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日本のヴィジュアル系ロックバンド ウィキペディアから
MALICE MIZER(マリスミゼル)は、日本のヴィジュアル系ロックバンド。1992年8月結成、2001年12月31日をもって活動休止。バンド名の由来は「悪意と悲劇」という意味を持つフランス語[3]。主な略称は「マリス」が用いられる。公式ファンクラブは「ma chérie」。
ほぼ同時期にメジャーデビューをしていたSHAZNA、FANATIC◇CRISIS、La'cryma Christiと共に「ヴィジュアル系四天王」とされていた[4]。
時期によって音楽性や世界観が非常に異なる。
発表された曲のいずれもオリコンランキングチャートの上位にランクイン[5]するヒットを飛ばし人気を博し順風満帆に思えたが、1998年12月にフロントマンであるヴォーカルのGacktが突如行方不明になる。ワイドショーやメディアでは「雲隠れ」と報道された。理由は後にGacktが「メディア出演では僕の出番が増える度に孤立していった。メンバーが『Gackt対4人』に分かれ、誰も仲介・フォローに入らなかった」「加入前に経験したお金の問題で、僕が犯した過去の失敗を繰り返さないように何回も話したが伝わらなかった」「最後のミーティングで、メンバー全員と事務所の社長から『お前とはもうやれない』と言われた。『どうやってGacktのいるMALICEを終わらせるか』という話になった時、『CDを出せばいい』と言われ、『ファンを舐めるな!』と一喝して出て行った」「お金の問題・自覚の違い・『やらなければいけない』という強迫観念が色々重なって悪循環になった。皆どこか病んでいたから仕方なかった」と語っている。しかし、「未だに僕の誇りであることには変わりはない。バンドとして色々表現していたことにプライドを持っているし、メンバーも非常に個性的だった」と複雑な心境を告白した[6]。
1999年1月にファンクラブ広報でGacktを除いたメンバーにより正式に脱退が発表された。さらに同年6月21日、ドラムのKamiが病気で急逝。その後、しばらく3人での活動となり、2000年7月にMALICE MIZER初期の頃よりライヴでのサポートや親交のあったKlahaが「白い肌に狂う愛と哀しみの輪舞」でサポートヴォーカリストとして参加。その後、同月に正式に3代目MALICE MIZERヴォーカリストとして加入。着実にCDのセールスを上げ、他方映画出演などの活動の幅を広げていたが、2001年12月に「各メンバーの自由な活動展開を」との考えから音楽活動を停止した。
2009年と、2010年から2年おきにManaとKöziにより「Deep Sanctuary」と銘打ったイベントが開催され、結成からのメンバー3人を中心としてMALICE MIZERの曲を演奏する機会が設けられている。
2011年にManaがGacktに脱退以来久しぶりに連絡をとり、他のメンバーと集まって食事会を開いた。20周年である2013年に新しい企画を行うためにメンバー・スタッフを交えてのミーティングを行い、具体的に計画も練り始めたが、Gackt側の都合で頓挫してしまった[7]。
2018年に結成25周年として「Deep Sanctuary VI」を行うにあたり歴代のヴォーカルであるtetsu、Gackt、Klahaにそれぞれ出演依頼を試みたが、いずれも出演には至らなかった。しかし、「au revoir」演奏の際ステージ後方のスクリーンにGacktを含めた二期当時のメンバー達の映像が流されたことで一部それが叶った形となった。
「ツインギターが2台のチェンバロを演じて、そこにフーガ・対位法をふんだんに取り入れた楽曲作り」[8]「『人間、きれいで美しいファンタジーな世界の裏にある毒・悪・醜いもの』とは何かを調べて、それらを見える形に具現化して、音で表現する」[9]「楽曲を活かす形で歌劇の様なストーリー性のある絢爛なライブを行う」[10]というコンセプトを持ち、楽曲・衣装・メイク・ステージセットにおいて独自の世界観を徹底した奇抜なパフォーマンスで知られた。そのため、「究極のヴィジュアル系」「総合芸術集団」などと巷で称され、TVやラジオ等のメディアにも精力的に出演し一部で社会現象を起こした。
ギターをやる場合、「チョーキング禁止」「それぞれ単音で弾いて、それが複雑に絡む構成にする」等、ギタリストが当たり前に行うことを禁止した[11]。また「ギターを弾くことに集中すると、返って動きに制限が出る。弾く以外にもできることがあるんじゃないか?」という思いから、ギターを弾かないで踊る曲を作ったり、オーケストラの音色を打ち込むためのプログラミングの勉強を始めた[12]。
