパの下部中新統から化石が産出している、インドガビアル科に属する絶滅した属。本属に分類された G. eggenburgensis を除く他の種が異なる属に再分類されたため、1種のみが唯一認められている。
ガビアロスクス | |||||||||||||||||||||||||||
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![]() Gavialosuchus eggenburgensis の頭蓋骨 | |||||||||||||||||||||||||||
地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||
前期中新世[1] | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Gavialosuchus | |||||||||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||||||||
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特徴
ガビアロスクスのタイプ種である G. eggenburgensis はオーストリアのホーン地域で産出した保存の良い頭蓋骨に基づき、Toula and Kail (1885) で記載された。後鼻孔の形状はPenghusuchus paniのものに類似する。第三上顎骨歯の付近で吻部が拡大する点、上顎骨歯が最大16本と少ない点、前前頭骨や頬骨と比較して涙骨が大部分で前側に拡大する点、翼状骨の腹側面において鼻咽腔底と後鼻孔の境界がY字型の構造を形成しない点で、本種は他の多くの種から区別される[3]。
分類
要約
視点
アメリカ合衆国フロリダ州の上部中新統から下部更新統で産出した G. americanus やカリフォルニア州の上部漸新統で産出した G. carolinensis も本属の種として扱われていた[3]。
Myrick Jr. (2001) は、G. americanus を Tecachampsa antiqua のシノニムとすることを提唱し[4]、一方で Piras et al. (2007) は G. americanus と G. carolinensis の両方をテカチャンプサ属の別個の種として再分類することを提唱した[5]。Jouve et al. (2008) は G. carolinensis については議論を行わず、G. americanus をガビアロスクス属のまま扱い G. eggenburgensis の姉妹群とした。ただし、Jouve et al. の系統解析の内群に Thecachampsa antiqua は含まれていない[6]。Shan et al. (2009) は G. americanus と G. eggenburgensis が姉妹群ではないことを発見したが、 T. antiqua と G. carolinensis を系統解析に含めなかった[3]。Brochu and Storrs (2012) は4種全てを含むクロコダイル上科の系統解析を実行し、Piras et al. (2007) の提案を指示する比較的強い結果を得た[7]。Weems (2018) もまた、G. americanus と G. carolinensis をテカチャンプサ属の一部と見なす点で Piras et al. (2007) と Brochu & Storrs (2012) に同意している[8]。
以下は、骨格の期待比較研究に基づくクラドグラム。ガビアロスクスはマレーガビアルに近縁なトミストマ亜科の属として位置付けられている[9]。
クロコダイル科 |
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絶滅した分類群の形態学的研究に基づき、トミストマ亜科(現生のマレーガビアルを含む)は長くクロコダイル科に分類され、インドガビアル上科とは近縁でないと考えられていた[10]。しかし、後のDNAシークエンシングを用いた分子学的研究では、マレーガビアルおよびそれに近縁なトミストマ亜科の化石種が実際にはインドガビアル上科インドガビアル科に属することが一貫して示されていた[11][12][13][14][15][16][17]。以下のクラドグラムは、形態情報・分子情報・層序情報に基づいてガビアロクスをインドガビアル科に置いたものである[16]。
インドガビアル科 |
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出典
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