『イリーガル・テクニカ』は後藤リウ著、伊藤ベンイラストのライトノベルである。角川スニーカー文庫に収録。
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―――オーヴァーカウント〝定員上限〟。人類は、ある制限を設けられた。
一つの場所に一定数以上の人間が集まった時、突如天空が輝き、生きとし生ける者を一切合切突然焼き尽くす怪光現象「熾光・シアノライト」。あらゆる無知の恐れを知識の光で照らし、技術を無尽蔵に発展させ、物質文明の頂点に立って世界を支配していた人類は、突如自らに降り注いだ灼熱によってその総数を最盛期の約七割まで減少させていた。500人、それが人類に許された「限界」であった。「黄金時代・ミレニアム」。それはかつて人類がこの世界の王者であった時代。しかし劣悪な環境で生きる人々の中で、過去文明の技術を手中に収めた者たちがいた。
「テクニカ」。自らを賢者と呼び習わし、技術を支配するものたち。厳しい環境の世界において、テクニカの存在はなくてはならず、彼らこそはこの荒廃した世界の「王者」であった。彼らはテクニカとそうでないものを全く別の存在として区別し、テクニカでない者達に深くかかわらない。彼らは「賢者の秘都」と伝えられる伝説の地「ムネーメイオン」に住むとされているが、テクニカではない者達には全く正体が明かされない幻の地である。そして、そんな幻の地を目指して旅をする少年達がいた。
不毛の砂漠を、ムオーメイエンを目指して旅する華奢な少年、カイタ・セト。彼は親友のヴィンデ・シュテルクと共に、異様なほど巨大な輸送トレーラーを駆って砂漠を踏破していた。彼らはテクニカですら容易には敵に回せない巨大国家、アヴァロン帝国からの脱走者であり、彼らにはある「目的」があった。脱走者として追われながらも、果たさなければならない「使命」(タスク)。彼らはそれを達成するべく、困難な旅をすることとなる。
- カイタ・クロネッカ・セト
- 「ケルビム」を脱走しアヴァロン帝国に仕えた「破戒者(プロミシアス)」である、天才と呼ばれた賢者パーシヴァル・クロネッカを父に持つ青年。父親譲りの高い知恵を持つ。またアヴァロン帝国で一点もの(マスターピース)の「重装騎械 Wδ-01Naナトリウム」を駆る騎士で、その技量は帝国随一の騎士をも圧倒する。幼い頃に、パーシヴァルに「変異体(ミュート)」の実験台として扱われていたヴィンデと出会い、父の行いに疑問を感じる。その後父が暗殺され、彼の言葉「ムネーメイオンへ行け」の言葉に従い、ヴィンデと共に旅立つ。性格は常に冷静。他人に対し非情を装う露悪的な所があるが、根は善良なため人々に感情移入してしまう一面もある。
- ヴィンデ・シュテルク
- 人工的に造られた「変異体」。帝国に反抗する剽悍な部族の一員だったが、帝国に捉えられ人体実験の材料にされ、後天的な「変異体」となった。その境遇から救い出したカイタとは相棒にして良き理解者。戦闘においては尋常ならざる力量を発揮する一方、それ以外の時は自他ともに認める単細胞(考えているとすれば食べ物のこと)。帝国を嫌っているが、「変異体」に作り替えられたことは、カイタを守れるという理由から後悔はしていない。しかし、人よりも腹が減りやすいことが唯一の欠点らしい。変異体にされる過程で記憶を失っている。
- オウェイン・リース
- 帝国最強を謳われる騎士。「血のたてがみ(ブラッディメイン)」の異名を持つ。アヴァロン帝国の親王トリスタン・ノア・シーグレイヴの特命を受け、カイタたちを追っている。良くも悪くも騎士道精神旺盛で、曲がったことが大嫌い。正々堂々と勝負を挑むが毎回のようにカイタにあしらわれてしまう。しかし戦士としての実力は折り紙付きで、片腕を失った機体でカイタと互角に戦い、生身で「変異体」と渡り合うほど。
