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ウィキペディアから
ボチョウジ属(ぼちょうじぞく; 学名: Psychotria)はアカネ科の属の1つ。極めて多くの種が含まれる。
ボチョウジ属 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Psychotria L. | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
タイプ種 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ボチョウジ Psychotria asiatica | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
種 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本文参照 |
直立性の低木から小高木だが、一部につる植物になるものがある[2]。葉は対生で托葉が葉柄の間にあり、これは往々に癒合している。葉は革質で縁は滑らかで切れ込んだりしない[3]。
花は茎の先端に生じる集散花序か円錐花序の形で付き、個々の花は小さいのが普通。萼は短い筒を作り、先端は5つの歯になるが、この歯は早くに脱落する。花冠の基部は花筒を作り、この部分は真っ直ぐで先端は5つに裂けるが、これは希に4ないし6裂の例がある。雄蘂は花冠の裂片と同数で花筒の内側につき、花糸は普通は短い。葯は細長い形で花筒から僅かに外に出る[4]。子房は2室で、それぞれに胚珠が1つだけある。果実はさほど大きくならず、球形から卵円形などの形を取り、多少とも液果、つまり柔らかい果肉に包まれた果実になって中に2個の核を含む。核には1個の種子が含まれ、種子は片面が扁平でもう片面が盛り上がるか、あるいは稜を持つ。
学名はギリシャ語の psyche (生命)と trepho (保つ)に由来し、これは本属に薬用の種が含まれることによる[5]が、ボチョウジ属が史上初めて記載されたのは1759年のリンネによる Syst. Nat. ed. 10, 2: 929 であり[6]、掲載種は Psychotria asiatica、つまりボチョウジただ1種のみである。
世界の熱帯から亜熱帯に広く分布する[3]。
この属は初島(1975)では500種、山崎(1989)では700種、福岡(1997)は800種、Davis et al. (2001)では2000種近く、Govaerts (2019) では1782種とある。種数の多さでは樹木を含む植物の属では最大のものの一つとのことで、その多様性と分類学的な複雑さには「途方に暮れる」といい、しかも多くの地域でこの類の研究は不十分であるという。近年の分類研究によるとこの属は側系統かあるいは多系統である可能性が高く、例えば近縁の、しかし明らかに区別出来る属、例えばアリ植物であるヒドノフィツム属(Hydnophytum)[注 1]がこの属の系統の中に収まってしまうといったことが明らかになりつつある。従ってこの属と近縁の属の間で統合や細分がこれから行われる可能性が高い[9]。
日本産のものは以下の5種が知られる。ボチョウジとナガミボチョウジは3mに達しない低木で、オガサワラボチョウジは高木で最大8mに達する。オオシラタマカズラとシラタマカズラは這い上がるつる植物である。
日本には見られないアジア産のものとして、コーナー & 渡辺 (1969:711-3) は以下のような種を紹介している。分類情報は Govaerts (2019) を参考とした。
Beentje (1994) によれば、ケニアには以下のような種が見られる。分類情報は Govaerts (2019) を参考とした。
なお、高林・冨樫 (1989) で紹介されているコモロ原産のプシコトリア・バクテリオフィラ(Psychotria bacteriophila Valeton)は後に、既に上で触れた Psychotria punctata var. punctata のシノニムと見做されている[10]。
なお、高林・冨樫 (1989) で紹介されているブラジル原産のプシコトリア・ヤスミニフロラ(Psychotria jasminiflora (André) Mast.)は後に別属の Rudgea parquioides subsp. caprifolium (Zahlbr.) Zappi のシノニムと見做されている[10]が、これはアカネ亜科ということは共通しているものの連が異なり、トコン(Carapichea ipecacuanha)と同じ Palicoureeae に属す[18]。
またメキシコからアルゼンチンが原産で、人間の唇のような見た目の赤い苞葉が特徴であるサイコトリア・ペピギアナ[19](Psychotria poeppigiana Müll.Arg.; 別名: ホット・リップスなど)は論文 Borhidi (2011:248) で別属の Palicourea tomentosa (Aubl.) Borhidi(連は Palicoureeae)とされ、キュー植物園もこれを認めている[6]。
金平 (1933) はミクロネシア産のボチョウジ属植物として以下の5種を紹介している。
学名が示すように薬用とされる種がある。南米産のものにサイコトリア・ヴィリディス(P. viridis; チャクルーナ)というものがあるが、これはDMT(ジメチルトリプタミン)を含み、幻覚剤アヤワスカの原料の一つとして利用される[21]。ケニアではディゴ族(Digo)が P. amboniana(ディゴ語名は mukamasi)の葉の浸出液を赤子の頭痛に対して、P. holtzii(ディゴ語名: chifusi)の葉を燃やして出てきた煙を子供の頭の風邪に対して用いる[22]。
薬用植物として名の知られるトコン(吐根)はかつて本属に Psychotria ipecacuanha として含められていた[23]。
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