ベイツ型擬態
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ベイツ型擬態(ベイツがたぎたい、英語: Batesian mimicry、ベイツ氏擬態、ベイツ式擬態、ベイツ擬態とも)は、本来無害な種が捕食者による攻撃を免れるために、有害な種に自らを似せるという生物の擬態の一様式である。典型的には有毒種がもつ警告色と似た体色を、別の無毒な種が持つという例が挙げられる。ブラジルの熱帯雨林におけるチョウの研究をもとにこの様式の擬態を報告した、イギリスの博物学者ヘンリー・ウォルター・ベイツにちなんだ名称が付けられている。
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- ベイツ型擬態
- ベーツ型擬態
ベイツ型擬態は最もよく知られ、最もよく研究がなされている擬態様式である。よく似た別の擬態様式として、ミューラー型擬態が挙げられる。こちらは有毒な種どうしが互いに似た特徴を示すことで、お互いの捕食されるリスクを下げる互恵的な擬態様式である。また、ベイツ型擬態と対照的な擬態様式として、攻撃擬態(ペッカム型擬態)が挙げられる。これは逆に、捕食者の側が無害な種に擬態することで、捕食の成功率を上げるという擬態様式である。
ベイツ型擬態の研究ではほとんどの場合視覚シグナルが注目されるが、実際には他の感覚のシグナルも擬態の対象になりうる。例えばある種のガは、有毒なガがコウモリに対して発する超音波シグナルを真似ている。これは聴覚シグナルにおけるベイツ型擬態の例である。