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『日本人とヨーロッパ――経済的文化的衝突』(The Japanese and Europe: Economic and Cultural Encounters )は、マリー・コンティ=ヘルム(Marie Conte-Helm)が1996年に著した書籍である。Athlone Press より出版された。
本書はヨーロッパにおける日本の投資と居住(一時滞在含む)について論じる[1]。議論のスコープは1980年代を始点に置く[2]。
著者コンティ=ヘルムは(出版当時)ノーザンブリア大学の日本学講座の講師(a reader of Japanese studies at the University of Northumbria)であった[3]。
対象として想定された読者は、日本人と欧米人の両方である[4]。本書の執筆に際しては、何人かのヨーロッパにおける被雇用者のインタビューが参考に用いられている[4]。図版や写真には28ページが費やされ、広告やチャートグラフ、地図、新聞記事などが紹介されている[4]。日本学(Japanese studies / Japanology)の研究者イアン・ニッシュは、『エイジアン・アフェアーズ』に寄稿した書評の中で、これら図版や写真が「うまく選んである」と賞賛した[2]。
最初の2章でヨーロッパと日本の出会いの歴史に筆が費やされる[2]。
第1章はポルトガル人が日本人に遭遇した1540年代を始点に歴史を概観し、第2章は日本とヨーロッパ人コミュニティとの関係について語る[3]。続く2章は、ベルギー、フランス、ドイツ、オランダ、スペイン、イギリスのヨーロッパ諸国に形成された、日本人の駐在員からなるコミュニティについて論じる[2]。
国ごとに一節を割り当てて、その国の駐在員社会を論じる形式で議論が進められ、「ヨーロッパの日本化:生魚、レスリング、『ジャストインタイム』方式」("Japanization of Europe: Raw Fish, Wrestling, and 'Just-in-Time',")と題された最終章は、日本人駐在員たちがヨーロッパ社会に与えた影響について論じる[2]。
ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校の Mairi MacLean によれば、本書が日本人の生活に必要な物資をヨーロッパで調達する手段を詳細に記述していることから、本書の一部があたかも日本人向けの「サバイバル・ガイドか何か」のようであるという[4]。
ニッシュは本書を「読んでいて楽しくなる」("a pleasure to read")と述べた[2]。
Raymond Lamont-Brown は、Contemporary Review に寄せた書評の中で、「本書全体を通して、ヨーロッパ人の日本観がどのように形成されたか、どのように形作られていくのかという問題に対して、しっかりとした根拠が与えられている」("Overall the book gives a good grounding in how adjustments of European perspectives about Japan have been and continue to be made.")と書いた[1]。
元駐日英国大使ヒュー・コータッツィは、自著の中で本書に触れて、「よくリサーチされており、図表も豊富、興味深い情報が満載である」(The Japanese and Europe "is well researched, copiously illustrated and full of interesting information".)と書いた[3]。
先述の MacLean は本書が図表に重きを置きすぎであると指摘する。「そのことにイライラすることもある」と書き、皮相的なところがある点が本書の主な瑕疵であるとした(too much emphasis on the illustrations, which is "[a]t times[...]irritating" and contributes to the "principal flaw" of having "a certain superficiality".)[4]。
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