楽曲の大きな特徴はクラシック音楽とロックを巧みに織り交ぜた点にある(メンバーの多くが幼少期にクラシック音楽に触れていたことによる)。Manaはチェンバロやパイプオルガン等の楽器の音色をギターの代わりに入れた曲を作っていく様にした[11]。
衣装は中世ヨーロッパのような特徴を織り交ぜたものが大半を占め、楽曲にもストーリー性を持たせ、ライブにおいてはそれに合わせた演劇的な要素を入れることで、世界観をより深く見せた。ライブハウスでの対バン形式のライブでは、開始時間が早いから集客が難しくても、世界観を重視し、舞台のセットを飾る時間を取るために「1番目にやらせてほしい」と頼んだ[13]。Mana・Köziはその方針に前向きだったが、Yu〜kiは演劇には興味を示しつつも踊りにはあまりやる気を示さず、Kamiはドラマーとしての立ち位置に悩み、初代ヴォーカルのTetsuはロックバンド指向の強い人物であったため、そういったパフォーマンスやメイクで活動を続けることに抵抗があり、脱退することとなった。それでも「面白いことをやっていこう」という思いで意思統一できた[14]。
制作クレジットでは、「作詞:○○」「作曲:××」と個人名での表記だが、実際は最終的なアレンジについてのメンバー間のやりとりが綿密に行われ、時にはデモテープに収録された段階の原曲とは全く違う楽曲が出来上がる場合もあった[15]。
楽曲の世界観を表現するため曲によっては白塗りのメイクをしている。メジャーデビュー期からはメンバー毎にイメージカラーが決まっており髪色や衣装、楽器に反映されているが、楽曲や時期によっては厳密に定まっていない。
二代目ヴォーカルにGacktが加入する際、Gackt自身はメンバーに「ステージで空を飛びたい」と語り、メンバーに対し強い意欲を見せ、これが加入決定の決め手になった。また、活動当時は電球を使わず蝋燭を照明として使用する、家具をロココ調で揃えていると公言するなど公私に渡ってバンドの世界観を徹底させていた。
ファンの俗称は「ミゼラー」、また三期からは「血族」という呼称が公式に使用され、メンバーとファンの双方を表す言葉となっている。
リーダーであるギターのManaはファンから「Mana様」の愛称で呼ばれ、表舞台では徹底して喋らない(トークイベントなどの際には、隣に「通訳」として人員を置き、「耳打ち」やジェスチャーによって通訳係の口から間接的に発言する)。
メジャーデビューと同時にメンバー毎にイメージカラーが出来たが、厳密なものではない。
イメージカラーは■ブラック。(活動停止後にソロ活動を始めたが現在は消息不明)
イメージカラーは■ブルーや■グリーン。(現在はMoi dix Moisにて活動中)
イメージカラーは■レッド。(現在はZIZにて活動中)
イメージカラーは■イエロー、■オレンジ[19]。(現在は継続的な音楽活動はしていない)
イメージカラーは■パープルや■ピンク。(加入前はKneuklid Romanceに所属)旧名:右狂(ウキョウ)および神村右狂(カミムラ ウキョウ)
(MALICE MIZER→MEGA8BALL→ZIGZO→nil ※脱退以降はノーメイクスタイル・本名の"高野哲"名義での活動となり、2012年よりZIGZOとしての活動を再開)
イメージカラーは■ブラック。別称:神威楽斗、Gackt.C(かむいがくと)(現在はソロ歌手、俳優、声優として活動中)
島田陽平 - 編曲家、ピアノ調律師。「Voyage」からメジャー活動期にキーボード、編曲で参加[22]。後にGacktソロ初期の編曲にも携わる(各クレジット参照)。
大場由香里 - コスチュームデザイナー。初期から衣装制作を担当(他に氷川きよし、THE ALFEE高見沢俊彦、DAIGO、D'espairsRayなども手掛ける)[23]。
Shuji(石井秀二) - 初代ローディ―を務めた。(現在はcali≠gari / GOATBEDで活動)[24]
KAMIJO - ローディーを務めた。(元LAREINE、現在はVersaillesで活動)[24] また、LAREINEの他メンバーもKAMIJOと同様にローディーをしていた。
発売日 | タイトル | 規格 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|
第1期 | |||||
1st | 1992年10月31日 | SANS LOGIQUE | デモテープ | 全4曲、1stライブにて配布 | |
2nd | 1993年4月5日 | SADNESS | 全1曲、初の大阪ライブにて配布 | ||
3rd | 1993年10月12日 | THE 1TH ANNIVERSARY | 全2曲、1周年記念ライブにて配布 | ||
第2期(インディーズ) | |||||
1st | 1995年12月10日 | 麗しき仮面の招待状 | マキシシングル | シークレットトラック収録 | |
