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鳩カメラ
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鳩カメラ(はとカメラ)は、ドイツ人のユリウス・ノイブロンナー(英語版)が1907年に発明した写真の空中撮影技術である。彼は薬剤師で、医薬品の配達にも鳩を使っていた。伝書鳩にアルミの前部ハーネスを着せて、タイマー機能付きの軽いミニチュアカメラを取り付ける、というのが彼のアイデアだった。ドイツでははじめ特許が認められなかったが、ノイブロンナーが鳩を使って撮った写真が本物と確認されたため1908年12月にあらためて特許として認められた。ノイブロンナーは自分のやり方を本にして1909年のドレスデン国際写真連盟で発表したほか、1910年にフランフルト国際航空展やパリ航空ショーでは写真をポストカードにして販売した。
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かつては空中査察に鳩カメラを利用するなど軍事利用の可能性があると考えられていた。第一次世界大戦の戦場でテストを行うと、見込のありそうな結果が出たが、伝書鳩のための移動式の鳩小屋をどうするかという難問にぶつかった。大戦中に航空技術の完成度が急速に上がったため、鳩カメラに対する軍事方面からの関心はほぼ消えてしまい、ノイブロンナーも実験を放り出してしまった。しかし彼のアイデアは1930年代にスイスの時計職人の手によって短い間復活した。このときはドイツとフランスの軍部も関心を持ったと伝えられている。第二次世界大戦では大量の軍鳩が展開されたが、鳥による空中査察がどれだけ行われたかは不明である。アメリカ中央情報局(CIA)は、偵察のためバッテリー内蔵の鳩カメラを開発したが、その詳細についてはまだ機密指定が解除されていない。
鳩カメラには一定以上に小型で軽量のタイマー式カメラの製造と鳥類の訓練、操縦が必要であり、また同時にそれこそが難問でもある。写真が撮影されるタイミングを狙って鳩の位置や方向、スピードをコントロールする手段は限られるからである。2004年にイギリスBBCはごく小型のテレビカメラをハヤブサとオオタカに取りつけて実況中継を行った。今日では、研究者や、アーティスト、物好きな人たちが鳩カメラのように様々な動物にカメラを取り付けるクリッターカム(英語版)を利用している。