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日本の地下鉄(にっぽんのちかてつ、にほんのちかてつ)では、日本における地下鉄について解説する。
以上のような定義があるが、ここでは、主に 2. の一般利用者が認識している「地下鉄」の定義に基づいて記述する。以下においては断りがない限り、国土交通省が「地下鉄事業者」として認識している事業者[1][2]並びにその路線について記す。
日本の地下鉄は現在、東京都のほか、大阪市・名古屋市・横浜市・札幌市・京都市・神戸市・福岡市・仙台市などにあり、通勤や通学など日常用から観光用途まで広く一般に利用されている。特に東京の地下鉄では都営地下鉄・東京地下鉄合わせて大阪市高速電気軌道の数倍の一日輸送人員を数え、大阪など他エリアの大都市と比べ圧倒的なシェアを有している。三大都市圏においてはサービス面では地上線と大きく変わらないが、地下を通ることで用地収用が困難な地区まで入り込んだ路線網を築いている。特に東京都区部と大阪市、名古屋市においては、都心の主要な移動手段として地上の私鉄・在来線・自動車・バス・タクシーなどを凌駕するほどの地位にある。一方、地方圏の札幌・福岡・仙台(地方中枢都市)においては、地上の在来線を超えるほどの運行頻度によって都市内交通の中心的存在となっている。
降水量が多く、大都市が沖積平野を中心に発達する日本(参照)において地下鉄を建設するには、地下水が豊富な軟弱地盤を掘り進み、多発する地震にも耐え得る強度を持った地下トンネルや地下駅を建設する必要がある[3]。そのため高度な土木技術が必要であり、かつ、建設費もかなりの高額となる。
歴史的には、貨物線では、1915年(大正4年)に鉄道院(現:JR)東京駅と東京中央郵便局(現:JPタワー)との間、約0.2km(地下駅:2駅)に開通した逓信省(現:総務省/JP/NTT)の郵便物搬送用地下軌道(正式名称不明)[注釈 1]が最初である。旅客線では、1925年(大正14年)に開通した宮城電気鉄道(現:JR仙石線)の仙台駅と東七番丁駅との間、約0.4 km(地下駅:1駅)に始まる。1927年(昭和2年)に開通した東京地下鉄道(現:東京メトロ銀座線)の浅草駅 - 上野駅間(約2.2 km)は、4つの地下駅を擁した。これを日本地下鉄協会は「日本初の本格的な地下鉄」とし[7]、東京地下鉄(東京メトロ)は系列の地下鉄博物館と共に「東洋初の地下鉄」としている[8][9][注釈 2]。
画像外部リンク | |
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逓信省地下隧道(正式名称不明) | |
東京中央郵便局の新築落成と本邦最初の地下鉄道[11] | |
郵便物運搬用電車(東京鉄道郵便局)[12] | |
東京中央郵便局地下電車発着場(1933年)[12] |
第二次世界大戦の終戦時まで。
終戦時の日本の地下鉄は東京が14.3キロ、大阪が8.8キロという状況であった。空襲で壊滅的な被害を受けた両都市は人口が激減した。
東京大空襲により人口が激減した東京では、末広町 - 稲荷町間が乗客減少を理由に一時運行停止になるほどであった。
戦後の混乱が収まるにつれて、東京では1946年に戦災復興院告示第252号で新たな高速鉄道網計画が決定された。
都市計画でいうターナー式(貫通路線やU字型の路線の組み合わせ[14])を念頭において立案された路線網は1950年代から着工されることになる。最初の着工路線に選ばれたのは4号線(後の丸ノ内線)であり、住宅地と急速に発展した池袋方面への交通網整備と、混雑の著しい山手線や中央線を救済する目的が定められた。そして1954年1月29日より順次丸ノ内線が開通することになる。
戦前から都市交通を市営と主張してきた東京市は、戦後東京都と改称してからも営団の解体を主張し、都市交通の一元化を主張していた。そうした中、昭和20年代終盤に営団とは別に都営地下鉄の建設へと目標を転換した。また、政府による統制が緩和されたと判断した郊外私鉄は1948年小田急電鉄を皮切りに西武鉄道を除く全社が1955年までに都心部への乗り入れ路線の申請を出願した。この動きを見た政府は1955年に都市交通審議会が設け、翌年にはその答申に従い、郊外私鉄との乗り入れ直通運転を盛り込んだ地下鉄計画が発表された。これにより陸上交通事業調整法で営団による地下鉄一元化を方針転換することになる。以来、東京の地下鉄路線は、営団(現:東京メトロ)と東京都交通局の2つの経営体によって整備されることになる。
1956年、東京都は軌道法による免許申請を行い、翌年には営団が保有する1号線が東京都に委譲された。郊外私鉄の相互乗り入れも計画に組み込まれ、1号線は標準軌・架空線式を採用、京急と京成が乗り入れることが計画され、同時に1372ミリ軌間の京成は全線で改軌を行い、また京急も品川 - 泉岳寺間の路線を建設することとなった。
都営地下鉄は1号線(現:浅草線)から工事が開始され、隅田川横断工事などに難航したが、1960年12月4日の午後に浅草橋 - 押上間が初めて開業した。
一方、営団も翌1961年に、東武鉄道と東京急行電鉄の乗り入れを予定して、架空線式を採用した2号線(現:日比谷線)を開業、以後の東京の地下鉄は、既存郊外路線との乗り入れを前提にした架空線式が主流になる。
