肩関節唇
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肩関節唇(かたかんせつしん、英語: Glenoid labrum)は、肩甲骨の肩関節窩の縁に付着する構造物である。肩関節をボールとソケットに例えると、ソケット(肩甲骨の関節窩)は非常に浅く小さいもので、ボール(上腕骨頭)のせいぜい3分の1しか覆っていない[1]。関節窩の周囲にある肩関節唇によってソケットが深くなり、肩関節を安定させている[1][2][3]。肩関節唇はちょうどワッシャーおよびシールのような役割を果たしている[4]。
![Thumb image](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/ec/Gray328.png/220px-Gray328.png)
このような構造のため、肩関節は人体で最も広い可動域を持つ関節である半面、脱臼しやすい関節でもある[5]。脱臼を生じると関節を支持している組織が損傷し、不安定さが増すため再脱臼という悪循環を生じやすい[1]。
関節唇の組織学的構成については、線維組織であるという説と軟骨構造であるとする説がある[6]。あるいは、関節唇は高密度の線維組織からなり、関節窩表面と関節唇の間に狭い線維軟骨領域があるとする報告もある[7][8]。
関節唇基部は窩の周囲に固定されている。上方で上腕二頭筋長頭腱とつながっており、腱は2本の筋膜を出し関節唇の線維組織と一体となっている。肩関節唇の厚さは4mm程度で[4]、断面形態は三角形と円形が多いが、鋸歯状、扁平などの異型や、関節唇を欠く場合もある[9]。関節窩そのものの形態は、約50%が洋ナシ形、約30%が卵形、約20%がコンマ形と報告されている[10]。
![Thumb image](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d5/Glenoid_labrum._Schematic_drawing_of_the_transverse_section..jpg/640px-Glenoid_labrum._Schematic_drawing_of_the_transverse_section..jpg)