開成会(かいせいかい)とは、開成学園(旧制共立学校、旧制東京開成中学校、開成高等学校)の出身者を正会員、教職員を特別会員とする同窓会組織。1930年(昭和5年)設立。
開成会は、教職員、保護者と共に学園運営の一翼を担い、現在会員数は約2万人を数える。また、職域別、地域別にも多種多様な開成会が置かれており、その社会的影響力は非常に大きいとされる。累計卒業者数はおよそ3万人。
開成会会則第3条(平成30年5月29日改正)によると、「本会は会員相互の親睦を図ると共に、母校の発展に協力することを目的とする。」とある。
必要に応じ地方に支部を置くことができる。支部を置くときは常任幹事会の議を経て会長の承認を受けなければならない。
—開成会会則 第2条第3項(平成30年5月29日改正)
日本国内地域
- 約120名(2019年)[1]。
- 開成生徒の父母からなる「開成ゆりの会」と交流を持つ。
日本国外地域
- 2003年の情報によれば、会員数は40名程度[2]、その当時は、口コミや新聞紙上が募集手段であった[2]。2019年現在、約60名[1]。
- 構成: 国連総会課長を務める現会長など。
- 約30名(2019年)[1]。
- 現会長・川上喜三郎は[3]、ロンドンで市職員や大学教授を務め、早稲田大学建築関係学科の同窓会「稲門建築会」にも所属する。
開成卒業生が個々で小規模の開成会を結成することがある。開成出身者が集えば自由に親睦会等を開催できる。1つの会が単独で集まるだけでなく、2つの会で講演、花火大会鑑賞などの合同開催もある。開成は中学・高校6学年全てにおいて5月の開成学園大運動会を学園最大の行事とし、開成出身者同士が出会った際の会話の端緒は、運動会の所属チームカラーのこととなりやすい[5]。開成会の集まりでも運動会の話が盛り上がる[6]。
信仰
- 宮村武夫主催。宮村が青梅キリスト教会牧師時代(1970年-1986年)に自宅で牧野直之[注釈 1]、榎本昌弘[注釈 2]と集まったのが最初。榎本は当時、キリスト教と開成に関する月刊の刊行物を発行した。宮村と高校同期の吉枝隆邦[注釈 3]によると、同期たちと高校卒業45年記念沖縄旅行で首里福音教会に宮村の話を聞きに行ったとき、かつてはあくまで聞く耳を持たなかった60代の「非クリスチャン」の同期たちが耳を傾けたという[7]。宮村が最終的な居住地として沖縄から移住した千葉県市川市の国府台病院で2019年に死去した後も、宮村が提唱した例会「ペン剣祈祷会」は3か月に1回開催されている。
省庁
ある現役官僚によると、開成はOB会を「毎年どの省でもやってる。」[8]。
- 岸田文雄主催[注釈 4]。永霞会(えいかかい)は、国会議員と官僚による開成会。設立趣旨は「開成魂を再確認し、日本の未来について研鑽を磨く場」。2017年9月14日に設立総会を開催、約300名が出席、安倍晋三総理大臣の側近北村滋、開成学園理事長・学園長丹呉泰健らの参加が確認されている[10]。2020年2月19日の第2回総会は、東京五輪・パラリンピック大会組織委事務総長武藤敏郎、北村滋らの参加が確認されている[11]。武藤は財務省開成会や金融開成会にも参加している。永霞会は岸田を総理大臣にする会だと見る向きもあるが、永霞会メンバーの国会議員井上信治は、国会議員のメンバーは9人だけであり、約550人の官僚メンバーは自民党総裁選投票ができないため、こうした憶測には困惑しているようだ[6]。(岸田は2021年自由民主党総裁選挙において当選し、第100代内閣総理大臣を務める。)井上は、「OBの政治家と官僚が国のために折に触れて協力し合えばいい」という胸中を語っている[12]。開成OB渡邉恒雄(読売新聞主筆)がこの会に関与し、岸田を総理にする思惑がある[注釈 5]という週刊誌報道もある[8]。また、安倍晋三側近の北村滋が果たして岸田派に鞍替えするかのように永霞会に参加するかどうかは注目されていたという[8]。菅義偉総理大臣が安倍政権の官房長官時代、菅の側近と言われる大臣が2人辞任した背景には、ポスト安倍を菅と岸田が争う構図で岸田寄りの官僚たちが動き、そのキーマンが警察官僚である開成会の北村滋であったのだという記事をデータ・マックスが掲載している[13]。