大阪では1948年に新たに都市計画が立案され、戦前の1号線から3号線は戦前の計画を踏襲したが、4号線で大阪港 - 放出、5号線で神崎川 - 平野間の東西路線が計画され、都市計画の基本であるペーターゼン式の路線網(都心部は格子型となる路線網[14])で計画された。
大阪の場合、東京と異なり5路線で戦前の第三軌条式を踏襲したため、車両の共通化の利点はあるものの、既存他社路線との乗り入れが不可能で、高度成長期に梅田や難波など主要ターミナル駅の混雑を増大させる結果となった(#集電方式参照)。また、私鉄JR各社が地下鉄に乗り入れせずに都心部に相次いで自前路線を延伸したために、地下鉄と私鉄路線が近接並走する事例も発生した。
名古屋市営地下鉄1号線(後の東西線、現在の東山線)の建設に際して地方鉄道法(現・鉄道事業法)か軌道法かが議論となった。 1954年(昭和29年)に地下高速鉄道整備事業費補助制度が創設されたことから、地下鉄建設は大阪市を除き地方鉄道法で建設されることとなった。
1960年代以降のモータリゼーションの発展に伴い、地方都市では専用レーンがない公共交通機関である路線バスが多くなり、大都市では高速かつ大量輸送をおこなえる地下鉄が建設されるようになった。
2015年12月6日に仙台市地下鉄東西線が開業したことにより、日本国内で鉄道統計年報が認める「地下鉄事業者」(後述)による建設事業が進行中の地下鉄新路線(既存路線の延伸工事を除く)が消滅した。これにより、同線が日本最後の地下鉄新路線になるのではないかと予測しているメディアもある[15]。
なお、計画として存在するものとしては敷津長吉線があるほか、提案されているものとしては東京都が提案した新路線構想がある[16] が、いずれも今のところ事業化はされておらず目途も立っていない。ただし、地下鉄の定義を「地下鉄建設にあたって補助金を使用した路線」とすれば、現在建設中のなにわ筋線が、完成後日本の最新路線となる予定[17]。
国土交通省は「地下鉄についての明確な定義はない」[18]としているが、鉄道統計年報では「地下鉄事業者」として東京地下鉄・札幌市交通局・仙台市交通局・東京都交通局・横浜市交通局・名古屋市交通局・京都市交通局・大阪市高速電気軌道・神戸市交通局・福岡市交通局の10社局を分類している[1][2]。
地下鉄事業者に関しては「地下鉄建設にあたって補助金を使用した事業者を地下鉄事業者とする別の考え方もある」[18]とも回答しており、これに従えば鉄道統計年報における10社局のほかに、埼玉高速鉄道・上飯田連絡線・中之島高速鉄道・西大阪高速鉄道・関西高速鉄道・神戸高速鉄道・広島高速交通を含む17事業者が該当することとなる。
一方、日本地下鉄協会は「日本の地下鉄」として、鉄道統計年報における10社局に加えて北総鉄道・埼玉高速鉄道・東葉高速鉄道・横浜高速鉄道・広島高速交通を含む15事業者を掲載している[7]。しかし、日本地下鉄協会が毎年発行している「地下鉄営業路線の現況」においては、鉄道統計年報における地下鉄事業者の定義と一致する「東京地下鉄・大阪市高速電気軌道・8都市公営地下鉄」に着目する資料が含まれているほか、「地下鉄営業路線の現況」として掲載された「地下鉄営業キロ」の対象路線は前述のいずれとも一致しない[19]。
神戸高速鉄道は、山陽電鉄本線の神戸都心への延長、阪急神戸本線・阪神本線の山陽電鉄本線との接続ならびに神戸電鉄有馬線との連絡のために設立された企業で、自社では運行を行わず、地下路線と地下駅施設の保有・管理に特化した運営を行っていた。同社は日本地下鉄協会にも加盟していたが、鉄道事業法の改正にあわせて線路の保有(第三種鉄道事業者)に専念することとなり(阪急・阪神・神鉄が神戸高速線として各駅を管理)、日本地下鉄協会からも脱退した。
事業者 | 名称 | 組織形態 (資本状況) |
路線数 | 総延長 (km) |
駅数 | 開業年 | 事業 種別 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
札幌市交通局 | 札幌市営地下鉄 | 地方公営企業 | 3 | 48.0 | 46 | 1971年 | 鉄道 | 日本唯一のゴムタイヤ式地下鉄 |
仙台市交通局 | 仙台市地下鉄 | 地方公営企業 | 2 | 28.7 | 29 | 1987年 | 鉄道 | |
東京都交通局 | 都営地下鉄 | 地方公営企業 | 4 | 109.0 | 98 | 1960年 | 鉄道 | 三田線 白金高輪 - 目黒間2.3kmは第二種鉄道事業者 |
東京地下鉄 | 東京メトロ | 特殊会社 (公有) |
9 | 195.1 〈+7.3〉 |
142 〈+3〉 |
1927年 | 鉄道 | 副都心線と有楽町線との共用区間(小竹向原 - 和光市)は重複計上せず 有楽町線支線および南北線支線が事業許可取得(開業予定は2030年代半ば) |
横浜市交通局 | 横浜市営地下鉄 | 地方公営企業 | 3 [注釈 3] |
53.4 | 40 | 1972年 | 鉄道 | 1・3号線(ブルーライン)は一体的に運行しているので実質は路線数2 3号線(ブルーライン) 新羽 - あざみ野(8.6 km)は地下高速鉄道整備事業費補助制度によらず建設[注釈 4] |
名古屋市交通局 | 名古屋市営地下鉄 | 地方公営企業 | 6 | 93.3 | 87 | 1957年 | 鉄道 | 上飯田線 全線(0.8 km)は第二種鉄道事業者(施設保有は上飯田連絡線) |
