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迫撃砲
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迫撃砲(はくげきほう、英: mortar、臼砲と同語)は、簡易な構造からなる火砲。高い射角をとることから砲弾は大きく湾曲した曲射弾道[注 1]を描く。
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少人数で運用でき操作も比較的簡便なため、砲兵ではなく歩兵の装備であることが一般的で、最前線の戦闘部隊にとっては数少ない間接照準による直協支援火器の一つである。
射程を犠牲にして砲口初速[注 2]を低く抑えることで、各部の必要強度を低減し全体を小型かつ軽量にできる。また、射撃時の反動を地面に吸収させる方式によるため駐退機や復座機といった反動制御機構を省略し、機構を簡素化することができる。多くは砲口装填式(前装式)のため閉鎖機も不要であり、同口径[注 3]の榴弾砲と比べ極めて軽量・コンパクトである。小中口径迫撃砲は分解して携行でき、120 mmクラスの重迫撃砲も小型車輌で牽引できるなど可搬性に優れる。
低い命中精度や短い射程といった短所もあるが、軽量で大きな破壊力をもち、速射性が高く、安価で生産性に優れるなど、多くの長所を有している。そのため、かつて師団砲兵の標準的な装備の一つであった105 - 122 mmクラスの榴弾砲が近年では120 mm迫撃砲に更新されつつあり、このことも本砲の有用性を示している。
本稿では、最も一般的な81 mm及び120 mmクラスの(自走式でない)迫撃砲を中心に、その他の迫撃砲、他の火砲との比較、更に古代の曲射弾道兵器から迫撃砲に至る発展の歴史などについても敷衍する。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d5/Shells_trajectory05.png/640px-Shells_trajectory05.png)
(1)対戦車砲(及び戦車砲)は徹甲弾等によって目標の装甲を貫徹することが主目的で、射角は水平に近く砲弾は低伸弾道をとる。また、(2)対空砲は「より高く」、(5)野砲・カノン砲(加農)は「より遠く」へ砲弾を到達させることが求められる。カノン砲や後述する榴弾砲の一般的な弾道は擲射弾道と呼ぶ。
(1)(2)(5)は射角が異なるだけで、いずれも砲弾を高初速で発射する"gun"、つまり広義のカノン砲に含まれ長砲身である。したがって、対戦車戦闘が可能な対空砲やカノン砲も存在し、特に現代の艦砲は遠距離砲戦をはじめ至近での水平射撃から対空戦闘まで幅広くカバーする。
これらと比べ、(3)迫撃砲(臼砲)の砲弾は大きく湾曲した曲射弾道を描き、砲口初速を低く抑えているため射程は短い。空気抵抗と安定翼の使用によって着弾時の角度は垂直に近くなる。
狭義の(4)榴弾砲はカノン砲に比べ短砲身・低初速で最大射程も短い。ただし、榴弾砲とカノン砲の定義は曖昧[注 4]で、現代では榴弾砲の長砲身化により野砲・カノン砲は消滅・統合され、(4)(5)ともに"howitzer"と名付けられる例が多い。
なお、対戦車砲・対空砲(機関砲を除く)は現在多くの軍隊でミサイルに代替されている。