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空気アルミニウム電池(くうきアルミニウムでんち、Al-air batteries)とは、空気中の酸素をアルミニウムで反応させることによって電力を発生させる電池である。アルミニウム空気電池あるいは空気・アルミニウム電池とも呼称される。
空気アルミニウム電池は、あらゆる電池の中で最もエネルギー密度が高い方式の一つであり、実用化されている亜鉛空気電池を大きく上回る高体積エネルギー密度の電池である。また資源的にも豊富で安価であり、環境面でも優れているため、早急な実用化が期待されている[2]。
一方でコストや寿命、起動時間、副産物の除去などの問題であまり広く使われておらず、主に軍用に限られてしまっている。アルミニウム電池を載せた電気自動車は鉛蓄電池に比べ同じ重量で10 - 15倍の走行可能距離を持たせることができ[1]、実質的なコストはシステムの複雑さによるものである。
アルミニウム電池は一次電池、つまり充電できない形式であり、負極活物質であるアルミニウムは正極の酸素雰囲気下で反応して酸化アルミニウム (水酸化アルミニウム) として沈殿する。こうなると電池はもはや電気を発生しない。しかしながら、装置内のアルミニウムを補充することで機械的に「充電」することができる。そのアルミニウムは水酸化アルミニウムからリサイクルされる。アルミニウムのリサイクルはアルミニウム電池を広範囲に採用する際には欠かすことのできない要素である。
反応式から明らかなように、pHが高いほど、酸素圧が高いほど、さらにアルミン酸イオンが少ないほど電位差が大きくなるので、電解質溶液としては比較的濃厚な水酸化ナトリウムや水酸化カリウム のような強アルカリ溶液が使用される[4]。
約1.2ボルトの電位差がこれらの反応で形成される。これは電解質を水酸化カリウム水溶液とした場合である。塩化ナトリウムの場合、ほぼ0.7ボルトとなる。
アルミニウム電池を例えば電気自動車用として大規模に運用する場合、アルミニウムは使い捨てではなく回収した上でリサイクルする必要がある。
工業的に確立されているのはホール・エルー法であるが、アルミの発熱量は8.6kWh/kgに対し製造に必要なエネルギーは15〜18kWh/kgと莫大でエネルギー効率が非常に悪いほか、炭素電極が消耗し二酸化炭素が生じるといった課題が有る。こうした現状を解決するには空気アルミニウム電池を二次電池化し高い効率で水酸化アルミニウム/酸化アルミニウムを還元できる方法を開発する必要が有る。
以上のように実用化までの課題点は多いが、一方で初等教育の教材としての利用例が複数見られる[9][10][11]。
なお「炭電池」という用語も見られるが、本方式は活物質がアルミニウムである金属空気電池である。
本来の意味での空気電池の定義からはやや外れるが、粉末の金属アルミニウムから水素を発生させ、これを酸素と反応させることで発電する形式の小型燃料電池が提案されている[12]。直接メタノール形 (DMFC) と比べ発生させる水素に一酸化炭素を含まないため燃料電池陰極が汚染される心配がなく、装置の寿命をのばすことができる。室温で10W出力、電力密度280mW/cm2。
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