Loading AI tools
ウィキペディアから
ライトクラフト (Lightcraft) とは、マイクロ波ビームやレーザーといったビーム状の電磁波を用いた外部からのエネルギー供給により、大気中または宇宙空間で推進力を得るように設計されたあらゆる種類の飛翔体、またはその推進方式[1]。いわゆるビームエネルギー推進の一種である。
地上に設置した発電施設からのレーザーやマイクロ波ビームによって機体をいわば「押し上げる」方式と、地球周回軌道上に置いた太陽発電衛星から地上の機体へ向け発射したビームでいわば「牽引する」方式(こちらは円盤型)が考えられているが[2][3]、現時点で実験段階まで進んでいるのは前者である。以下ではレーザーを用いた前者について記す。
地上から発射されたレーザー光を、反射鏡で機体の後方に収束させて極めて高い温度を発生させ、そこで激しく熱せられた空気が膨張する際の衝撃により推力を生み出す。これをパルスレーザーにより繰り返すことで機体を上昇させる。上昇中の大半は推進剤として周囲の大気を使用できるため、化学推進ロケットのように大量の推進剤を搭載せずに軌道上へ発射質量の大部分を届けることができる(大気の薄くなる高高度から宇宙空間においては機体から推進用のガスを噴出させる必要がある)。また、その構造上とても廉価に製造できる可能性を秘めている。さらにその推進用ビームはレーザー箒として使うことでスペースデブリ除去にも応用できるとされる[4]。しかしこの推進方法には極めて高出力の電磁波ビームが必要であり、現時点ではもっとも強力なレーザーでさえテスト目的に使用するのがせいぜいである。
米レンセラー工科大学の教授だったレイク・ミラボーはかつてNASAやアメリカ空軍・陸軍の後援をうけて研究・実験をおこない、地上に設置されたレーザーで軌道上へ物体を送れる可能性が実証された。2000年10月2日の実験では、10kW級の炭酸ガスレーザーにより高度71mまで到達することに成功している[5]。
なお「ライトクラフト」という語は、ミラボーとディーン・イングが1985年に出した著書 The Future of Flight の中で初めて紹介した造語である[1]。
山口大学の葛山浩が、ライトクラフトと同様の原理のもと「パルスレーザー軌道打ち上げ機」という名称で研究している[6]。
また、東京大学の小紫公也が「マイクロ波ロケット」という名称で、レーザーではなくミリ波を利用したビームエネルギー推進を研究している[7][8]。ミリ波なのに「マイクロ波ロケット」という名称なのは、記者会見を行った当時ミリ波を利用したものが身近になかったため、電子レンジで使われるマイクロ波と同じようなものだという説明を行い「マイクロ波打ち上げロケット」と題したことに起因する[9]。厳密にはマイクロ波でもないしロケット推進でもない。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.