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『記憶鮮明』(きおくせんめい)は、日渡早紀による日本の漫画作品。および、表題作とする短編集の名前。
白泉社文庫版の著者後書きに依れば、転生や記憶にまつわる作品をまとめたシリーズである。ただし、同じ著者の『未来のうてな』、『GLOBAL GARDEN』は同様のテーマを採り上げているが、記憶鮮明シリーズには加えない。この差異を著者は「EPIAの存在有無」であるとしている。
作中に登場するEPIAは、日渡がデビュー前から構想を持っている未発表作品の中心的な舞台であり、そのストーリーの中から一部を切り出したものが『記憶鮮明』であり、シリーズに含まれる作品である。
発表されたシリーズ作品を物語内の時系列順で並べると、以下のようになる。
Parsley Morgan[1]15歳。映画好きであり、スリで生計を立てていた。
クローンたちの証言などから、名作映画はある程度おさえていた様子。
『記憶鮮明』の冒頭で爆破事件に巻き込まれて死亡する。
オリジナルのパセリ・モーガンが死ぬ直前に「犯人の顔を見た」と言い残したことから、手掛かりのまったくない爆破事件捜査のためアルフレッド・H・アーボガストの要請でEPIAが制作したクローンたち。
映画好きなところなどはオリジナルのパセリ・モーガンから引き継いでいるが、死後何分後に作られたかなどで記憶の鮮明度が異なるため、性格なども多少異なっている。
ある理由から、3人ともマリリン・モンローに嫌悪感を抱いている。
「記憶鮮明」の事件終了後は、3人ともアーボガストが身元を引き取り、共にニューヨークで暮らすようになる。「そして彼女は両目を塞ぐ」ではEPIAでの研修を受けたがイングリッドとオードリーは途中で止めたということが語られている。また、「そして彼女は両目を塞ぐ」では3人の髪形などに差異が現れている。
『記憶鮮明』(きおくせんめい)はシリーズの一作目であり、『花とゆめ』(白泉社)にて1984年11号から同年13号まで連載された。
20XX年。ニューヨークでは連続爆破事件が発生していた。目撃者無し、爆発物などの遺留品無しの難事件であったが、ただ一人だけ犯人を目撃したという言葉を残して死んだ少女パセリ・モーガンがいた。
パセリ・モーガンの目撃証言を取るために、刑事のアーボガストはEPIAに遺体からのクローン人間の製造を依頼する。しかし、クローンから得られた証言はいい加減なものだった。更に2人のクローン人間を製造させてみたものの、結果は同じ……むしろ悪化していた。パセリ・モーガンが事故に遭う直前に観た古い映画の内容と混ざった証言しか得られなかった。アーボガストはEPIAに怒鳴り込むものの、EPIAのレイモンド・ヴィジョン博士は記憶が失われているのは当然のことと意に介さない。
捜査協力のために、EPIAのESPセクションから、エスパーのジョジョ・シュミットが派遣されることになった。起爆装置や火薬類といった爆発物の遺留品が無いこと、犯人が目撃されていないこと、爆破された場所が全て「エスパーお断り」の看板を掲げていたことを理由に挙げ、ジョジョは事件の犯人がエスパーであることを主張した。アーボガストは、パセリ・モーガンの目撃証言を信じ、犯人が現場に居なかった=エスパー説を否定する。パセリ・モーガンの証言を不審に思ったジョジョは、クローン3人に面会に行くのだが、捜査のために製造されたクローン人間が過去の例では「処分」されたことを話してしまい、クローン3人の中のイングリッドとオードリーは逃走、最後に製造されたエリザベス(リズ)だけが捜査に協力すると残った。
