不完全遺伝子系統仕分け
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不完全遺伝子系統仕分け(ふかんぜんいでんしけいとうしわけ、Incomplete lineage sorting[1][2][3][4]またはdeep coalescence, retention of ancestral polymorphism, or trans-species polymorphism)とは、祖先集団で遺伝子多型が存在する場合に、その遺伝子が種が分岐する以前に分岐していたり、種分化の途中で多型対立遺伝子のどちらかが失われたりする現象である[5]。不完全な系統仕分けなどども呼ばれる[6]。この現象により、単一の遺伝子によって生成された系統樹は、個体群または種レベルの系統樹とは異なり、不一致な系統樹が生成されてしまう。種の系統樹の連続するノード間で保持された遺伝子多型の不完全仕分けによって引き起こされる影響は、hemiplasyと呼ばれる。メカニズムがどうであれ、結果として、生成された種レベルの系統樹は、評価に使う選択された遺伝子によって異なる可能性がある[7][8]。逆に、遺伝子によって生成された系統樹が、個体群または種レベルの系統樹と同じである現象を、「完全遺伝子系統仕分け(complete lineage sorting)」という。どちらも系統分析の一般的な結果だが、遺伝子、生物、およびサンプリング手法によって結果は異なる。