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『何羨録』(かせんろく)は、1723年(享保8年)に書かれた、日本最古とされる釣り専門書。陸奥国弘前藩主津軽家の分家である旗本・黒石津軽家の3代当主津軽采女(うぬめ、津軽政兕)が著したとされる。原本の完成は享保元年ごろに遡るともされる。縦237mmx横162mm 119ページの本。
序文を書き出しておく。この一文に釣りの真髄および、采女の生涯の心情が読み取れる。
嗚呼、釣徒の楽しみは一に釣糸の外なり。
利名は軽く一に釣艇の内なり。
生涯淡括、しずかに無心、しばしば塵世を避くる。
すなわち仁者は静を、智者は水を楽しむ。
あにその他に有らんか
以下は意訳である。
ああ、釣り人の楽しみは“釣果”に尽きる、などというわけではない。
社会的名誉などは重要ではない。いま、自分の世界はこの釣り船の中が全てであり、完結している。
だが生きていくとそれだけで、どうしてもなにかと煩わしい。
だから自分は人生のそんなことにはこだわらず、とにかく無心に、時々は世の中の煩わしいことは忘れることにしている。
つまり
仁(この場合は慈悲や憐憫)の心を持つ者は心静かであることを楽しむし、
智恵のある者は水に楽しむ(釣り)のだ。
ほら!これほどの楽しみがあるだろうか。
「仁者は静を、智者は水を楽しむ」の部分は、『論語』雍也の「子曰 知者楽水 仁者楽山 知者動 仁者静 知者楽 仁者寿」の引用である。
知恵ある者は(流れる)水を楽しみ、仁を持つ者は(不変の)山を楽しむ。知者は行動的で、仁者は心静かである。知者は変化を楽しみ生きて、仁者は人生を楽しみ長生きする。
という意味である。
「山を楽しむ」の部分は、釣りの本ゆえに采女は無視している。
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