リズの思い出す内容は映画のシーンばかり、行き詰まってたリズをジョジョは食事に連れ出す。途中で出会ったマリリン・モンロー似のメリンダやマリリン・モンローの看板に不快感を現すリズ。その頃、犯人からニューヨーク市警に犯行予告の電話がかかってくる。逆探知に成功し電話の発信場所に警官隊が駆けつけたものの、犯人は警官隊の目の前で瞬間移動を行い、逃亡した。また、イングリッドとオードリーも自主的にニューヨーク市警に戻ってきていた。「脳裏でマリリン・モンローが嘲る」と。クローン3人に共通する「マリリン・モンロー」に、今度はジョジョがパセリ・モーガンは犯人を目撃していたことを主張する。犯人を捕まえたい、真実を知りたいというクローン3人の想いをアーボガストも認め、犯行予告のされたセントラル・パークでのライヴコンサート(エスパーお断り)の張り込みに参加する。
ライヴ開催中にクローン3人は「何か」を感じ、「あの向こうに犯人がいる」と瞬間移動した。そこにはマリリン・モンローが大きく描かれたTシャツを着た男が……
『そして彼女は両目を塞ぐ』(そしてかのじょはりょうめをふさぐ)は、『別冊花とゆめ』(白泉社)1985年春の号に掲載された。
爆破事件解決の後、クローン3人はESPの才能を認められ、EPIAの研修を受けた。イングリッドとオードリーは研修を途中で止めたが、エリザベス(リズ)だけは続けていた。ニューヨークのアーボガスト宅からボストンのEPIAまで通学するのも何だというので、リズはジョジョとの同居を決める。
仕事で帰宅できないジョジョを待つ寂しさに耐えきれなくなったリズはニューヨークへ帰ろうとするが、そこでナンシーに呼び止められナンシーと同居することになる。ナンシーはS級のエスパーであったがEPIAのESPセクションには勤めておらず、まだ自分がエスパーとは打ち明けていないが一般人の恋人マイケルがいた。
しばらくして、ニューヨークのホテルでマイケルの上司であるブライアンが刺殺死体として発見される。ホテルの監視カメラにはブライアンの宿泊する部屋に出入りしたコートを着てサングラスをした女の姿が映っていた。そして、ナンシーは自分がやったと凶器と犯行時に着ていたコート、サングラスといった証拠品と共にニューヨーク市警に出頭した。リズは犯行当日はナンシーといっしょに寝ていたと主張するが、瞬間移動もできるナンシーのアリバイにはならない。リズとジョジョはマイケルを訪れる。マイケルは何故ナンシーが捕まるのか困惑していた。どうして凶器やコートも無くなっているのか、ウィッグだけは残っているのに……と。そして、マイケルも警察に出頭する。
アーボガストの下、マイケルとナンシーとで事件現場の再現を行うが、ナンシーは「両手で襟を押さえて俯き加減に歩く」という目撃証言通りの行動が出来なかった。サングラスが大きくて落ちてしまうのだった。夢の中でサイコトランスファーを行いマイケルの犯行を知ったナンシーは、マイケルを救うために行動したのだった。
『CIBI-01のYA!YA!YA!』(チビゼロワンのヤヤヤ)は、『花とゆめEPO』(白泉社)1987年3月号と1988年7月号に掲載された。
キャサリンのヌードを何とか覗こうとするタツヤたちはソルの提案でCIBI-01を利用することにした。3人はキャサリンの命に係わるからとCIBI-01に入浴中のキャサリンを撮影することを命じた。それを聞いてたパメラがキャサリンに忠告。CIBI-01も自身の判断で、それは許されないことと認識した。CIBI-01からのブロードキャストを待ち受ける3人はレイモンドのシャワーシーンを目撃してしまう。その後、EPIA内で密かに自分のシャワーシーン写真が販売されていることを知ったレイモンドは……
懲りない3人は、今度は自分らがCIBIになることを思いつく。前回の写真販売で一儲けできたパメラが協力して、キャサリンの家のCIBI-01とパメラの家のCIBIを1日交換することになった。交換されたCIBIの中にはタツヤが入っている。目論見通りにキャサリンのナマ着替えを見ることができたタツヤは思わず鼻血を流し、今回の企みもレイモンドに発覚してしまう。
