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リミテッド・アニメーション(Limited animation)とは、アニメーションの表現手法である。
従来のフル・アニメーションのリアルな動作を追求した表現手法に対し、簡略化された抽象的な動作を表現するために、動きを簡略化しセル画の枚数を減らす表現手法として考案された。ワーナー・ブラザース製作・チャック・ジョーンズ監督の『ドーバーボーイズ』(原題:The Dover Boys、1942年)で初めて実用化され、アメリカのアニメーション制作会社UPAにより本格的に導入されたが、後のハンナ・バーベラなどにより、専ら省力化のために使用された。
日本では戦後アニメ創成期において虫プロの手塚治虫がテレビアニメの『鉄腕アトム』制作に制作費や制作時間を削減するために採用した。これによりリミテッドアニメーションを進化させ同時に日本製アニメーションの手法として定着、現在では洗練されアニメの手法として発展している。
画面の一部だけを動かす場合、特にキャラクターの体や顔の向きと輪郭はそのままで、目や口だけが動く、画面内の多くのキャラクターのうち、1・2名のみが動く、複数のキャラクターが全く同様の軌跡で動く、などが特徴である。海外のリミテッドアニメは、動画枚数が1秒(24コマ)あたり12枚、つまり2コマにつき1枚の動画(セル画)を作成することが多いが、日本のリミテッドアニメはさらに少なく、1秒あたり8枚、つまり3コマにつき1枚の動画を作成することが多い。
他にも同じようなシーンでセル画を使い回すバンクシステムなどの工夫が知られる。
シンクロ・ヴォックス(Syncro-Vox, Synchro-Vox)は、静止画像やアニメーション上のキャラクターの口の部分に、口の実写映像を光学合成するものであり、リミテッド・アニメーションの中で最も極端な例の一つとして知られている。この技法は、1950年代にエドウィン・"テッド"・ジレットがTVCM向けに動物がしゃべっているように見せるために考案したものである。ジレットは1952年2月4日にこの手法を特許として申請し、1956年3月27日に特許を取得した(米国特許番号:第2,739,505号)[1]。
音声と映像の同期が難しかった当時、シンクロ・ヴォックスはアニメ制作の省力化に用いられるようになり、主な使用例としてはカンブリア・プロダクションズの『冒険王カーゴ』(原題:Clutch Cargo、別邦題:冒険王クラッチ)、『宇宙ライダー エンゼル』(Space Angel、キャプテン・ゼロ)、『キャプテン・ファドム』(Captain Fathom)などが挙げられる[2]。当時の視聴者からは「口だけが実写のアニメは不気味だった」と評されることもある[3]。
その後、シンクロ・ヴォックスは本格的なアニメーションの技法として使われることは少なかったものの、テレビ番組などで笑いをとるため、ほかの実写映像に別人の口を合成する形で使われるようになった。
2023年に制作されたCGショートアニメ『ヘルピポシリーズ ぴーち鬼ぱーち鬼』で、キャラクターの口の部分に声を演じるチョコレートプラネットの口の実写映像を合成するという手法が使われている[4]。
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