気候変動に対する個々人の行動
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この項では、われわれ一人ひとりという意味を強調するため個々人という言葉を用い、単に「集団」に対する存在という意味の「個人」から区別する。
気候変動に対する個々人の行動は、食生活、移動、家庭でのエネルギー使用、商品やサービスの消費、家族の人数など、多くの分野で実行できる。また個々人は気候変動諸問題に関する各地域や政治的な提唱活動に参加することもできる。とりわけ、過剰消費生活習慣の高所得国住民はカーボンフットプリントを減らす効果の高い行動をとることができる。例えば、頻繁に飛行機に乗らないこと、ガソリン自動車の使用を避けること、主に植物性食品を摂取すること、より少ない子供を持つこと[1][2]、衣服や電化製品を長持ちさせて使うこと[3]、家をできるだけ電化すること[4]などである。過剰消費は、気候変動の原因としてむしろ人口増加よりも非難されるべきものである。[5] 過剰消費生活習慣は環境への影響が大きく、最も裕福な 10% の人間が全温室効果ガスの約半分を排出している。[6][7] 2021年の論文では、77億人もの世界人口が天然資源の消費と交通輸送による温室効果ガスの排出など様々な形で気候変動を引き起こしているとしているが、とりわけ温室効果ガス排出量の90%は世界の富裕層による過剰消費が原因であり、環境税や炭素価格政策、その他の政策を通じて是正できるとしている。[8][9]
耐久性があり再使用可能な容器、例えば昼食を使い捨て袋や箱でなく弁当箱やタッパーウェアなどで持参すること、レジ袋や農産物袋を軽量ゴミ袋などとして使うこと、地元の農産物、最小限に包装された食品・日用品を購入することなどは使い捨て容器や過剰包装の製造・廃棄による環境汚染も削減し温室効果ガスの生成も軽減できる。[10][11]これらのような個々の消費者としての小さな行動や個人の生活を「グリーン化」することは、集団的な行動に比べれば取るに足らないという批判もあるが[12]、他方で個々人の行動は集団行動につながり、社会的行動に関する研究によればライフスタイルを変えることが組織的な変化の勢いを高めると強調する人もいる。[13] 2022年の調査によると、気候変動は欧州人が直面している 2 番目に差し迫った問題で、回答者の 72% が個々人各自の行動が気候問題への取り組みに違いをもたらすと信じている。[14] ニュージーランドで2009-2018年にかけて56,513人を対象に実施した調査によれば、若年層ほど気候変動について懸念している[15]。自分たちの世代の将来がかかっているという自覚の顕れであるともいえる。逆に言えば気候問題を作った高齢世代ほどその責任を感じていないということにもなる。その対照を鮮明にしたエピソードに、気候変動に関するアル・ゴアの 2006年の映画『不都合な真実』の試写会での出来事がある。ベンチャーキャピタリストのジョン・ドーアと彼の娘が映画を見た後に娘が言い放った一言「パパの世代がこんな問題を作ったのよ」はその場の一座を凍り付かせた[16]。彼は言葉を失い、衝撃を受け、地球温暖化解決提言プロジェクト[17]を立ち上げた。