『花とゆめ』1997年15号から同年17号に連載された。また『別冊花とゆめ』2003年9月号に再掲されている。
『ぼくの地球を守って』の後日談。『ぼくの地球を守って』本編の2年後を描く[4]。なお、『ぼくの地球を守って』最終話は『偶然が残すもの』より未来の時系列となる。
薬師丸未来路はエスパーであったが、それ故に遺伝上の母親から疎まれ、京都の薬師丸家の養子となって育った。未来路は、養母であり代理母でもある薬師丸顕子に対して恋愛感情を抱いてしまい、それを整理するために東京で独り暮らしを始めた。
ある夜、マンションのベランダで物思いにふけりながら缶ビールを飲んでいた未来路だったが、缶ビールを取り落としてしまう。缶は下を歩いていた青年の頭に落下。外傷は無かったものの、青年は記憶を失っていた。青年の持っていたフロッピーディスクには謎のメッセージがあり、それに従って未来路と青年は行動する。次々と指定の行動を取って行ったが、深夜のビルの屋上から隣のビルの屋上に飛び移るといった常人(非エスパー)には実行できないような行動指示になっていく。最後に指定された東京タワーの特別展望台では女性が待っていた。女性は青年を「美音」と呼び、約束通りに1人で来なかった事、時間切れを責め、人質は死んだと告げた。
未来路はESPで女性に攻撃をしかけ、女性はESPの「シールド」で防御するも、未来路の余りの強力な力に成層圏まで吹き飛ばされる。成層圏から自由落下しながら、未来路の過去を接触テレパスで読んだ女性(パメラ)は自身も親に捨てられた子供であったこと、未来路が忌諱するESPの力の肯定、「未来路」という名前の肯定を告げる。
未来路はパメラの所属するEPIAへの招集に応えることをほのめかし、パメラを安全な場所にテレポートさせた。
この節の加筆が望まれています。 |
『花とゆめ』1999年9号に掲載された。
ヴァスは、人口1億のこの星の住人によくある記憶障害があり過去のことを覚えていなかったが、身分証もあり住民登録もされていたため、何一つ不自由なく暮らしていた。しかし、ヴァスは、ある夜から毎晩のように婚約者のある女性「ライカ」と恋に落ち、駆け落ちの約束をした夢を見る。駆け落ちを約束したホテルが実在することを知ったヴァスは、辺鄙な雪国にあるそのホテルを訪れた。
ホテルの支配人は、ヴァスの事は知らないが事情は良く知っており、「サザム」という名乗っていないヴァスの本名でさえも知っていた。そして、ヴァスはホテルで待っていた「ライカ」と名乗る女性と一夜を共にし、真実を打ち明けられる。
80年前におきた星間戦争で、かれらの母星シアも植民星も壊滅状態になった。母星シアからとても遠い移民星であったこの星は戦禍を免れたが、当時の住民はわずかに300人(その内、女性は100人以下)。彼らの選択した方法は、クローン人間の作成だった。当時の技術でクローン人間の肉体の作成は問題なく行えたが、記憶の再生には難があった。しかし、それを逆手にとって、状況を作り上げることでクローン人間たちは記憶が無いことを不思議にも思わず、生き延びるために誰もが必死に働くようになった。しかし、稀にオリジナルの人物の記憶の一部だけを思い出すクローン人間がいる。ヴァスのように。
「ライカ」もまた、オリジナルのライカから作られたクローン人間であり、ホテルを訪れてくる様々なサザムたちに説明を行う仕事を国から強制されていたのだった。
ヴァスは、他の多くのサザムたちがそうしたように絶望した。事情を知っているホテルの支配人から拳銃を渡されたヴァスは1人で雪の中へ出て行った。
翌朝、ホテルに戻ってきたヴァスは「ライカ」に拳銃を突きつける。
数日後、別の「サザム」がホテルを訪れてきたが、支配人は「サザム」が捜している「ライカ」が今はいないことを告げる。
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