京都市交通局 | 京都市営地下鉄 | 地方公営企業 | 2 | 31.2 | 31 | 1981年 | 鉄道 | |
大阪市高速電気軌道 | Osaka Metro | 一般の会社 (公有) |
9 [注釈 5] |
137.8 [注釈 6] |
108 [注釈 7] |
1933年 | 鉄道 軌道 |
総延長のうち、中央線 大阪港 - コスモスクエア(2.4 km)と、南港ポートタウン線 コスモスクエア - トレードセンター前(0.6 km)は第二種鉄道事業者(施設保有は大阪港トランスポートシステム) 総延長のうち、鉄道:5.7 km、軌道:132.1 km[注釈 8] |
神戸市交通局 | 神戸市営地下鉄 | 地方公営企業 | 5 [注釈 9] |
38.1 | 26 | 1977年 | 鉄道 | 西神延伸・西神・山手・北神線は一体的に運行しているので実質は路線数2 西神延伸線 名谷 - 西神中央(9.4 km)は地下高速鉄道整備事業費補助制度によらず建設[注釈 4] |
福岡市交通局 | 福岡市地下鉄 | 地方公営企業 | 3 | 31.4 | 36 | 1981年 | 鉄道 |
鉄道統計年報における地下鉄事業者以外の地下高速鉄道整備事業費補助制度の適用対象事業者は以下の通り。
事業者 | 路線名 | 組織形態 (資本状況) |
路線数 | 総延長 (km) |
駅数 | 開業年 | 事業 種別 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
埼玉高速鉄道 | 埼玉高速鉄道線 | 第三セクター | 1 | [注釈 10] |
6.2[注釈 11] |
42001年 | 鉄道 | 地下高速鉄道整備事業費補助制度により建設された区間は赤羽岩淵駅 - 鳩ヶ谷駅間 実際は総延長の97%(14.2 km[19])が地下区間で、地下駅の総数は7[注釈 12] |
上飯田連絡線 | 名鉄小牧線 | 第三セクター | 1 | 3.1 | 3 | 2003年 | 鉄道 | 第三種鉄道事業者(運行は名古屋鉄道) |
地下鉄上飯田線 | 第三種鉄道事業者(運行は名古屋市交通局) | |||||||
中之島高速鉄道 | 京阪中之島線 | 第三セクター | 1 | 3.0 | 5 | 2008年 | 鉄道 | 第三種鉄道事業者(運行は京阪電気鉄道) |
西大阪高速鉄道 | 阪神なんば線 | 第三セクター | 1 | 3.8 | 5 | 2009年 | 鉄道 | 第三種鉄道事業者(運行は阪神電気鉄道) |
関西高速鉄道 | JR東西線 | 第三セクター | 1 〈+1〉 |
〈+7.2〉 |
12.6〈+5〉 |
91997年 | 鉄道 | 第三種鉄道事業者(運行は西日本旅客鉄道) |
〈なにわ筋線〉 | 第三種鉄道事業者(運行は西日本旅客鉄道、南海電気鉄道(予定)) なにわ筋線の事業許可取得(開業予定は2031年春予定)[17] | |||||||
神戸高速鉄道 | 神戸高速線 | 第三セクター | 3 | 7.6 | 10 | 1968年 | 鉄道 | 第三種鉄道事業者(運行は阪神電気鉄道、阪急電鉄、神戸電鉄) |
広島高速交通 | アストラムライン | 第三セクター | 1 | [注釈 13] |
0.3[注釈 14] |
21994年 | 鉄道 軌道 |
地下高速鉄道整備事業費補助制度により建設された区間は本通駅 - 県庁前駅間 実際は総延長のおよそ10%(1.9 km[19])が地下区間で、地下駅の総数は4[注釈 15] |
このほか、一般的には地下鉄として認められないが都市部に地下区間を持つ鉄道路線を紹介する。ただし上記鉄道統計年報における地下鉄事業者・地下高速鉄道整備事業費補助制度の適用路線と重複する路線を除く。
旧・都市交通審議会(現在の交通政策審議会)の答申により、都心部の地下鉄と一体的に整備されるべき都市高速鉄道として挙げられた路線である。都市計画行政上は地下鉄と一体で「都市高速鉄道第○号線」または「東京○号線」のように呼ばれることがある[20]。ここに記載された区間は直通先の(狭義の)地下鉄路線と同様の規格となっている。
地下鉄から延伸された末端区間を民間の別事業者が経営しているものである。直通先の(狭義の)地下鉄路線と車両や路線の規格上は同一で、運行体系も一体的なものとなっているが、旅客案内上は地下鉄としては扱われていない。
以下の路線・区間については連続立体交差事業や新線建設などで整備された、地下駅を備えた地下区間を有する。ただし旅客案内上は地下鉄と見なされることはなく、単なる地上路線の地下区間である。
日本の大手私鉄のうち、地下線や地下駅を持たないのは南海電気鉄道と西日本鉄道(西鉄)の2社のみで、両社は地下鉄などに直通運転するための車両も持たない(ただし南海電気鉄道は建設中のなにわ筋線に乗り入れ予定)。また、東武鉄道には自社管理の地下駅がない(押上駅が東武鉄道の唯一の地下駅だが、管理は東京地下鉄が行っている)。
以下は(狭義の)地下鉄路線との接続駅付近の地下区間で、地下鉄側の事業者により接続駅の駅業務を担っている場合である。ここまでの一覧に取り上げられていない区間を挙げる。
日本の地下鉄駅の災害などに備えての対策は、世界的に見ても非常に盛んである。その背景には交通営団時代の地下鉄サリン事件が関係している。
東京では墨田区・江東区・江戸川区などの海抜がマイナスのいわゆるゼロメートル地帯を走行する、東京メトロ東西線・都営地下鉄新宿線などに、防水扉が設けられている。
