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デジタル機器用の近距離無線通信規格 ウィキペディアから
Bluetooth(ブルートゥース、ブルーツース)は、デジタル機器用の近距離無線通信規格の1つである。Bluetooth Basic Rate/Enhanced Data Rate (BR/EDR) と Bluetooth Low Energy (LE) から構成される[3]。
開発者 | Bluetooth Special Interest Group |
---|---|
分野 | Personal Area Network |
対応機器 |
|
物理的範囲 |
通常10 m (33 ft)未満、最大100 m (330 ft)まで Bluetooth 5.0: 40–400 m (100–1,000 ft)[1][2] |
ウェブサイト |
www |
数メートルから数十メートル程度の距離の情報機器間で、電波を使い簡易な情報のやりとりを行うのに使用される。
当初、エリクソン、インテル、IBM、ノキア、東芝の5社(プロモーター企業)によって策定された。その後マイクロソフト、モトローラ、3COM、ルーセント・テクノロジーの4社がプロモーター企業として加わった。現在[いつ?]は3COM、ルーセント・テクノロジーの2社が脱退し、Apple、およびノルディック・セミコンダクターが加わり、9社がプロモーター企業となっている。IEEEでの規格名は、IEEE 802.15.1である。
2.4 GHz帯を使用してPC(主にノートパソコン)等のマウス、キーボードをはじめ、携帯電話、PHS、スマートフォン、タブレットでの文字情報や音声情報といったデジタル情報の無線通信を比較的低速度で行う用途に採用されている。
Bluetooth BR/EDRは2.4 GHz帯を79の周波数チャネルに分け(LEは40)、利用する周波数をランダムに変える周波数ホッピングを行いながら、半径10 - 100m程度のBluetooth搭載機器と、最大3Mbps(HSは24 Mbps)で無線通信を行う。
当初は赤外線短距離通信であるIrDAの完全置換えという誤った認識で普及が試みられたが、使いにくさが強調され、普及の妨げとなった。しかしその後(赤外線通信と比較して)指向性の少ない、簡易なデジタル無線通信としての利便性が認識され、多様な分野で普及が進んでいる。
Bluetooth BR/EDRは、無線接続の状態を意識せずに常時接続したままでの使用状況に適している[3]。反対にIrDAは、意図して接続するのに適している。これらは互いを補完している。LE は短時間のバースト通信に最適化している[3]。
Bluetooth BR/EDR/LEと2.4 GHz帯の無線LAN (Wi-Fi) は、ISMバンドで周波数帯を共用する[3]。そのため相互干渉・混信が起こり、Bluetooth使用時に無線LANの速度が著しく低下するという問題が起こることもある。
また、USB3.0などの機器から出るノイズがBluetoothを含む2.4GHz帯の無線通信に干渉することも知られている[4]。
セキュリティに関しては、BR/EDR は SAFER+ 64bit もしくは 128bit を少し変更したアルゴリズムをキーの配送に使用し、E0 で暗号化できる。LE のポイント・ツー・ポイントとメッシュは AES 128bit が利用可能[5]。上位のアプリケーションレイヤーで独自の暗号化を施すことも可能。
Bluetooth Basic Rate/Enhanced Data Rate (BR/EDR) は、「Bluetoothクラシック」(Bluetooth Classic) と呼ばれることもある[6]。
名称はスウェーデンのエリクソン社の技術者がつけたものである。初めてノルウェーとデンマークを交渉により無血統合し、文化の橋渡しをしたデンマーク王、ハーラル・ブロタン・ゴームソン (Harald Blåtand Gormsen / Haraldr blátǫnn Gormsson) の歯に失活歯があり、それが青黒い灰色だったので「青歯王」と呼ばれたことに由来している[7][8]。つまり、「乱立する無線通信規格を統合したい」という願いが込められている。
Bluetooth のロゴは、北欧の長枝ルーン文字(イェリング墳墓群の石碑に見られる)でハーラル・ブロタンの頭文字のH (ᚼ) とB (ᛒ) を組み合わせたものに由来する[9][10]。
