マアリブ (イエメン)
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マアリブ(アラビア語: مأرب、Ma'rib)は、イエメンの都市。人口16794人(2005年)。首都サナアの東120km、ルブアルハリ砂漠の西に位置する。かつてのサバア王国の首都であったとされ、シバの女王ビルキスの居城であったとされるアルシュ・ビルキスなどの遺跡がある。
サバア王国はマアリブに巨大なマアリブ・ダム(英語版)を築き、そのダムは近隣地域を潤して肥沃な農耕地帯となり、マアリブも繁栄した。このダムは1000年以上にもわたって維持され、この地域の繁栄を支えたものの、西暦575年に崩壊し、以後20世紀にはいるまで再建されることはなかった。また、クルアーンの34番目のスーラ『サバア』によると、西暦2世紀の初めごろにも決壊し、果樹園をヤナギと僅かばかりのハマナツメが生える園に変えたこともある[1]。1986年、アラブ首長国連邦の援助によって新ダムが完成し、約1500年ぶりにダムが復活した。
ダムの存在した時代は、この町は乳香や没薬[2]の取引で知られ、対岸のエリトリアにあったダムト王国と活発な取引を行っていた。その富を求めて紀元前25年にはローマ帝国のアウグストゥスの部下であるアエリウス・ガルスがこの町へと遠征を行った[3]ものの失敗に終わった。
マアリブの旧市街は20世紀に入って放棄され、その3.5km北に新市街が建設された。1986年、マアリブに石油精製所が建設され、2009年には1日1万バレルの精製能力を持っている。2009年11月には、一日25000バレルへと精製能力を上げる改修工事を行う契約を発表した[4]。また、マアリブからはマアリブ-ラス・イサパイプラインが通っており、1日20万バレルの石油を送ることができる.[5]。
2015年に始まったイエメン内戦では、石油産出施設を有するマアリブの支配権が優劣のカギになるとして、2021年2月以降、サウジアラビアなどのバックアップを受けて市内を掌握する政府軍と奪取を目指す反政府軍(フーシ派)の間で激しい戦闘が繰り返された[6]。