東海豪雨のときは名古屋市営地下鉄名城線の平安通駅が冠水したため、名城線市役所駅(現:名古屋城駅) - 砂田橋駅間(当時は砂田橋行)で代行バス運転を行った。そのほかにも、名古屋市営地下鉄鶴舞線の一部駅や名古屋市営地下鉄名港線名古屋港駅では防水扉を設置している。
また、著しく利用客の多い駅では、島式のホームを方向別に千鳥状に分けることによって、利用者の混雑を抑えるところや(例:名古屋市営地下鉄東山線名古屋駅)、新規にホームを新設して方面別に分離する(例:東京メトロ銀座線新橋駅)といった対策がとられている。
照明については、現在のように周囲が普通に見えるような明るさ(照度)になったのは戦後の蛍光灯の普及以降のことで、戦前や戦時中などの白熱電球しかなかった時代には現在の地下鉄駅よりかなり暗く、夜の街灯程度の明るさしかなかった。
世界的に地下鉄では主流とされる第三軌条方式(サードレール方式)は、日本では札幌市営地下鉄の南北線・東京メトロの銀座線と丸ノ内線・横浜市営地下鉄のブルーライン・名古屋市営地下鉄の東山線・名城線・名港線・Osaka Metroの御堂筋線・谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線で採用されており、これ以外の路線は剛体架線またはカテナリ吊架式による架線集電方式を採用している。
これは日本では郊外路線との相互直通運転を前提として建設される路線が多いため、既存路線と規格を合わせる必要があることによる。逆にOsaka Metroの御堂筋線と相互直通をする北大阪急行電鉄、中央線と相互直通する近鉄けいはんな線は新規に第三軌条方式で建設された郊外路線である。
車両は古い路線(特に他社との乗り入れを前提に作られた路線)では、地上の鉄道と同様の大型の車両を用いるのが一般的であったが、2000年代以降ではミニ地下鉄が用いられることが増えた。
ミニ地下鉄とは、一般的な地下鉄のように大量人員輸送を担うシステムと、モノレールやバスのような少量人員輸送を担うシステムの中間部分を担うために研究・開発された中量軌道輸送システムの一種であり[22][23][24][25]、日本独自の地下鉄システムである[注釈 22]。
小断面トンネル・小型車体を採用する地下鉄のうち、リニアモーターカーを用いる場合は「リニアメトロ」「リニア地下鉄」などと呼ばれる。日本ではこの場合、浮上せずに、リニアモーターの動力を車輪に伝えてレール上を走行する「鉄輪式リニアモーターカー」となっている。地下鉄の路線は大きく曲がる箇所が多く、また、100km/h以下で走行するため、リニアモーターを浮上と駆動の双方に用いる磁気浮上式鉄道(リニア中央新幹線ほか)のような、線形が直線的で時速数百キロメートルの高速走行を目的とする路線とは建設思想が異なる。
一般の地下鉄や鉄道はその重い車両を駆動するためのモーターも相当の重量があるが、「リニア地下鉄」は車両に重いモーターを搭載しなくてよくなったことで車重が軽くなり、結果、高い性能を得られる。すなわち、登坂能力が 80‰ まで可能とされる[26]。実際の路線で許可される最急勾配は 60‰ まで[27] とは言え、一般の地下鉄や鉄道で計画される 35‰ を大きく上回ることが出来る[28]。例えば、最新の仙台市地下鉄東西線では、八木山動物公園駅がかなり高い場所にある地下鉄駅(標高136.4m)となっており、途中の青葉山を上るトンネル区間には最急勾配57‰がある。また、約50m (R50) の急曲線でも走行可能とされる[26]。実際の路線では最小曲線半径がおおむね100m (R100) となっているとは言え、一般の地下鉄や鉄道で許可される 160m (R160) と比べて急曲線にも対応できるという特徴も持つ[26][注釈 23]。
日本では1962年(昭和37年)より、鉄道にリニアモーターを使用する研究が始まった[28]。当時、全国に国鉄操車場(ヤード)が約50箇所あったが、ヤードの仕分線において人力で貨車を移動させるライダー要員の省力化を目指し、1967年(昭和42年)には自動的に定位置に移動するリニアモーター駆動方式の仕分線内貨車加減速装置「L2形貨車突放装置」が開発され、さらに「L4形貨車加減速装置」を搭載した貨車「L4カー」が各地のヤードで活躍した[29][30]。
2度のオイルショックを経て日本の地下鉄建設費は、狂乱物価とよばれたインフレーションもあって50-80億円/km(1975年頃)から約200億円/km(1980年頃)に上昇し、さらに300-400億円/km(1980年代末)になろうとしていたため費用対効果が悪化した[28]。しかし、ラッシュ時に定員を超えて満員電車に乗車させる押し屋が登場するほど都市交通需要は増加しており、またモータリゼーションによる交通戦争や大気汚染など都市問題解決に地下鉄は必要な交通手段だった。そのため1976年(昭和51年)に小断面地下鉄にリニアモーター搭載電車を走行させる構想が提言され[30]、1980年代に日本鉄道技術協会→日本地下鉄協会によって実用化に向けた本格的な取り組みがなされ[28]、1990年(平成2年)開業の大阪市営地下鉄鶴見緑地線(現・長堀鶴見緑地線)で初めて実用化された[注釈 24]。
名称 | 路線 | 開業 | 車両 | 全高 (mm) | 全幅 (mm) | 編成定員 | 最急 勾配 | 最小 曲線 |