Bluetooth規格には以下のバージョンがある。普及バージョンである1.1以降においては、3.0以前、3.0+HS、4.0以降の3グループで通信方式が異なるため、各グループ内でのみ互換性を持っている。ただし、複数の通信方式を同時に実装することが可能であり、論理層の基本的な仕様は大きく変わらないため、統一的なユーザーインターフェイスでラップされ、一般利用者が非互換性を意識する必要が無いよう配慮された実装となっている場合が多い。
Bluetoothはその特性上、様々なデバイスでの通信に使用されるため、機器の種類ごとに策定されたプロトコルがあり、それらの使用方法をプロファイル (Profile) と呼び標準化している[25][リンク切れ]。 通信しようとする機器同士が同じプロファイルを持っている場合に限り、そのプロファイルの機能を利用した通信をおこなえる。 代表的なものに以下のプロファイルがあり、Bluetooth対応機種であっても利用する機器の双方が適切なプロファイルに対応している必要がある。
これらプロファイルのうち、DUN/FTP/HID/OPP/HSP/HFP/A2DP/AVRCPなどの使用頻度が高い。GAPやSDAPのような下位層のものは実装されていても意識されないことが多い。また、プロファイルによっては実装されていてもほとんど使われていないものもある。
同じプロファイルでもクライアント側とサーバー側の違いがあり、逆方向にも使えるとは限らない。DUNの場合を例にとると、本体になる側(PC・PDAなど)からモデムになる側(携帯電話・PHSなど)に対してBluetooth接続を要求する。つまり前者はクライアント (DUN-DT)、後者はサーバー (DUN-GW) であり、通常は片方の役割しか実装されていないため、役割を入れ替えて逆方向に使うことはできない。例えば、DUN-GWを実装しBluetoothモデムになれるスマートフォンがあったとして、これを本体として、DUN-GWを実装した他の携帯電話をモデムとしてダイヤルアップすることは通常できない。
プロファイルは、各機器がBluetoothを使って何ができるかを示したもので、機器同士の接続性が一目でわかるようになるものと期待された。しかし現実には、Bluetooth応用分野の拡大に伴って急激にプロファイルが増加したこともあり、以下のような問題が目立つ。
Bluetoothには、電波強度を規定したクラスという概念がある。各機器はいずれかのクラスに分類される。電波強度の差だけであり、両方が同じクラスである必要はない。
クラス | 出力 | 到達距離 |
---|---|---|
Class 1 | 100 mW | 100 m |
Class 2 | 2.5 mW | 10 m |
Class 3 | 1 mW | 1 m |
クラス | 出力 |
---|---|
Class 1 | 100 mW |
Class 1.5 | 10 mW |
Class 2 | 2.5 mW |
Class 3 | 1 mW |
Bluetooth機器を最初に使用する際には、接続相手を特定するため、ペアリング(ボンディング、組み合わせ)と呼ばれる操作が必要になる。ここでは、その一般的な手順を示す。
パスキー
Bluetooth LEでは、位置情報を発信するだけのビーコンのような単方向のアドバタイズ用途の場合、必ずしもペアリングする必要はない[26]。
Bluetoothは汎用インターフェイスであり、様々な機器に採用されている。以下にその一例を挙げる。
携帯電話やPHSの高機能化に伴い、携帯電話類同士や携帯電話類とBluetoothに対応したモバイル機器との間での情報の受け渡しに使われるようになっている。一部の携帯電話やPHS端末は、対応のPCやPDAとBluetoothで接続することで無線モデムにできる。
ワイヤレスヘッドセットでは中級品以下までBluetoothの採用が進んでいる。2008年の日本市場では、3キャリアがほぼ標準機能として採用していた。ソフトバンクモバイル向けでは3G機種のほとんどがBluetooth対応のためか普及率が高い。KDDI/沖縄セルラー電話(各auブランド)は2007年冬モデル以降の一部の「KCP+」採用機種に、NTTドコモは2008年秋冬の新コンセプトモデル以降に、積極的に採用している。Bluetoothの活用について携帯電話キャリア側からの目につく提案は、ミュージックプレーヤーとしての「音楽ケータイ」とワイヤレスヘッドホンを結ぶ機能であるというかたちがほとんどで、ファイル転送や車内ハンズフリー通話などについてカタログで大きく取り扱われるようにはなっていない。
