![cover image](https://wikiwandv2-19431.kxcdn.com/_next/image?url=https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f0/Delta-O-18_in_deep_sea_sediment-svg.svg/langja-640px-Delta-O-18_in_deep_sea_sediment-svg.svg.png&w=640&q=50)
10万年問題
ウィキペディア フリーな encyclopedia
10万年問題(英: 100 ka problem, 100 ky problem)とは、気候変動サイクルの原因を軌道強制(英語版)に求めるミランコビッチ仮説の難点として指摘されてきた問題である。過去80万年にわたって復元された温度の地質記録(英語版)と、地球軌道の変化に基づく日射量変動に齟齬があることをいう[1]。
![Thumb image](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f0/Delta-O-18_in_deep_sea_sediment-svg.svg/640px-Delta-O-18_in_deep_sea_sediment-svg.svg.png)
地球が受ける日射量は、地球軌道の周期変動によりおよそ2万1000年、4万年、10万年、40万年の周期性を持っている(ミランコビッチ・サイクル)。太陽エネルギー入射量のこのような変化は地球に気候変化をもたらしうるもので、特に氷期の開始時期と終了時期を決定する主要因だと考えられている。その氷期サイクルの周期は過去100万年にわたっておよそ10万年であった。ミランコビッチ・サイクルには軌道離心率の変動に由来する10万年の周期性が存在するものの、日射量変動に対する離心率の寄与はもともと小さく、歳差や赤道傾斜の1–2%にすぎない[2]。したがって氷期サイクルの周期に明確な説明を与えられないというのが10万年問題である。また関連して、過去120万年にわたる温度の地質記録に離心率由来の40万年周期が見られないことを「40万年問題」という[3]。
より古い時代には氷期の卓越周期は10万年ではなく4万1千年であった。約80万年前に起きた氷期周期レジームの移り変わりは中期更新世遷移(英語版)と呼ばれ、こちらも理由が明らかになっていない。近年の研究では、二酸化炭素の減少傾向と氷河によるレゴリスの除去を考慮に入れた数値シミュレーションでこの遷移が再現されている[4]。