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仙台市地下鉄 | 東西線 | 2015年 | 2000系 | 3,145 | 2,494 | 388人(4両) | 57 ‰ | R 105 |
都営地下鉄 | 大江戸線 | 1991年 | 12-000形 12-600形 | 3,145 | 2,498 | 780人(8両) | 55 ‰ | R 100 |
横浜市営地下鉄 | グリーンライン | 2008年 | 10000形 | 3,105 | 2,490 | 380人(4両) 584人(6両) | 58 ‰ | |
大阪市営地下鉄(現Osaka Metro) | 長堀鶴見緑地線 | 1990年 | 70系 | 3,120 | 2,490 | 380人(4両) | 50 ‰ | R 102 |
80系30番台 | 3,120 | 2,496 | 377人(4両) | |||||
今里筋線 | 2006年 | 80系 | 3,120 | 2,496 | 377人(4両) | 50 ‰ | R | 83|
神戸市営地下鉄 | 海岸線 | 2001年 | 5000形 | 3,120 | 2,490 | 362人(4両) | 50 ‰ | R 100 |
福岡市地下鉄 | 七隈線 | 2005年 | 3000系 | 3,145 | 2,490 | 378人(4両) | 40 ‰ | R 100 |
(参考)JR (車両限界) | 新幹線 | 4,500 | 3,400 | |||||
在来線 | 4,100 | 3,000 | ||||||
(参考)東京メトロ | 有楽町線 | 7000系 | 4,145 | 2,800 | ||||
銀座線 | 1000系 | 3,465 | 2,550 | |||||
(参考)名古屋市営地下鉄 | 東山線 | N1000形 | 3,440 | 2,500 | ||||
(参考)京都市営地下鉄 | 東西線 | 50系 | 3,375 | 2,489 | ||||
(参考)ロンドン地下鉄 | ノーザン線 | 1995形 | 2,875 | 2,629 | ||||
(参考)広州地下鉄 | 4号線[注釈 25] | SFM03形 | 3,625 | 2,890 |
従来の地下鉄に比べてリニア地下鉄は消費電力がやや大きくなる。原因としてリニア誘導モータ特有の損失と、一次側とリアクションプレートとの隙間が多いことが挙げられる。単位重量あたり単位距離あたりの消費電力で比較すると、惰性で走行できる距離(惰行区間)が長いほど消費電力が少なくなるため、駅間距離が長く曲線が緩やかな普通鉄道と比べて従来型地下鉄およびリニア地下鉄は多くなるが、駅間距離が短く、信号停止が多く、急な曲線が多く、さまざまな機材を載せなくてはいけない路面電車と比べると少なくなっている。
都心から外れた郊外の区間や河川を跨ぐ前後などを中心にして、広範囲に地上や掘割、高架を走っている場合がある。中には高速道路と一体構造で建設されている路線もある。
以下は(狭義の地下鉄以外の)鉄道路線との接続駅付近の地上区間で、直通先の事業者により接続駅の駅業務を担っているか、直通先の事業者から移管された事例である。ここまでの一覧に取り上げられていない区間を挙げる。
日本の法規上では、地下高速鉄道整備事業費補助制度の適用対象路線は、Osaka Metroを除き鉄道事業法に基づいている。
東京都心については、JR山手線内は基本的に私鉄の路線は乗り入れておらず、JR中央線と縦横無尽に張り巡らされた地下鉄が都内中心部の鉄道交通の役割を担っている。
大阪では、大阪城跡が現在の業務中心地からややはずれた一角にあることと、地下鉄路線網が格子型のペーターゼン式で網の目にむらがないため、皇居のような問題はほとんどない。各路線は大阪環状線(同記事も参照)の内側では、ほぼ南北の筋と東西の通りに沿って建設され、かつて存在した市営モンロー主義の名残もあり、御堂筋線を中心として市内交通の主力になっている。東京とは異なり、JRの大阪環状線は御堂筋線などの地下鉄路線を補完する存在となっている。ただし、私鉄やJRとの相互乗り入れが活発でなく、私鉄やJRの駅から地下鉄の駅に到着するまでの乗り換え回数が多くなる傾向がある。
日本の地下鉄で最も利益を上げている御堂筋線(かつては地下鉄利用者数日本一だった)の梅田駅の乗降客数は、日本の地下鉄の単一路線の駅としては第1位である(2007年11月13日の梅田駅での乗降客数は460,859人となっている[33])。
名古屋では大阪同様、都心部においては碁盤の目状に張り巡らされた大通りの地下に沿って建設された。路線同士の交差部では必ず駅が設けられている。市内最大の繁華街である栄やターミナル駅である名古屋駅を結び、最初に建設された東山線が主力路線となっている。
名古屋市営地下鉄では6路線のうち初期に開業した3路線(東山線・名城線・名港線)が第三軌条、比較的新しい3路線(鶴舞線・桜通線・上飯田線)が 名古屋鉄道等への直通運転を考慮した架空電車線方式を採用しており、うち2路線(鶴舞線・上飯田線)は名古屋鉄道と直通運転を行っている。
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
基本的に、日本の地下鉄では次の理由などから、各駅停車のみの運転を行っている路線や、東京メトロ半蔵門線など他社線内では優等種別として運転していても地下鉄線内では各駅に止まる場合が多い。