スマートフォンに関しては、iPhoneや、Android OSを搭載している機種では概ね標準機能として採用されている。ただしiOSがサポートする標準BluetoothプロファイルはHFP/A2DP/HIDなどの一部に限定されており[27]、サードパーティー製のアプリケーションや周辺電子機器で自由に使用することはできず、SPPなどの非標準プロファイルを利用したデバイスを開発・製造するにはMFi認証プログラムへの参加が必要となる[28][29]。iOSバージョン5.0以降のCore BluetoothフレームワークによりBluetooth LEに対応し[30]、またiOS 13以降のCore Bluetooth ClassicによりGATT over BR/EDRに対応している[31]。Androidはバージョン2.0以降(Bluetooth LEについてはバージョン4.3以降)[32][33]でOS側の対応が始まった。また文字入力の補助のために、スマートフォンと一緒に持ち歩ける小型サイズのBluetooth接続キーボードが出回っている。また最近[いつ?]ではBluetoothを利用したテザリングができる機種が出てきている。Android搭載機では、Bluetoothマウスでの操作も可能である。iPhoneでは、iOS 13以降でBluetoothマウスに対応している[34]。iOS機器のAirDrop[35][36]や、Android機器のNearby Share[37]など、相手端末の探索には省電力のBluetoothを、ファイル転送には高速なWi-Fiを併用する機能もある。
なお、日本国内で発売された携帯電話で初めてBluetoothを搭載したのは、2001年にauから発売されたC413S(ソニー)である。ただし、この機種はA2DP/HSP/HFPプロファイルに対応しておらず、ヘッドセットを用いたハンズフリー通話には対応していなかった(Bluetooth搭載携帯電話・PCとの接続には対応しており、データのやりとりや後述の無線モデムとしての利用は可能だった)。
日本では2004年の道路交通法改正により、自動車の運転中に携帯電話・PHSを手に持って通話した場合の罰則が強化されたため、手に持たずに通話できるハンズフリー機能が注目されるようになった。
ハンズフリー・マイクロフォン機能としては、ヘッドセットやイヤホンマイクをイヤホンジャックに接続する安価なものが一般的であるが、事前に頭・耳にヘッドセット等を装備して、それと携帯電話等の間をコードで繋いだままでいなければならないなど煩雑であるため、無線により自動的にハンズフリー車載器(スピーカー・マイクは車内に装備)と接続してハンズフリー通話ができるBluetoothハンズフリー機器の開発や製品の輸入ライセンス販売が活発化した。
東京都をはじめとする一部の都道府県では、道路交通法第71条を根拠に公安委員会が定めた遵守事項として、イヤホンを付け運転することを(多くは条件付きであるが)禁じており、片耳だけのヘッドセットでも取締りの対象となる可能性がある。
サンバイザーに挟み込むような形状で使用するスピーカーフォンも登場している。
iPadやAndroid搭載タブレットのようなタブレット端末、Microsoft SurfaceのようなタブレットPCでも、Wi-FiやBluetoothを標準搭載している製品が多い。さらに一般的な従来型のノートPCなど、持ち運びのできる小型コンピュータ端末での採用も広がっている[38]。スマートフォン同様、Bluetooth規格の対応状況はハードウェアの世代およびそれぞれのOSによる。
パソコン・PDAなどのほかのコンピュータから、DUN (Dial-up Networking Profile) 機能を持つ携帯電話を無線モデムとして利用し、インターネットに接続することができる。日本では携帯電話会社がインターネット・プロバイダ契約を提供しており、別途独立したISPと契約しなくてもよいことが多い。W-CDMA網を用いたパケット通信、GSM網を用いたGPRS (General Packet Radio Service) 接続などが抽象化されて提供される。
パソコン・PDA側では通常のモデムの場合と違い、特別な初期化コマンドが必要となることもある。例えばソフトバンクモバイルの場合では、『+CGDCONT=1,"IP","softbank"』というものである。これらの設定を行うダイヤルアップ接続のセットアッププログラムが、携帯電話会社から供給されていることもある。
