インスリン リスプロ

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インスリン リスプロ

インスリン リスプロ(Insulin lispro)は、1型および2型糖尿病の治療に使用される超速効型インスリンの一種である[3]。ヒト型インスリンアミノ酸を一部入れ替えた構造をしている[4]。通常、食事の開始前後に[3]皮下注射またはインスリンポンプ英語版より注入する[3][5]。通常、30分以内に効果が現れ、5時間程度持続する[3]。多くの場合、NPH持効型のような作用時間の長いインスリンも必要とされ[3]、リスプロの一部をプロタミンと共に結晶化させて中間型化させた製剤も存在する[6][7]

概要 IUPAC命名法による物質名, 臨床データ ...
インスリン リスプロ
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PDB: 6NWV
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
Drugs.com monograph
MedlinePlus a697021
ライセンス EMA:リンクUS Daily Med:リンク
胎児危険度分類
    法的規制
    データベースID
    CAS番号
    133107-64-9 
    ATCコード A10AB04 (WHO) A10AD04 (WHO)
    PubChem CID: 16132438
    DrugBank DB00046 
    ChemSpider none 
    UNII GFX7QIS1II 
    KEGG D04477  
    別名 URLi, LY900014, LY-275585, insulin lispro-aabc
    化学的データ
    化学式
    C257H383N65O77S6
    分子量5,807.63 g·mol−1
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    2020年には血管拡張薬であるトレプロスチニル英語版を配合した新たな製剤が承認された[8]。注射部位の血流が増加する事で、リスプロの吸収がより速やかになり、効果発現までの時間が約6分短縮される[9]

    一般的な副作用は、低血糖である。その他の重篤な副作用として血中カリウム低下が挙げられる[3]。妊娠中および授乳中の使用は一般的に安全とされる[10]

    1996年に米国で初めて使用が承認された[3][11][12]。日本では2001年6月に承認された[13][14]。部分中間型化製剤(50%および75%)は2003年3月に承認された[14]。トレプロスチニル配合剤は2020年3月に承認された[8]

    プラスミドを導入した大腸菌により合成される[15]

    効能・効果

    1型および2型糖尿病の治療に使用される。速効型インスリンで経過良好な場合は、安易に切り替えるべきではない[3]

    禁忌

    以下の患者には禁忌である[15][6][7][16][11]

    • 低血糖症状を呈している患者
    • 製剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者

    副作用

    重大な副作用として、低血糖、アナフィラキシーショック、血管神経性浮腫が指定されている[15][6][7][16]

    主な副作用は、注射部位の皮膚刺激、低血糖低カリウム血症リポジストロフィー等である[11]

    作用機序

    組換えDNA技術によってインスリンB鎖C末端のリシンプロリン残基を逆順にしたものである。この修飾はインスリン様成長因子1を模倣したもので[17]、受容体との結合能を変化させないが、インスリンの二量体および六量体の形成を阻害する。これにより、食直後の注射で充分量の活性インスリン単量体を摂取できる様になった[18]

    プロタミン共結晶製剤はフェノール存在下で六量体を形成しているが、注射後ゆっくりと単量体化し[19]、中間型の様な血中濃度推移を示す。

    参考資料

    外部リンク

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