日本で初めて優等列車を導入したのは東京メトロ東西線の快速列車である。ただし地下区間での通過運転は南砂町駅だけであり、緩急運転を行う大半の区間は地上区間である。
日本の地下鉄において、ニューヨーク市地下鉄のように緩急分離運転の可能な複々線で敷設された路線はなく[注釈 29]、緩急接続・待避が可能な地下駅も限られているため、優等列車の設定のある路線でも地下区間での追い越しを行わない路線も多い。地下区間で待避を行うのは、東急新玉川線(現・田園都市線)急行の桜新町駅での事例が最初(ただし上記定義の (2) には相当しない区間である)。一般に地下鉄と呼ばれる区間では都営地下鉄新宿線岩本町駅・大島駅・瑞江駅、東京メトロ副都心線東新宿駅も同様の構造を持つ。
このほか特殊な事例として、東京メトロ千代田線から小田急小田原線経由小田急箱根鉄道線直通による、狭義の地下鉄では初となる有料の特急列車の運行(小田急ロマンスカー#他社からの乗り入れを参照)、東京メトロ日比谷線から東急東横線経由みなとみらい線直通による「みなとみらい号」(多客期のみ・運行終了)。一方、日本の地下鉄では唯一特別料金不要の Osaka Metro堺筋線から阪急京都本線経由嵐山線直通による臨時特急(阪急京都本線#嵐山線直通臨時列車を参照)の事例がある。いずれも、地下鉄区間から観光地への利便性を図ったものであり、他路線における緩急分離運転とは目的が異なる。
定期列車、かつ地下鉄線内で通過駅を伴う優等種別として案内されている場合について記す。各系統の詳細については当該路線記事を参照のこと。
運行路線 | 種別 | 速達運転区間 | 直通運転 | 備考 |
---|---|---|---|---|
東京メトロ東西線 | 快速 東葉快速 |
東陽町駅 - 西船橋駅間 | JR中央・総武線(各駅停車) 東葉高速線 |
日本初の地下鉄優等列車。1969年運行開始[34]。 東葉快速は1999年運行開始、2014年廃止。 葛西駅、妙典駅、原木中山駅にて緩急待避を実施(通勤快速も同様)。 |
通勤快速 | 浦安駅 - 西船橋駅間 | 1996年までは快速(通称「C快速」)として運行。 | ||
東京メトロ副都心線 | 急行 | 和光市駅 - 渋谷駅間(全線) | 東武東上線 西武有楽町線・池袋線 東急東横線・新横浜線 みなとみらい線 相鉄新横浜線・本線・いずみ野線 |
和光市駅 - 小竹向原駅間では有楽町線の各駅停車も利用可能。 相鉄本線直通は急行が休日下り、通勤急行が平日下りのみの運転。 いずみ野線直通は平日下りのみ通勤急行が運転。 直通先では種別が変更される列車もある。 ただし直通先と種別を固定したFライナーの運行がある(副都心線内は急行設定)。 小竹向原駅・東新宿駅・渋谷駅で緩急待避を実施。 |
通勤急行 | 小竹向原駅 - 渋谷駅間 | |||
S-TRAIN | 西武有楽町線・池袋線・秩父線 東急東横線 みなとみらい線 |
有料座席指定列車。 土休日運行。渋谷駅・東新宿駅で緩急待避を実施。 | ||
東京メトロ有楽町線 | 小竹向原駅 - 豊洲駅間 | 西武有楽町線・池袋線 | 有料座席指定列車。 平日朝と夜運行。有楽町線線内での緩急待避なし。 | |
東京メトロ日比谷線 | THライナー |
北千住駅 - 霞ケ関駅間 | 東武スカイツリーライン・伊勢崎線 | 有料座席指定列車。 朝と夕・夜間に運行。上り、霞ケ関駅 - 恵比寿駅間は各駅に停車。 下りは全てのTHライナーが霞ケ関駅始発。 日比谷線からの東武線内各駅停車にならない唯一の種別。 日比谷線内での緩急待避なし。 |
東京メトロ千代田線 | 特急ロマンスカー |
北千住駅 - 代々木上原駅間 | 小田急小田原線・江ノ島線 小田急箱根鉄道線 |
日本の地下鉄では史上初となる有料の指定席特急。全列車北千住駅発着。 小田急箱根鉄道線方面は、「メトロはこね」 「メトロさがみ」「メトロホームウェイ」「メトロモーニングウェイ」 江ノ島線直通は「メトロえのしま」の愛称で運転。 「メトロえのしま」は土休日に限り運行。主に朝方と夕・夜間に運行。 「メトロえのしま」は全列車、前6両が「メトロはこね」、 後ろ4両が「メトロえのしま」となり、併結運転を行っている。 多摩線直通は平日に限り運行。2016年廃止。 千代田線内での緩急待避なし。 |
都営地下鉄新宿線 | 急行 | 新宿駅 - 本八幡駅間(全線) | 京王新線・京王線・相模原線 | 高尾線直通は2022年、土休日運行の動物園線直通は2021年廃止。 岩本町駅・大島駅・瑞江駅で緩急待避を実施。 |
都営地下鉄浅草線 | エアポート快特 | 泉岳寺駅 - 押上駅間 | 京急本線・空港線 京成押上線・本線・成田空港線・東成田線 芝山鉄道線 |
東成田線及び芝山鉄道線直通は平日のみ運行。 西馬込駅 - 泉岳寺駅間は運行なし。 押上駅で緩急待避を実施。 |
横浜市営地下鉄ブルーライン | 快速 | 戸塚駅 - 新羽駅間 | なし | 新羽駅・上永谷駅で緩急待避を実施。 |
神戸市営地下鉄西神・山手線 | 快速 | 新神戸駅 - 西神中央駅間(全線) | なし(当時) | 1993年運行開始。名谷駅で緩急待避を実施。 1995年、阪神・淡路大震災を機に廃止。 |
東京メトロ有楽町線 | 準急 | 和光市駅 - 池袋駅間 | 東武東上線 西武有楽町線・池袋線 |
2008年6月14日運行開始。有楽町線内での緩急待避はなし。 2010年廃止。 |