自動車メーカー各社も、自動車向けBluetoothハンズフリー通話装置の開発を行った。既にカーナビゲーション・システムが自動車の情報端末として確立していたため、Bluetoothはこれらカーナビに組み込まれることが多くなり、「Bluetooth対応純正カーナビ」が登場した。
このうち、KDDIの準筆頭株主のトヨタ自動車が最も積極的で、現在[いつ?]ではおもにトヨタのG-BOOK、日産のカーウイングス、ホンダのインターナビの3つの陣営に分かれている。
2023年現在、カロッツェリア(パイオニア カーエレクトロニクス事業部)やパナソニックなどサードパーティー製カーナビにも、Bluetooth接続機能が一部の機種に標準装備、またはオプションで用意されている。Bluetooth対応カーナビは、Bluetooth対応携帯電話とHFP/HSPで接続し、Bluetoothの設定などの操作はカーナビ画面、着信・発信時の操作はカーナビ画面・専用ボタン・自動着信/音声認識発信など、マイクは運転席の周辺、スピーカは車のカーステレオのものを流用している。
カーナビと携帯電話の連携は、単に携帯電話を発話・受話できることにとどまらず、各カーナビ陣営の運営するサーバーに収録された渋滞情報の取得やサーバーへの走行履歴の送信、カーナビに収録された店舗情報に収録されている電話番号に直接電話をかけることができるなどといった、より高度な利用法に進化している。 また、機種によってはBluetooth接続で携帯音楽プレーヤーに収録した音楽を操作・演奏することができ、両者がAVRCPのVer.1.3以上に対応していればカーナビ側に楽曲のタイトルなどを表示することもできる。また、PBAPに対応している場合は、スマートフォン・携帯電話などから電話帳情報をカーナビに読み込ませることもできる。
Bluetoothを利用できる音楽プレーヤーとして、ウォークマン、iPodなどのデジタルオーディオプレーヤー、Android、iPhoneなどのスマートフォンのような製品が見受けられるようになっている。
Bluetoothでワイヤレス再生する場合、A2DPの標準コーデックとして「Sub Band CODEC (SBC)」が使われることが多い。SBCは伝送環境の悪化に強く変換時の負荷も少ない反面、音質の劣化や再生時の遅延が起きやすい。そのため、標準以外の独自コーデックも採用する機種が増えている。CSR(後にクアルコムに買収)開発の「aptX」とそのハイレゾ対応版の「aptX HD」[39]および低遅延の「aptX LL (Low latency)」[40]、AppleのiPhoneやiPadで多く採用されている「AAC」、ソニー開発のハイレゾ対応「LDAC」[41][42]などの高音質・低遅延なコーデックを採用するようになっている。これらを利用して再生する際には音楽プレーヤーだけでなく、ヘッドフォンやヘッドセット、レシーバーなどもこれらのコーデックに対応した物が必要となる。
一般的にヘッドホンやイヤホンは、再生機器にプラグを差し込んで使う有線型であるが、Bluetoothにて音楽信号を伝送する無線型が普及してきている。2020年代現在ではスマートフォンの高価格モデルを中心に、3.5mmイヤホンジャックを搭載せずワイヤレス接続を前提とする機種も登場している。再生機器から伝送された音楽信号は、Bluetooth対応のヘッドホン・イヤホン側で処理が行われ、音楽として再生される。再生機器側と線がつながっていないため、取り回しがしやすく動きやすいという利便性がある。またヘッドホン・イヤホン側から再生機器側に対して、ワイヤレスで再生・停止・音量調整などを行う機能もある。欠点としては、バッテリーを搭載しているため定期的に充電が必要なことである(電池切れになると無線で再生できなくなる)。また低価格イヤホンに採用される標準コーデックであるSBCは設計の古さなどから音質的に劣り、高音質コーデック採用モデルは相応の価格上昇となる点もある。Bluetoothイヤホンは左右が線でつながっているものと、独立したもの(左右完全独立型)があり、他にも首掛け型や耳掛け型などがある。
産業界ではBluetoothを用いてパソコン、PDA、携帯電話等へデータ転送するRFIDタグリーダーやバーコードリーダーが広く用いられている。RFIDリーダーのうち、日立のミューチップなどのように2.45 GHz帯を用いるRFIDはBluetoothの搬送波と干渉するため、実装に対して特別な工夫が必要となる。
これらのリーダーはSPP (Serial Port Profile) を用いて接続するものが一般的である。