かつての黄金時代で使用されていたとみられる人型兵器。全高10mほどもある巨大な機動兵器であり、水素を燃料としたジェネレーターを動力源とする。いまでは新規に重装騎械を造ることなどとてもできず、復元修復によりかろうじて動かせる程度である。なお、重装騎械には量産機より高性能な「一点もの」(マスターピース)と呼ばれる上位機体がある。それらの機体は個性的なシルエットを持つだけでなく、武装面でも量産機には見られない装備を持っていることが多い。しかし、量産機にせよ、「一点もの」(マスターピース)にせよ、人数の「限界」が決められた世界においては一騎当千の戦闘力をもつ。また、作中には量産機をカスタマイズした機体も見られた。
- Wδ-01Na「ナトリウム」
- カイタが帝国の遺跡で発掘し、復元修復したのち持ち逃げした、一点ものの「重装騎械」。極限まで軽量化が図られ、ほかの重装騎械には真似できないアクロバティックな機動を可能としている。動力システムがほかの重装騎械と異なり、機体内部を循環する冷却水を水分解装置(ファラディ)で分解し生成した水素を燃料として使うことで、理論上無限の活動時間を有する。最も戦闘時は消費電力が供給電力を上回るため、通常機と同じくバッテリーが頼りとなる。背中の六対十二枚の翼のようなパーツはそれぞれが超音波刃を備えた剣であり、あらゆるものを切断する破壊力を持っている。長いほうが8m、短いほうが5mである。また、背中に装着したままでも翼の基部が回転しまるで第三の腕のように使用できるなどトリッキーな戦闘も可能。この超音波刃はもともと飛び道具として装備されたものであり、対象をロックオンし射出することができる。超音波刃への電力供給は剣本体に内蔵されたバッテリーにより行われる。機体色は純白。また金色で縁取られたこの機体の美しさはもはや芸術品の域である。全高12m。
- シルヴリントップ
- オウェイン・リースの愛機。純白の装甲に赤いたてがみが特徴。武器は西洋の騎士を思わせる長大なランスと盾。高い防御力と機動力を併せ持っており、総合的な戦闘力は非常に高い。必殺技はランスを使った突撃(チャージ)。単純だがそれ故に回避や防御は不可能に近く、その破壊力は「ミサイルの着弾に等しい」と評されるほど。
- サイマリオン
- 最も多く発掘されているポピュラーな機体。機動性は低いが、重装甲とハイパワーで敵を駆逐する。斧やバズーカ砲など武装はさまざま。操作性と信頼性も高く、アヴァロン帝国所属機を始め劇中では様々な勢力で活躍する。
- グレイ・ヘロン
- 序盤に登場し、劇中カイタが最初に操縦する機体。他の重装騎械と比べて小型な「ジェイナス・シリーズ」と呼ばれる機種であるらしい。
- ジェイナス・シリーズ最大の特徴は機械であることを生かした関節反転機構であり、人間を超えた可動域を使って攻撃することができる。
- この画期的な機能を駆使してカイタは帝国軍のサイマリオンを撃退することに成功した。
- ナイン・ライブス
- 帝国軍所属のレイフの愛機。ナトリウムに匹敵するほどの軽量高機動の機体で、尻尾のように束ねられた9本の鞭を武器としている。
- 他にもアタッチメントとして鉤爪を装着できる。
- サイマリオン改
- サイマリオンの改造機。腰部にスラスターを追加し、機動力の強化が図られている。
- スカーレット・アラクネー
- 帝国軍所有の機体。ほかの機体より一回り大きい。六本足など、蜘蛛を連想させる機体シルエットを持ち、武装も特殊。機動力も高い。
- パライソ・ベルデ
- アーケイディア所属の機体。ナトリウム以上の敏捷性を誇る。レイピアを主武装とする。
- ヤタ・クロウ
- アーケイディア所属の機体。ずんぐりしたボディに似合わず高い機動性を持つ。かつての東方の戦士「武士」を思わせる外観だとされる。
- 背中に背負った太刀が武器。
- スカルメール
- アーケイディア所属の機体で、アーケイディア最強の重装騎械。
- 堂々たる黄金の機体であり、その性能はかのシルヴリントップにも匹敵するという。背部に大型のバインダーを2つ装備しているが、これは取り外すことで
- 大型のシールドとなり、それが機体名の由来にもなっている。攻撃装備として剣を持つ。
- イリーガル・テクニカI さまよえる賢者
- イリーガル・テクニカII 賢者の条件
- イリーガル・テクニカIII 賢者の秘都
- イリーガル・テクニカIV とらわれの賢者
- イリーガル・テクニカV 賢者のゆくえ