- 前身は「永田町開成会」といい、財務省を主として各省庁と合同で飲み会を開催し、その会が発展し「永霞会」が設立された[8]。
- 68名(2017年)[8]。著名なメンバーは、武藤敏郎(東京オリ・パラ組織委事務総長)、丹呉泰健など[8]。現役官僚時代の武藤敏郎が発足させ、当時もう1人だけであった省内開成OBに武藤が声をかけ、後に3人目が加わった[14]。
- 4名(2017年)[8]。著名なメンバーは、北村滋(主宰)[8]。北村は警察官僚出身の強面であるも開成時代は文学青年であった[16]。
- 武藤敏郎が日銀副総裁に就任したことを機に、元・日銀理事の田中洋樹たちが会を発展させた[14]。田中は武藤に日銀開成会代表役を依頼した[14]。黒田東彦総裁時代の日銀の相次ぐサプライズ政策に関する本意は、開成人脈内では共有されていたため、ある大臣は側近であった開成OBによってその情報を知り得ることができた[14]。
医療
- 桐和会開成会(医療法人社団 桐和会グループ)
- WOTA桐和会合同開成会
- 開成卒でWOTA株式会社役員の奥寺昇平と桐和会開成会の合同開成会。
- 2018年に第1回開催。大阪市立大学医学部皮膚科特任教授の橋本隆が主催。橋本は皮膚科開成会の会長、名誉会長を歴任。
職業
- 約400名(2019年)[1]。
- 法律家が経歴に「東大法曹会」などと共に掲載する場合がある。
- 会長は大橋正春(2020年現在)。
企業
- 勤続10年で転職した者や退職後20年経過した者でも参加が可能。
スポーツ・趣味・その他
- 元号「平成」の期間に卒業したOBを開成会の親睦会に呼び込むため、2017年に設立[28]。平成卒OBは、およそ12000人。
- 部活動OB会は、開成柔友会(柔道部OB会)、模型部開成会、那古会(開成水泳部卒業生有志)、開成学園排球部OB会、三美会(開成美術部OB会)、開成学園ラグビー部OB会、ひぐらし会(軟式庭球部OB会)、サッカー部OB会(機関誌は『蹴友』)、艇友会(ボート部OB会)、硬式野球部OB会、開成楽友会(開成学園音楽部OB会)など。
- 卒業年ごとクラスごとのOB会も独自に会名称を考案するなどして親睦会を開催していることがある。歌人・医師の斎藤茂吉もクラス会の「明治三十四年開成会」に参加していた[29]。三島由紀夫の伯父・橋健行は、茂吉のクラスメートであった。茂吉が東京帝大時代の恩師呉秀三について記した随筆『呉秀三先生』の中で橋健行が中学校の同窓生であることや茂吉より2年早く呉の門下生になったことが言及される[注釈 8]。三島の祖母・平岡夏子の弟・大屋敦は茂吉と開成同期。
注釈
牧師。元OMF宣教師・日本委員会総主事。著書に『パッション・フォー・ミッション(感謝と喜びと充実の人生への招き)』(2017年、イーグレープ)、『人間らしく生きる』(2020年、イーグレープ)がある。
キリスト新聞で長年働き、『開成とキリスト教』(1996年、榎本事務所)を出版。
岸田は卒業後早稲田大学に進学したので(岸田は3回の不合格で東大に行けなかったことを相当に挫折と思っているともいわれている。)、日本国内有数の学閥である同大学の同窓会「稲門会」からの誘いもある。岸田は外相時代、早稲田大学出身議員の同窓会「国会稲門会」重鎮森喜朗から次のように言われた。「きみが早稲田の出身であることを言わない心についてオレはわからないけれど、一年に一度の国会稲門会ぐらいは来たらどうだい。」[9]
岸田は開成高校野球部員であったが、子供の頃から広島東洋カープのファンである。
出典
『企業概況』第17巻(2003年、U.S. Japan Publication New York, Inc)、200頁。
「名門高校の校風と人脈 (223) 開成高校〈上〉」、『エコノミスト 2017年01月03・10日合併号』(毎日新聞社)、58-59頁。
『週刊ダイヤモンド 2016年11/19号』、32-35頁。
『グローバル教育を考える』(2016年、アルク教育総合研究所)
藤岡武雄『評伝斎藤茂吉』(1972年、桜楓社)、91頁。