PCでBluetooth機器と通信する場合、内蔵または外付けのBluetoothアダプターを利用する方法があるが、オペレーティングシステム (OS) の対応状況を考慮する必要がある。
Windows XP SP2以降・Windows Server 2016以降では、Bluetoothワイヤレステクノロジーを標準サポートしている[43]。Windows 2000以前のOSやWindows Server 2012以前のOSは、標準でBluetoothをサポートしないが、マイクロソフト以外のBluetoothドライバーを利用できる可能性がある。Windowsが全くサポートしないプロファイルについても、マイクロソフト純正ドライバーを使用せずサードパーティー製のBluetoothドライバーをインストールすることで、プロファイルを使用できる可能性がある。
なお、Windowsは原則としてBluetooth 1.0に対応しない。マイクロソフトは、これについて「Bluetoothバージョン1.0の仕様には、WindowsがBluetoothワイヤレステクノロジーを十分にサポートするために必要な、いくつかの重要なアップデートが欠けていたため」と説明している[44]。また、High Speed (HS) は非推奨としていて、代わりにWi-Fi Directを使うことを推奨している[45]。
Windows のバージョン | Bluetooth のバージョン | 対応プロファイル |
---|---|---|
Windows 2000 以前 | サポートなし | |
Windows Server 2012 以前 | ||
Windows XP |
1.1〜2.0 BR・EDR |
|
Windows Vista | 1.1〜2.0 BR・EDR |
(サードパーティー実装のプロファイルに対応) |
Windows Vista |
1.1〜2.1 BR・EDR | |
Windows 7 | ||
Windows 8 | 1.1〜4.0 BR・EDR・LE | [要説明] |
Windows 8.1 | [要説明] | |
Windows 10 | 1.1〜5.0[48]BR・EDR・LE |
|
Windows Server 2016 |
Linuxの本体であるカーネルには各種のBluetoothコントローラーのドライバーが組み込まれている。実際に利用するためのツールは主だったデスクトップ向けディストリビューションで、BlueZパッケージなどの関連パッケージが用意されている。初期段階で組み込まれている場合もあり、また統合的なパッケージ管理ツールから、手軽にこれらを導入できることも多い。一般的に各種のGUI環境において、BluetoothについてのGUIツールが組み合わせられ、インジケーターなども提供される。BlueZなどはAndroidにも採用されており、Androidで利用できるプロファイルはLinuxでも利用可能で、A2DP, HFP/HSP, FTP, HID, RFCOMMなどを活用できる。ただし、プロファイルは対応していても、実際にそれを活用するソフトウェアが不足するような場合はある。
ディストリビューションの構成、バージョンによって、設定に手間がかかる場合もある。ただし、たとえば2011年10月現在のUbuntu 11.10では、Bluetooth対応は標準機能に近い位置づけで、Bluetooth機能の自動認識、デバイスドライバーの自動組み込みが行われる。また、Bluetooth機器の登録もウィザード機能で手軽に行えるようになっている。
実際の使い勝手も改良が進み、A2DP、HFP/HSP、内蔵音源、USB音源などの混在した音源デバイスを、個別のアプリケーションごと自由に切り替えることもできるほか、A2DPホスト機能によってスマートフォンで再生する音楽を、PCに繋いだスピーカーで鳴らすこともできるようになっている。
macOSでは、Mac OS X v10.2.8以降から、OS標準でBluetoothワイヤレステクノロジーをサポートしている。対応するプロファイルは、DUN・HID・SPP・OPP・FTP・SYNC[49]。更に、Bluetooth software 1.5にて、HCRP・HSPに対応する。OS X Mountain Lion (10.8) では、更にA2DPとAVRCPもサポートしている[50]。
Bluetooth Low Energyに関しては、セントラルロールはMac OS X Lion (10.7) 以降[51]、ペリフェラルロールはOS X Mavericks (10.9) 以降[52][53]で対応。
