ジャック・ウォマックの小説 ウィキペディアから
『アンビエント』(Ambient)は、ジャック・ウォマックの長篇小説。1987年発行。ウォマックによる「アンビエント」シリーズ(「ドライコ」シリーズとも呼ばれる)の第1作。日本では未訳。
アンビエント Ambient | ||
---|---|---|
著者 | ジャック・ウォマック | |
発行日 | 1987年 | |
発行元 | Weidenfeld & Nicolson(現在はGrove Press) | |
ジャンル | スペキュレーティブ・フィクション、ディストピア、風刺 | |
国 | ||
言語 | 英語 | |
形態 | ハードカバー、ペーパーバック | |
ページ数 | 259(Grove Press版ペーパーバック) | |
次作 | テラプレーン | |
コード | ISBN | |
|
21世紀前半のニューヨークを舞台とした小説。シリーズ全体の幕開けとして、経済危機、キリスト教の失墜、内戦により荒廃した世界で語り手たちが生きる様子が描かれる。
シリーズ中、もっとも登場人物の言葉遣いが多彩であり、英語の他にスペイン語、フランス語、パトワ、ラテン語、極端に省略された造語である業務語(bizspeak)などが入り混じる。特に、アンビエントという集団の人工言語は詩的かつ難解であり、ウォマックの特徴である言語へのこだわりが表れている。暴力描写の一部は、スラップスティックとも読めるように書かれている。
シリーズ6部作を時系列に並べると3番目にあたる作品。最初にあたる『ランダム・アクツ・オブ・センスレス・ヴァイオレンス』は1998年が舞台であり、その約13年後が想定されている。
ボディガードのオマリイは、いつものように雇い主のドライデンに同行してマンハッタンを動き回っていた。彼が属するドライコでは、死に満ちたビジネスと、混乱を増す一方の雇い主の行動が日常と化している。その日も無意味な殺害を命じられたオマリイは、ドライデンの愛人であるアヴァロンとの生活を夢見るようになる。
オマリイは、ドライデンから彼の父親である「親爺殿」の暗殺を命じられる。ビジネスをめぐって2人は対立し、相手の命を狙うまでに悪化していた。ドライデンは報酬として、莫大な財産とアヴァロンとの暮らしを約束する。アヴァロンはドライデンを信用しないが、オマリイは迷いつつも承知する。自宅へ帰ったオマリイは、姉のイーニッドから助言を受けたのち、ドライデンやアヴァロンと親爺殿の屋敷へ向かう。
オマリイは、親父殿を暗殺するための時限爆弾を仕掛ける。計画はうまく進むかに思われたが、意外なところで妨害が入り、オマリイとアヴァロンはマンハッタンを逃亡する。オマリイは逃亡生活を通して、アンビエントたちの儀式、親爺殿の権力の秘密、そしてドライコの機密技術を目の当たりにし、決断を迫られる。
以下は、シリーズ6作の記述をもとに本作品の出来事を年表にしたもの。特に1998年以降については、数年のずれが生じている可能性がある。ページ数は、Grove press版ペーパーバックによる。
シリーズ作品を時系列に沿って並べると、以下のようになる。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.