リウドルフィング家(ドイツ語: Liudolfinger, 英語: Liudolfings)は、中世ドイツにおいて国王および皇帝を務めたザクセン出身の諸侯の家系である。「オットー家」(Ottonen)、あるいは国王を世襲した家系としてザクセン朝と呼ばれる(同じザクセン朝と呼ばれたズップリンブルク家とは直接関係はない)。
概要
同家の始祖であるリウドルフ(? - 866年)は、東フランク王ルートヴィヒ2世により王国東部辺境の防衛を委託され[1]、844年ザクセン公とされた。リウドルフの後を継いだブルンは、880年にノルマン人との戦いで戦死したと伝えられている[1]。ザクセン最大の勢力を持つ貴族として、王家との姻戚関係を背景に次第に領土を拡大し、9世紀末には、ハルツ北辺の地を本拠に独立した勢力を築きあげた[2]。ブルンの弟であとを継いだオットー貴顕公は国王アルヌルフの側近として国政にも関与し[3]、カロリング朝断絶後にコンラディン家のコンラート1世を新たな東フランク王に推挙した[4]。オットーの後を継いだハインリヒ1世は、国王コンラート1世とは距離を置き、対スラヴ人、対ノルマン人の防衛を独力で行っている[5]。
国王コンラート1世には継嗣がなく、 918年、死の床でコンラート1世は、弟のフランケン公エーバーハルト3世に対して、王国の分裂を防ぐために有力諸侯ハインリヒ1世を王位後継者とするよう遺言し、919年5月ハインリヒ1世はフリッツラーにおいて国王に選出された[6][7]。以降、リウドルフィング家がザクセン朝として王位を世襲、ハインリヒ1世の子オットー1世からはイタリア王と皇帝を兼ね1024年にハインリヒ2世が没するまで続いた。
オットー1世は、947年にルイトポルト家のバイエルン大公ベルトルトが死去した際、同家の男性相続権者をすべて排除し、弟のハインリヒの妃が大公アルヌルフの娘ユーディトであることを奇貨としてハインリヒにバイエルン大公の地位を与えた[8][9]。以降、ハインリヒの孫の皇帝ハインリヒ2世が妃の弟ハインリヒ5世に授与するまで、バイエルン大公位は同家が保持した。また、シュヴァーベン大公位についても、949年にコンラディン家の大公ヘルマン1世が死去した際、ヘルマン1世の一人娘イーダの夫であった長子リウドルフに与えている[8][10]。一方、同家がもともと保持していたザクセンについては、936年以降東部辺境領の統治を委託していたビルング家に授けられている[11]。
1024年7月13日、皇帝ハインリヒ2世が嗣子なく没し、同家は断絶した[12]。オットー1世の娘リウトガルトの曾孫にあたる[13]ザーリアー家(シュパイアーガウ伯家)のコンラート2世が国王として即位し、ザーリアー朝を開いた。
歴代国王および皇帝
系図
リウドルフ | オーダ (ビルング家) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ブルン | オットー 貴顕公 | ヘートヴィヒ (フランケン公ハインリヒ娘) | リウトガルト =東フランク王ルートヴィヒ3世 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ブルノン家 | リウドルフ | ハーテブルク (メルゼブルク伯エルヴィン娘) | ハインリヒ1世 | マティルデ | オーダ 1=ロタリンギア王ツヴェンティボルト 2=メッツ伯ジェラール1世 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エッケハルト (?-936) | タンクマール | エドギタ | オットー 1世 | アーデルハルト | ハインリヒ1世 | ユーディト (バイエルン公アルヌルフ娘) | ブルーノ ケルン大司教 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エッケハルディン家 | コンラート ロートリンゲン公 | リウトガルト | リウドルフ | オットー 2世 | テオファヌ | ハインリヒ2世 | ギーゼラ (ブルグント王コンラート娘) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ザーリアー朝 | オットー 1世 兼バイエルン大公 | オットー 3世 | ハインリヒ2世 | クニグンデ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
- 凡例
脚注
参考文献
関連項目
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