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確率という言葉には二つの意味合いがある。一つはある仮説の、それにまつわる判断材料から導かれる蓋然性のことであり、もう一つはサイコロやコインを投げることのような確率過程的なふるまいを指す。証拠法のような前者の研究は歴史的により古い一方で、サイコロの数学的取り扱いは1650年代にパスカルとフェルマーの著作で始まった。確率は統計学とは区別される(統計学の歴史参照)。統計学がデータやそれによる推測を取り扱うのに対し、(確率論的な)確率はデータやその結果の裏にある確率論的(ランダム)な過程を取り扱う。
確率を示す英語であるprobabilityやその元となるprobableや、他の現代の言語の同語源語はラテン語のprobabilisが由来であり、キケロに由来し、一般的に「もっともらしさ」あるいは 「一般的に認められること」を意味する意見に応用される[1]。その単語が数学的な意味を持ったのは1718年からである。18世紀にchanceという単語もまた"probability"の意味で数学的に使われていた(そして確率の学説はDoctrine of Chancesと呼ばれた)。この単語は結局ラテン語のcadentiaすなわち「落下」から来ている。英語の形容詞likelyはドイツ語に起源を有し, 最も信頼できるのは古ノルド語の単語であるlikligrから来たという説だ(古英語にはgeliclicという同じ意味の単語があった)。この単語は元々は「強そうだったり有能そうだったりする外見である」「似たような外見的質を持つ」という意味であり、「確率」の意味は14世紀後半に記録されている。 同じように、派生してできた名詞likelihoodは「類似性」の意味を持っている。しかし15世紀半ばから「確率」の意味でも使われるようになった。
古代と中世の証拠法は裁判で不確かな証拠をうまく扱うために証拠、確率、見込みそして確信が持てない証拠(英語: half-proof)の信憑性の等級化を促進した[2]。ルネサンス期には、賭け事は「十中八九」のようなオッズの観点から議論された。海事保険の保険料は直感的危険に基づいて見積もられるが、そうしてオッズや保険料を算出する方法の学説などは存在しなかった[3]。確率の数学的手法は、勝負が中止になってしまった際の運要素の強いゲームにおける賭け金の公平な分配の問題についてのフェルマーとパスカル (1654) の文通を通じて起こった。クリスティアーン・ホイヘンス (1657) はその主題に対して包括的に取り扱った[4][5]。
F. N. デイビッド(英語: F. N. David)の"Games, Gods and Gambling"(ISBN 978-0-85264-171-2)には以下のような記述がある。
ヤコブ・ベルヌーイのArs Conjectandi(死後、1713年)や アブラーム・ド・モアブルのThe Doctrine of Chances(1718年)は数学的基礎、広範囲の複雑な確率の計算の仕方を示しながら確率論にしっかりした基礎を築いた。ベルヌーイは基礎的な大数の法則の解釈を証明した。その解釈とは沢山の試行においては結果の平均値は予測された値に非常に近くなりそうだと述べるものである。たとえば、表裏の出る確率が同様に確からしいコインを1000回投げる試行において、表は500回近く出そうで、試行回数が増えれば増えるほど、割合は半分ずつに近づいていきそうだということである。
不確かなものを扱う際の確率論的手法の力は数回の観察によるカール・フリードリッヒ・ガウスのケレスの軌道の測定で示された。誤差論(英語: Theory of errors)は最小二乗法を誤りがちな観察を正すために使い、特に天文学の分野においては、エラーが正規分布するという前提のもと最も真の値でありそうなものを測定した。1812年には、ラプラスは彼が瞬間積率母関数や最小二乗法、帰納的確率論、仮説の検証といった確率や統計における多くの基礎的結果を統合し打ち立てた“Théorie analytique des probabilities”を出版した。19世紀の終わり頃に、多くの粒子がランダムに動くという観点から温度などのガスの特性を説明したルートヴィッヒ・ボルツマンとウィラード・ギブズの統計力学は、確率についての説明として大成功したと言えるものであった。確率の歴史の分野自体はアイザック・トドハンターの不朽のHistory of the Mathematical Theory of Probability from the Time of Pascal to that of Lagrange (1865) で確立された。
確率と統計はロナルド・フィッシャーとイェジ・ネイマンの仮説検定の作業を通して密接に繋がった。そして現在広く生物学や心理学の実験や薬の治験、経済学や他のすべての分野においても同様に応用されている。たとえばある薬がいつも効果的だという仮説は、もしそれが正しければ観察されるであろう確率分布を引き起こす。もし観察がおおよそ仮説に合致していれば仮説は裏付けられたことになり、もし合致していなければ仮説は棄却される[6]。確率過程論は マルコフ過程や、液体の中で浮遊する微粒子の不規則な動きであるブラウン運動のような領域の方へ広がった。そのことが株式市場における不規則な変動の研究のためのモデルを提供した。同時にオプション評価(英語: Valuation of options)のための広範に使用されるブラック-ショールズ方程式としての成功を含む金融工学における洗練された確率論のモデルの使用へ導いた[7]。20世紀にはまた確率解釈における長期にわたる論争があった。20世紀中盤には 頻度主義が支配的だった。そして確率が長期にわたる沢山の試行の相対的な頻度を意味するということが伴った。20世紀の最後には ベイズ確率の観点の復興があった。ベイズ確率によれば、根本的な確率概念というのはその根拠によって命題がどれほどよく支えられているかによる。
数学的な確率の扱いは、起こりうる結果が無数にあるときは、コルモゴロフによる公理的確率論 (1933) の導入によって容易になった。
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