地下鉄は建設費が高額なため、新しく建設された路線は建設費の償却負担が重く、赤字経営となっているのが多い。それに対して、都市経営の観点から一等地を通る優良路線から建設された側面もあり、古い路線ほど利用客の多いルートを通っている上、インフレの進む前のコストが安い時期に建設されて償却費負担が軽いため、銀座線・丸ノ内線・御堂筋線・東山線などの歴史ある路線は全て黒字経営である。そのため、こうした古くから営業している償却負担が少なくて利用者の多い優良路線を多数抱え、新線建設が比較的少ない東京地下鉄は黒字経営となっている。
日本の公営地下鉄は、地方自治体経営における交通部門の施策の一つとして、鉄道単体の収支以外に地下鉄建設による環境負荷軽減効果、渋滞緩和効果、地価上昇効果、税の増収効果、住民の便益向上効果などを、総合的に判断して経営されている。
民鉄やJRの経営状況を鉄道事業以外の小売事業やカード事業など母体会社の連結対象となる事業を含めた決算資料で判断しなければ、適正な経営状況を把握できないのと同様、地方自治体の地下鉄事業による総合的な収支の把握は、その連結対象となる経済効果の経済価値を含めて判断しなければならない。
しかし、現状では、地下鉄事業によって波及して発生している経済効果を把握していく適切かつ統一した会計基準がないばかりか、地下鉄事業本体の会計に至っても適切かつ統一した会計基準がない状況である。
例を挙げれば、減価償却費を各自治体が、どのように計上していくかによって決算の数字が大きくブレる可能性がある。また札幌市営地下鉄や福岡市地下鉄のように赤字分を市一般会計から補填するかたちで総額のうえで黒字計上としている場合もある。
以下に示すのは、各社局によって公表されている「地下鉄決算」の断片を拾ったデータだが、通常、よく目にする損益計算書とは意味が大きく異なる資料であることを認識して取り扱わなければ地下鉄事業の意義を見誤ることになる。
▲は赤字を示す。
名称 | 会計年度 | 純損益 | 累積欠損金 | 出典 |
---|---|---|---|---|
札幌市営地下鉄 | 令和4年度 | 約57億5542万円 | 約2026億0287万円 | [35] |
仙台市地下鉄 | 令和4年度 | ▲約16億2895万円 | 約973億8718万円 | [36] |
都営地下鉄 | 令和4年度 | ▲約4億4800万円 | 約2151億7500万円 | [37] |
横浜市営地下鉄 | 令和4年度 | 約20億6200万円 | 約1443億5700万円 | [38] |
名古屋市営地下鉄 | 令和4年度 | 約39億0000万円 | 約2080億0000万円 | [39] |
京都市営地下鉄 | 令和4年度 | ▲約6億7800万円 | 約3124億4400万円 | [40] |
神戸市営地下鉄 | 令和4年度 | ▲約21億2090万円 | 約 838億8831万円 | [41] |
福岡市地下鉄 | 令和4年度 | 約37億 857万円 | 約1088億9098万円 | [42] |
全国の公営地下鉄(東京地下鉄・大阪市高速電気軌道除く)で黒字の路線は、黒字額が大きい順に示すと以下のようになる。
路線名 | 会計年度 | 純利益 | 出典 |
---|---|---|---|
都営地下鉄浅草線 | 平成30年度 | 約143億3500万円 | [37]の14ページ目 |
名古屋市営地下鉄東山線 | 平成19年度 | 約119億6000万円 | [47] の36ページ目 |
都営地下鉄新宿線 | 平成30年度 | 約113億7800万円 | [37]の14ページ目 |
都営地下鉄三田線 | 平成30年度 | 約99億5400万円 | [37]の14ページ目 |
横浜市営地下鉄ブルーライン | 平成26年度 | 約65億 | 200万円[48] の9ページ目 |
神戸市営地下鉄西神・山手線 | 平成30年度 | 約60億2900万円 | [41] の3ページ目 |
札幌市営地下鉄南北線 | 平成30年度 | 約53億2500万円 | [49] |
札幌市営地下鉄東西線 | 平成30年度 | 約41億1900万円 | [49] |
仙台市地下鉄南北線 | 平成26年度 | 約33億 | 962万円[50] |
名古屋市営地下鉄鶴舞線 | 平成19年度 | 約29億5100万円 | [47] の9ページ目 |
京都市営地下鉄烏丸線 | 平成20年度 | 約10億3700万円 | [51] の5ページ目 |
都営地下鉄大江戸線 | 平成30年度 | 約9億8100万円 | [37] の1ページ目 |
札幌市営地下鉄東豊線 | 平成30年度 | 約5億7600万円 | [49] |
以上の路線が黒字を示している。また、各路線の黒字額は不明だが、平成18年度の福岡市地下鉄空港線と福岡市地下鉄箱崎線両線の黒字額は合わせて約39億1000万円となっている[52]。
なお札幌市営地下鉄東豊線においては一般会計からの補助金による営業外収入により黒字決算扱いとなってはいるが、実質的には赤字が発生しているものと推察される。
逆に、赤字額が大きい路線を順に示すと以下のようになる。
路線名 | 会計年度 | 純損失 | 出典 |
---|---|---|---|
京都市営地下鉄東西線 | 平成20年度 | 約154億5300万円 | [51] の5ページ目 |
名古屋市営地下鉄桜通線 | 平成19年度 | 約129億1000万円 | [47] の9ページ目 |
