ヴェルフルは非常な長身で(180cmを超えていた)、長い指に恵まれていた[注 1]。鍵盤上の広い音域を掴むことができたことで、ヴェルフルは特に即興演奏に優れた技能を有していた。1798年に、ライバル関係にあったベートーヴェンにOp.6のソナタを献呈している。しかし、ベートーヴェンは1799年にヴェッツラー(Wetzlar)伯爵邸で行われたピアノの「決闘」においてヴェルフルを打ち負かし、それ以降ヴェルフルの人気は翳りを見せることになる[1]。ヴェルフェルは1801年から1805年までをパリで過ごした後にロンドンへと赴き、1805年5月27日に最初の演奏会を開いた。ここでは大成功とはいかないまでも、商業的には成功することができた。ヴェルフェルは1808年にピアノソナタ Op.41を出版した。技巧的難渋さのために、ヴェルフェルは当初この曲を「過酷過ぎない Non Plus Ultra」と名付けていたが、ドゥシークが「パリへの帰還 Le Retour à Paris」という題のソナタで挑んできたのに応じ、自らの曲を「過酷な曲 Plus Ultra」と改題し、皮肉を込めて「過酷過ぎない曲」へ献呈した。ヴェルフルはジョージ・フレデリック・ピントの未完のソナタを補筆完成させ、出版にこぎつけている。
Denora,Tia(1996).“"The Beethoven-Woelfl piano duel”.InJones, David Wyn.Music in eighteenth-century Austria.Cambridge:Cambridge University Press.pp.259–282
Margit Haider-Dechant: Joseph Woelfl. Verzeichnis seiner Werke. Apollon-Musikoffizin Vienna 2011
Margit Haider-Dechant: Art. Wölfl, Joseph. In: Die Musik in Geschichte und Gegenwart. Zweite, neubearbeitete Ausgabe, hrsg. von Ludwig Finscher, Personenteil Bd. 17, Kassel u. a., 2008, pp.1122–1128.