ヨホイア

カンブリア紀の節足動物 ウィキペディアから

ヨホイア

ヨホイア (Yohoia[3]) は、約5億年前のカンブリア紀に生息したメガケイラ類[5]化石節足動物の一。広げた背甲と能動的な胴部をもつ[6]北アメリカから発見された種類が知られている[4]レアンコイリアと共に、最初に記載されたメガケイラ類として有名な属である[3]

概要 ヨホイア, 保全状況評価 ...
ヨホイア
生息年代: 510–505 Ma[1]
Yohoia tenuis の復元図
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
古生代カンブリア紀 ウリューアン期
(約5億1,000万 - 5億500万年前)[1]
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: メガケイラ綱 Megacheira
階級なし : †(和訳なし) Cheiromorpha [2]
: ヨホイア目 Yohoiida
: ヨホイア科 Yohoiidae
: ヨホイア属 Yohoia
学名
Yohoia
Walcott, 1912 [3]
タイプ種
Yohoia tenuis
Walcott, 1912 [3]
  • Yohoia tenuis
    Walcott, 1912 [3]
  • Yohoia utahana
    Conway Morris, Selden, Gunther, Jamison & Robison, 2015 [4]
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名称

学名Yohoia」はカナダブリティッシュコロンビア州で「Yoho」(「驚き」を表すクリー語)に因んで地名、例えばヨーホー川ヨーホー湖、ヨーホー・ピークなどに由来するとされる[7]

形態

体はエビのように細長く、最大体長は種によって2cm(Y. tenuis[6]から3cm(Y. utahana[4]に及ぶ。

頭部(head)は左右が下向きに広げた背甲(carapace)に覆われ、前端には1対のと、その直後に1対の大付属肢(great appendage)が張り出している[6]。大付属肢の先端4節は噛み合わせた4本の爪となり、縁に鋸歯が並んでいる[8]。細い柄部の基部には短い肢節様の構造体があるが、これは文献によって短縮した肢節[6]もしくは節間膜[9]と解釈される。残り3対の頭部付属肢は胴部のものに同形で、後方ほど発達している[6]

胴部(trunk)は背板(tergite)に覆われた13節の胴節に構成される[6]。一部の化石標本の胴部が上下に大きく湾曲したことから、胴部全体の上下可動域は広かったと考えられる[6]。付属肢のある第1-10胴節は背板の両縁が出張っており、そのうち第1胴節は顕著に短縮している[6]。第11-13胴節はやや細い円筒状で付属肢はない[6]。尾端にある尾節(telson)は板状で、後端には大小の棘が並んでいる[7][6]。10対の胴部付属肢はほぼ同形で、縁に剛毛がある鰭状の外肢(exopod)と、少なくとも9節に分かれた歩脚状の内肢(endopod)からなる二叉型付属肢である[6]

生態

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ヨホイアの大付属肢の動作予想

ヨホイアは捕食者もしくは腐肉食者であったと考えられる。捕獲用の大付属肢シャコ類の捕脚のように、構造は瞬発に獲物を捕獲するのに適したとされる[6]。外肢には繊毛状の構造が並んでいて、これは呼吸に用いられていたのではないかと思われる[7]

分類

メガケイラ類の中で、ヨホイアはハイコウカリスレアンコイリア科と共にCheiromorphaを構成することが比較的に広く認められる[2][10][11][12][13]。一方、ヨホイアを前述とは別のメガケイラ類(例えばジェンフェンギアもしくはTanglangia[8]に近縁とする、もしくは基盤的なメガケイラ類とする見解もある[14][9]

ヨホイア(ヨホイア Yohoia)はヨホイア(Yohoiida)・ヨホイア(Yohoiidae)の唯一の属である。ジェンフェンギアを本目に分類する見解もあった[15]が、これは系統解析に支持される関係ではない[2]

ヨホイアは長らくカナダブリティッシュコロンビア州バージェス頁岩バージェス動物群、約5億1,000万 - 5億500万年前[1])で見つかった模式種タイプ種)である Yohoia tenuis のみによっ知られていたが、2015年、アメリカユタ州Spence Shale から同属の2番目の種 Yohoia utahana が記載された[4]

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Yohoia tenuis大付属肢の二形
  • Yohoia tenuis Walcott, 1912 [3]
体長0.6cmから2cm。背甲の側面は四辺形に近い形。胴部の背板は左右が尖る[4]大付属肢は個体の大きさによって形態上の二形が見られ、小型個体(10-15mm)と大型個体(17-20mm)はそれぞれ細長いタイプ(slender morphotype)と頑丈なタイプ(stout morphotype)の大付属肢をもつ[6]
種小名tenuis」はラテン語で「長細い」を意味する[7]
  • Yohoia utahana Conway Morris, Selden, Gunther, Jamison & Robison, 2015 [4]
体長約3cm。背甲の側面は丸みを帯びた形。胴部の背板は左右が尖らない。数少ない化石標本のみによって知られ、付属肢の産状は悪く、詳細の構造は不明[4]
種小名「utahana」は発見地のユタ州(Utah)による[4]

脚注

関連項目

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