福岡市地下鉄七隈線 | 平成18年度 | 約62億 | 0万円[52] |
神戸市営地下鉄海岸線 | 平成30年度 | 約37億7200万円 | [41] の3ページ目 |
の順で赤字が大きくなっている(支出には減価償却費も含むので収入に対する営業支出が多い路線を意味するとは限らない。減価償却=「損失」ではないが、建設された時期の遅い新しい路線ほど減価償却費が多く、損失が大きい傾向にある。代表的な例として大江戸線を例にとると建設費に対する減価償却が損失の大半を占めており、減価償却前のランニングコストだけの段階では黒字経営となっている。)。
日本全国の公営地下鉄と東京地下鉄・大阪市高速電気軌道の各路線の1日平均輸送人員を、下記に表す。路線別の平均輸送人員には乗り継ぎ分を含む。2012年度(平成24年度)、2016年度(平成28年度)2019年度(平成30年度)2022年度(令和4年度)の数値(日本地下鉄協会ホームページより)。
事業者名 | 路線名 | 一日平均輸送人員 (2012年度/千人) |
一日平均輸送人員 (2016年度/千人) |
一日平均輸送人員 (2019年度/千人) |
一日平均輸送人員 (2022年度/千人) |
---|---|---|---|---|---|
札幌市交通局 | 全線 | 570 | 620 | 631 | 552 |
南北線 | 224 | 234 | 237 | 201 | |
東西線 | 211 | 234 | 242 | 221 | |
東豊線 | 136 | 152 | 153 | 131 | |
仙台市交通局 | 全線 | 161 | 229 | 249 | 227 |
南北線 | 161 | 187 | 195 | 174 | |
東西線 | 62 | 77 | 75 | ||
東京メトロ | 全線 | 8,391 | 7,239 | 7,579 | 5,950 |
銀座線 | 1,039 | 1,109 | 1,149 | 822 | |
丸ノ内線 | 1,136 | 1,316 | 1,377 | 1,104 | |
日比谷線 | 1,082 | 1,181 | 1,236 | 974 | |
東西線 | 1,322 | 1,430 | 1,467 | 1,158 | |
千代田線 | 1,126 | 1,241 | 1,310 | 1,038 | |
有楽町線 | 959 | 1,103 | 1,160 | 932 | |
半蔵門線 | 897 | 1,027 | 1,077 | 849 | |
南北線 | 464 | 537 | 579 | 448 | |
副都心線 | 366 | 553 | 590 | 487 | |
東京都交通局 | 全線 | 2,699 | 2,688 | 2,821 | 2,242 |
浅草線 | 635 | 719 | 765 | 600 | |
三田線 | 573 | 638 | 673 | 548 | |
新宿線 | 665 | 746 | 792 | 648 | |
大江戸線 | 826 | 934 | 977 | 750 | |
横浜市交通局 | 全線 | 616 | 646 | 670 | 582 |
ブルーライン | 499 | 531 | 548 | 438 | |
グリーンライン | 117 | 140 | 148 | 116 | |
名古屋市交通局 | 全線 | 1,664 | 1,295 | 1,336 | 1,148 |
東山線 | 556 | 597 | 603 | 518 | |
名城・名港線 | 567 | 614 | 634 | 535 | |
鶴舞線 | 265 | 291 | 298 | 260 | |
桜通線 | 249 | 276 | 290 | 250 | |
上飯田線 | 27 | 32 | 34 | 30 | |
京都市交通局 | 全線 | 339 | 379 | 397 | 348 |
烏丸線 | 216 | 241 | 251 | 246 | |
東西線 | 123 | 138 | 146 | 150 | |
Osaka Metro | 全線 | 2,900 | 2,457 | 2,520 | 2,216 |
御堂筋線 | 1,109 | 1,157 | 1,205 | 1,062 | |
谷町線 | 483 | 517 | 528 | 463 | |
四つ橋線 | 248 | 259 | 271 | 228 | |
中央線 | 293 | 313 | 327 | 290 | |
千日前線 | 178 | 194 | 197 | 174 | |
堺筋線 | 305 | 331 | 352 | 288 | |
長堀鶴見緑地線 | 151 | 168 | 176 | 161 | |
今里筋線 | 61 | 66 | 68 | 63 | |
神戸市交通局 | 全線 | 304 | 307 | 313 | 285 |
北神・山手・西神線 | 261 | 262 | 263 | 270 | |
海岸線 | 43 | 45 | 50 | 45 | |
福岡市交通局 | 全線 | 376 | 439 | 470 | 399 |
空港線 | 295 | 344 | 366 | 307 | |
箱崎線 | 29 | 34 | 36 | 32 | |
七隈線 | 68 | 82 | 91 | 80 | |
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