マイクロソフトのXboxシリーズの本体はBluetoothに対応しておらず、専用のワイヤレス技術を使用している[54]が、ヘッドセットやコントローラーなどの周辺機器はBluetooth接続にも対応している[55]。Xbox OneやXbox Series X/Sのワイヤレスコントローラーは、Windows/Android/iOSデバイスとBluetooth接続することができる[56]。
コンティニュア・ヘルス・アライアンスが標準的な接続方法としてBluetoothを採用しているため、多くの健康管理機器がBluetoothでの接続を実現している。
接続の容易さがBluetoothのメリットだが、セキュリティ脆弱性を突いた攻撃にさらされやすいというデメリットにもなりえる。Bluetoothの代表的な脆弱性としては、BlueBorne、KNOB (Key Negotiation Of Bluetooth)、BlueFrag、Apple Bleeeなどがある[65]。対策としては、Bluetoothを使用しない場合はOFFにする、Bluetoothデバイス名に個人情報を含めない、デバイスのファームウェアやOSのアップデートを実施して最新のセキュリティパッチを適用する、などがある[66]。
Bluetoothは、SAFER (暗号)とブロック暗号のアルゴリズムを修整することで、認証と暗号鍵の伝達の機密性を改善した。 Bluetoothの暗号鍵は、一般的にBluetooth PINによって生成され、通信する両方のデバイスに入力される。 この手順は、片方のデバイスが修正されたPINをもつと、変更される可能性がある(例:制限されたユーザーインターフェイスを持つヘッドセットやデバイスなど)。 ペアリングの間、E22アルゴリズムを用いて、初期化鍵やマスター鍵が生成される[67]。 E0(暗号)ストリーム暗号は、パケットを暗号化して、機密性を与え、共有化された暗号化機密、すなわち以前に生成されたリンク鍵やマスター鍵に基づいている。 データの送信の暗号化に使用されるこれらの暗号鍵は、Bluetooth PINに由来する。Bluetooth PINは、片方、もしくは双方のデバイスに保持される。
ブルートゥースの脆弱性の悪用について、2007年にアンドレアス・ベッカーが概要を報告した[68]。
2008年9月、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)は、組織向けの参考資料として「ブルートゥース・セキュリティ・ガイド(Guide to Bluetooth Security)」を発表した。 その資料では、Bluetoothのセキュリティ機能と、Bluetooth技術を効果的に保護する方法が説明されている。 Bluetoothには利点はあるが、DoS攻撃、盗聴、中間者攻撃、メッセージの改ざん、リソースの横領などの影響も受けやすい。 ユーザーと組織は、許容できるリスクのレベルを評価し、Bluetooth機器のライフサイクルにセキュリティを組み込む必要がある。 リスクを軽減するために、NISTの文書には、安全なBluetoothピコネット、ヘッドセット、スマートカードリーダーを作成・維持するためのガイドラインと、推奨事項を記載したセキュリティチェックリストが含まれている。
ブルートゥースv2.1(2007年に規格が決定され、消費者向けデバイスは2009年に初登場)は、ペアリングを含むBluetoothのセキュリティに大幅な変更を加えている。
Bluetoothの仕様で最小の射程は10mとされているが、製造業者などが改造した場合、射程に限界はない。射程が100mのデバイスも多く存在する。特殊なアンテナを用いることで、さらに射程を伸ばすことができる[69]。
Bluetoothには次のような脆弱性が存在する[70]。
攻撃者は、名前、サービス提供企業、MACアドレスなどが全く同じ"偽"のデバイスを作り出すことができる。ジャミング信号を送ることによって、Bluetooth接続に対してDoS攻撃をすることもできる[71] [72]。 犠牲者のデバイスを探すために、ウォードライビングを使うこともできる。リレーアタックも可能になる。プレスキーエントリー・メソッドを使用してPINを予測し、総当たり攻撃でPINをクラックすることもできる[73]。
ブルージャッキングとは、Bluetoothを使って、あるユーザーから、疑いを抱かれてない別のユーザに画像やメッセージを送信することである。 一般的な用途としては、ショートメッセージがある(例:「おまえはブルージャッキングされた!」)[74]。
