閾値電圧
ウィキペディア フリーな encyclopedia
閾値電圧(しきいちでんあつ、Vth、英語:Threshold voltage、スレッショルド電圧、スレッシュホールド電圧)とは、デジタル信号を H(もしくは 1)/L(もしくは 0)信号として検知するのに必要となるしきい値となる電位のことである。仕組みを簡単に言うと、トランジスタをスイッチングさせるのに必要な電圧である。
電界効果トランジスタ(FET)を例とすると、ソース-ドレイン間の伝導パスを形成するために印加されるゲート–ソース間電圧VGS (th)にかかる電圧の事である。このように、トランジスタを内蔵しているICが信号として認識するのに必要な信号グランド間の最低限電位など色んな場所で使用される。この電圧は、電力効率や信号を維持するためには、最も重要な数字である。
接合型電界効果トランジスタ(JFET)における閾値電圧は「ピンチオフ電圧」と呼ばれることもあるが、これは若干紛らわしい言い方である。なぜなら絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET)において「ピンチオフ」とは、ソース-ドレイン間バイアスが大きい場合の電流飽和挙動を示すチャネルピンチオフのことを指し、このとき電流はゼロでは無いためである。「ピンチオフ」とは違い「閾値電圧」と言う言葉には曖昧さは無く、他の電界効果トランジスタにおいても同じ考えを表している。
なお、MOS型のFET(MOSFET)の閾値電圧については、MOSダイオードの「エネルギーバンド図」の項を参照されたい。