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死体安置所(したいあんちじょ)は、検死や埋火葬の準備などによって一時的に死体を保管しておく場所のことである。
遺体安置所、死体保管所、死体置き場、死体公示場、モルグ(フランス語: morgue)とも呼ぶ。また、特に病院での同様の施設を霊安室と呼ぶ。
日本語でもしばしば見られる「モルグ(morgue) 」という語はフランス語由来で、morguerが語源である。
最初は刑務所において看守が新たに入れられた囚人を認識する場所の意味として用いられていたが、15世紀のパリにおいて身元不明の死体の保管と判別を行う場所という現代と同じ意味で使われるようになった。
「モルグ(Morgue)」は英語でも用いられ、特に北米でよく使われる。イギリス英語では「mortuary」が一般的であるが、両者は同義語として併用されている。またイギリスでは子供向けの語として病院の霊安室を「バラの別荘(Rose Cottage)」「虹の部屋(Rainbow Room)」などとも呼ぶ。
死体を管理し、洗浄(死に化粧)する者は「ディーナー(Diener)」として知られている。
また、アメリカでは、本来の意味から転じて新聞社や出版社の資料室や発行物のバックナンバーを保管する部屋を指し、陰鬱な場所や葬儀屋を指す語としてもしばしば用いられる。
多くの国で、死体は死亡から72時間以内に埋葬処理されるが、いくつかの国(例えばアフリカのある地域)では葬儀や埋葬が死亡から数週間、数ヵ月後に行われるのが一般的である。これは、遺族が葬儀に必要な資金を貯めるためであり、その間、死体は病院あるいは葬儀屋の死体保管所に置かれる。
いくつかの葬儀場では火葬場が兼ねられている場合もある。宗教の中には火葬の様子を遺族が見なければならないとするものもある。このような宗教上の理由のために、遺族が火葬炉の中に入れられた死体を見るための窓が葬儀場に設置されている。このように、遺族は死体保管所に死体を保管させることなく、自分達の慣習に従って葬儀を執り行える。
また、いくつかの国では死体は防腐処理(エンバーミング)され、冷凍保存が用いられない。
「待ち死体置き場(waiting mortuary)」は、死亡したとされる人物の死亡を確認する目的で考案された死体安置所である。死亡判断がまだ確立されていなかった時代において、本当はまだ生きているのに埋葬されてしまう恐怖を軽減するために、死亡判断がされた直後の死体をここで保管した(それは同時に付添い人がまだ生きている兆候を発見するための場所という意味もあった)。ただ、死体は埋葬の前に一部腐敗してしまった。この制度は19世紀のドイツで最も人気があり、このための大型の華美な会場もあった。
付添い人が生きている兆候を見逃さないために、死体にはベルが結ばれていた。しかし、死亡していると判断されてしまった人がこのベルによって実際に助かったという事例は全く無い[2]。しばしば「ベルに救われた(Saved by the bell、日本語では一般に「ゴングに救われた」)」という成句の語源とされているが、実際にはこれはボクシング由来の言葉である[3]。
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