最新のデバイスであっても、未承諾のペアリング要求を連続して送信することで、DoS攻撃が可能である。多くのシステムは接続要求のたびに通知を表示するため、性能の低いデバイスでは、他のすべてのアクティビティが中断されてしまい、DoS攻撃として作用する。
(詳しくはBlueborneを参照)
iOS(10より以前)、Android、Windowsなどが攻撃の対象になる。SDPプロトコルの脆弱性を利用する攻撃で、犠牲者がBluetoothがオンにしているだけで攻撃できる。パッチを適用すれば対策可能だが、残念ながら諸事情でパッチを適用できないAndroidデバイスも存在する[69]。パッチを適用できない場合、Bluetoothをオフにすることが対策となる[75]。
ソフトウェア無線 (SDR)は、パソコンの外付けの無線機である。SDRには、波長さえ合わせることができれば、電波をハッキングできるものも存在する[76]。 Bluetooth規格で扱う2.4GHz帯の電波を受信できるSDRならば、Bluetoothのハッキングもできてしまう[77]。
2004年6月にはS60搭載携帯電話でBluetoothを経由して感染するワーム(携帯電話ウイルス)「Cabir」が発見されている。なお、これがVodafone 702NKにも感染したとの報道があったが、その信憑性には疑義がもたれている(→Nokia 6630を参照)。
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
Bluetoothのマークは、Bluetooth SIGが商標登録(登録番号は第4477936号他)をしており、これらを製品に表示しようとする時はBluetooth SIGと契約しなければならない。
日本国内でBluetooth機器を利用するには、電波法に基づくいわゆる小電力無線局の一種、最大空中線電力 10 mWの小電力データ通信システムの無線局として技術基準適合証明を、更に電気通信事業者の回線に接続するものは電気通信事業法に基づく技術基準適合認定も受けたものでなければならない。これらの認証を受けた製品は技適マークが表示される。 技術基準適合証明を受けていない機器を使用することは不法無線局を開設したとして電波法第4条違反となり、第110条に規定する罰則の対象にもなる。 また、電波法令の技術基準には「一の筐体に収められており、容易に開けることができないこと」とされ、特殊ねじなどが用いられている。 電気通信事業者への回線接続については、技術基準適合認定が無いと電気通信事業法第52条により拒否されることがある。
2016年5月には電波法が改正[注 2]され、訪日外国人が持ち込んだBluetooth端末については、入国日から90日以内は適合表示無線設備とみなし免許不要局の一種として使用を認められる。 条件はロゴマークが明示してあることである[78][79]。
一方、輸入品については基準不適合設備に位置づけられ、製造業者、販売業者または輸入業者は他の無線局の運用を妨害したり、そのおそれが認められる場合に必要な措置を講ずるよう勧告される。 このため、技適マークが無い国外販売品や並行輸入品は、電波法違反の対象であるとして修理や不良対応などのサービスを受けられないことがある。
2.4 GHz帯は本来、無線通信以外の業務に用いられるISMバンドであり、電子レンジがこの周波数を使用するため動作中は強力な混信を受けるが、総務省告示周波数割当計画脚注に容認しなければならないとされている。 また、RFIDを利用した電子タグシステムの免許局・登録局やアマチュア無線にも割り当てられており、これらからの混信も容認しなければならず、逆に妨害を与えてはならないので使用中止を要求されたらこれに従わねばならない。 更に、Bluetooth機器と同等の小電力無線局として電子タグシステムの特定小電力無線局などがあり、これらは先に使用しているものが優先するが、実際には混信を完全に回避できるものではない。
混信等の優先度は、ISM機器 > 一次業務の局> 二次業務の局 > 免許不要局 であり、2.4 GHz帯においては次のとおりである。
電子レンジ > 一般用RFID(電子タグシステム)> アマチュア無線 > Bluetooth、小電力RFID、無線LAN、2.4 GHz帯デジタルコードレス電話、模型飛行機のラジコンなど
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