2nd | 1996年10月10日 | ma chérie 〜愛しい君へ〜 | ファンクラブ開設記念シングル 特殊ブック仕様ジャケット | ||
第2期(メジャー) | |||||
1st | 1997年7月19日(初回盤) 1997年8月6日(通常盤) | ヴェル・エール 〜空白の瞬間の中で〜 | 8cmシングル | c/wの「COLOR ME BLOOD RED」はKöziがヴォーカル担当。 | |
2nd | 1997年12月3日 | au revoir | 初回クリスタルカードケース・ポストカード付 | ||
3rd | 1998年2月11日 | 月下の夜想曲 | 初回特殊紙仕様ジャケット | ||
4th | 1998年5月20日 | ILLUMINATI | 初回ミラージャケット | ||
5th | 1998年9月30日 | Le ciel 〜空白の彼方へ〜 | 初回限定スペシャルワイド・ジャケット | ||
第3期 | |||||
1st | 1999年11月3日 | 再会の血と薔薇 | マキシシングル | 特殊ブック仕様ジャケット
アナログピクチャー版限定3万枚同時発売 | |
2nd | 2000年5月31日 | 虚無の中での遊戯 | 特殊ブック仕様ジャケット | ||
3rd | 2000年7月26日 | 白い肌に狂う愛と哀しみの輪舞 | 特殊ブック仕様ジャケット | ||
4th | 2001年5月30日 | Gardenia | 初回スリーブケース・ステッカー付 | ||
5th | 2001年6月21日 | Beast of Blood | |||
6th | 2001年10月30日 | 真夜中に交わした約束〜薔薇の婚礼〜 | CD&DVDセット | ||
7th | 2001年11月30日 | Garnet〜禁断の園へ〜 | |||
発売日 | タイトル | 備考 | ||
---|---|---|---|---|
第1期 | ||||
1st | 1994年7月24日 | memoire | 初回版3000枚限定 | |
1994年12月24日 | memoire DX | ボーナストラック追加DX仕様 | ||
第2期 | ||||
1st | 1996年6月9日 | Voyage Sans retour | 初回5000枚予約限定販売 Box仕様 ブックレット付 | |
2nd | 1998年3月18日 | merveilles | 初回A5サイズ特殊ブック仕様ジャケット | |
2005年10月5日 | La Collection merveilles -L'édition Limitée- | CD+DVD豪華版オルゴール付 | ||
第3期 | ||||
1st | 2000年8月23日 | 薔薇の聖堂 | 初回A5サイズ特殊ブック仕様ジャケット | |
発売日 | タイトル | 備考 | |
---|---|---|---|
1st | 2004年10月1日 | La Collection des Singles -L'édition Limitée- | ベストBOX 5000セット限定販売 |
2006年7月19日 | La Collection des Singles | CD+DVD通常盤 | |
2nd | 2006年10月18日 | La meilleur selection de MALICE MIZER | ファン投票の結果により選曲 |
使用年 | 曲名 | タイアップ |
---|---|---|
1998年 | 月下の夜想曲 | TBS系『江川の食卓』エンディングテーマ |
ILLUMINATI | 読売テレビ・日本テレビ系『ダウンタウンDX』エンディングテーマ | |
2000年 | 虚無の中での遊戯 | 日本テレビ系『号外!!爆笑大問題』エンディングテーマ |
2001年 | 真夜中に交わした約束 | ギャガ配給映画『薔薇の婚礼〜真夜中に交わした約束〜』主題歌 |
2023年 | 月下の夜想曲 | テレビ東京系『ウイニング競馬』12月度エンディングテーマ |
地上波での音楽番組出演はあまり無かったが、一方で笑っていいとも!のテレフォンショッキングやハンマープライス、王様のブランチなどバラエティ番組にも出演している。(「とんねるずのハンマープライス」では「MALICE MIZERのメンバーが貴方の家を「マリスの館」にしてくれる権」を出品した。)
メジャーデビュー後間もなく「MALICE MIZER」単体にスポットを当てた特別番組があり、当初からメディアに強烈なインパクトを与えたバンドだったと言える。また、後に放映されたものも含め、MALICE MIZERの特別番組は全てDVDとして発売されている。
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