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ミストリオスクス(学名:Mystriosuchus)[1]は、後期三畳紀ノーリアン期中期にヨーロッパとグリーンランドに生息していた、絶滅した植竜類の属。Eberhard Fraas により1896年に命名され、タイプ種の M. planirostris のほか、M. westphali、M. steinbergeri、M. alleroq の計4種がいる[2][3]。
ミストリオスクス | |||||||||||||||||||||||||||
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ミストリオスクスの頭蓋骨 | |||||||||||||||||||||||||||
地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||
後期三畳紀 | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Mystriosuchus Fraas, 1896 | |||||||||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||||||||
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1995年に発見された完全な骨格に基づくと、Mystriosuchus planirostris は全長約4メートルである[4]。体骨格の解剖学的特徴からは、ミストリオスクスは他の既知の植竜類よりも水棲生活に適応していたことが示唆される。具体的には、ミストリオスクスは短いパドル状の四肢を有し、そして他の植竜類では遥かに多様性に富む皮骨板が2種類しか存在しない[4]。現生のインドガビアルのように長い顎を有する頭蓋骨の形態は、ミストリオスクスが主に魚類を捕食していたことを示唆する[2]。いくつかの標本は海成層の化石産地から産出してもいる[4][5]。植竜類におけるマイクロウェアの研究からは、彼らがより軟らかい無脊椎動物を好んでいたことが示唆される[6]。
M. planirostris はその種小名から示唆される通り、吻部が平坦であり、骨性の修飾やクレストを持たない。一方で M. westphali は複数の骨質のクレストが上顎に沿って走っており、特に吻部先端と基部で卓越する。ケラチン質のクレストも植竜類では知られており[7]、M. planirostris も軟組織の修飾を有した可能性はある。
ミストリオスクスが有する椎骨は多く、頸椎と胴椎で25個、仙椎で2個、尾椎で74個に及ぶ。脊柱は完全で、かつほぼ関節しているが、尾の一部は背側からしか見ることができない。軸椎から後方の椎骨は片方の面が平坦でもう一方が窪む形態をしており、また全体的な形状は長方形に近い。保存が不完全であるため頸椎と胴椎の区別は不可能であるが、25個の椎骨のうち少なくとも17個は胴椎に由来する。胴椎は頸椎と比較して上下に低く、また左右に幅広であるが、僅かに軽量な作りとなっている。仙椎は腸骨と接触する幅の広い肋骨を伴う。尾椎は身体の他の部位と比べて長く、ミストリオスクスの全長のうち51%を占める。前方の17個の尾椎は頸椎・胴椎のものと関節面の形状や概形が類似する。第四尾椎以降は血道弓が存在するが、尾の始まりで緩く接するのみに留まる。尾の末端で尾椎は傾斜し、血道弓は逆T字型をなす。この逆T字型は他の植竜類には見られない特徴であるが、いくつかの鰭竜類やワニでは見ることができる[4]。
かつてミストリオスクスは自身をタイプ属とするミストリオスクス亜科に分類されてきたが[8][9]、より新しい分岐分析によれば、プセウドパラトゥス亜科の他のメンバーと共に同じ分類群に位置付けられている。ただし、プセウドパラトゥス亜科の他の属とは形態的な差も認められる[2]。当初ミストリオスクスは淡水性の属と考えられていたが、イタリア北部から産出した標本に基づき、完全に海洋に生息していた個体もいたことが判明している[10]。パラスクスに関する論文において、Christian Kammererらはミストリオスクス族がプセウドパラトゥス亜科に対して先取権を持つことを指摘し、プセウドパラトゥス亜科をミストリオスクス族のシノニムとした[11]。
以下のクラドグラムは Stocker (2012) に基づく[12]。
植竜類 |
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