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イギリスの航空母艦 ウィキペディアから
プリンス・オブ・ウェールズ(英語: Prince of Wales;R09)は、イギリス海軍の航空母艦。クイーン・エリザベス級航空母艦の2番艦であり[2][3]、同じ艦名として戦列艦「プリンス・オブ・ウェールズ」から数えて8代目になる。
本艦は、姉妹艦「クイーン・エリザベス」と並び、イギリス海軍史上最大の軍艦になる予定である。36機のF-35B統合打撃戦闘機と12機のヘリコプターを搭載する能力を備える。
船体は4つのセクションがポーツマス、ロサイス、バーロー・イン・ファーネス、クライドでBAEシステムズとVT グループによって建造される。最終組み立てを行うロサイスの1号乾ドックでは、「クイーン・エリザベス」と「プリンス・オブ・ウェールズ」のために改修工事が行われた[4]。
2007年7月25日、デズ・ブラウン国防大臣は、38億ポンドで2隻を発注した。このニュースは政治家、労働組合に歓迎された[5]。両艦ともポーツマス海軍基地を拠点とする予定である[6]。この時点の計画では空母はスキージャンプ式飛行甲板を備え、艦載ヘリコプターのほかF-35のV/STOL型であるF-35Bであった。
2008年12月11日、ジョン・ハットン国防大臣は、2隻の就航が当初予定の2014年と2016年よりも1年か2年遅れると発表した[3]。
2010年10月25日、戦略防衛・安全保障見直し2010に伴い、イギリス海軍はクイーン・エリザベス級航空母艦2隻の同時現役運用を断念すると発表した。運用される航空母艦を1隻にすることで、高騰するF-35のコスト76億ポンドを削減でき、「プリンス・オブ・ウェールズ」を、2018年に退役する揚陸ヘリ空母「オーシャン」の代替艦ともすることで、さらに6億ポンドの削減になると見積もられている。同時に本艦の搭載機がSTOVL機のF-35BからCTOL型のF-35Cに変更された。これに合わせて発艦方法がスキージャンプ方式から電磁式航空機発艦システム(EMALS,電磁式カタパルト)に変更され、対応する改修が行われた後2019年にCTOL空母として就役することになっていた[7]。2010年11月25日には、英『ガーディアン』電子版が、「プリンス・オブ・ウェールズ」がインド海軍に売却される可能性があると報じた。
2012年5月10日、F-35Cの実戦配備もまた2023年まで遅れる見込みのため、イギリス政府は本艦艦載機を再度F-35Bへ変更すると発表した。またフィリップ・ハモンド国防大臣は、STOVL型のF-35Bに変更されることにより、CTOL機向けの電磁式カタパルトやアレスティング・ワイヤーを装備しないことを示唆している[8]。
2015年の戦略防衛・安全保障見直し2015では2隻ともが人員を充足されイギリス海軍に就役し、常時最低1隻を運用可能とする方針が示された。
2017年9月8日に進水式が行われ、12月21日に建造ドッグより出渠した[9]。
2019年9月19日に試験航海に出航。12月10日にポーツマス海軍基地にて就役した。式典にはチャールズ皇太子とカミラ妃が出席した。
2022年8月27日、「プリンス・オブ・ウェールズ」はアメリカ東海岸での演習航海「ウエストラント22(Westlant 22)」に向かうためにポーツマスを出航したが、出航直後に右舷推進部の結合部や舵に損傷が見つかった。演習航海は中止され、代わって「クイーン・エリザベス」が9月8日に出航した。なお、「ウエストラント22」で予定された、「プリンス・オブ・ウェールズ」のF-35Bの運用能力認定も延期された[10]。この損傷を英国放送協会(BBC)は「アメリカへ演習に出発した直後に故障し、足を引きずりながら岸に戻ってきた」と揶揄した[11]。「プリンス・オブ・ウェールズ」はロサイスのロサイス造船所に入渠し修理を行ったが、「クイーン・エリザベス」の部品取りにされているとの情報もあり、ベン・ウォーレス国防大臣が一時的な応急処置と釈明する事態となった。約9か月の修理と能力強化を経て、「プリンス・オブ・ウェールズ」は2023年7月21日に出渠し、7月28日には公式TwitterにCH-47が飛行甲板に着艦する画像を投稿。7月31日には映画『トップガン マーヴェリック』に登場する台詞をパロディした文書を投稿して、飛行甲板の運用を再開したことをアピールした[12]。「プリンス・オブ・ウェールズ」はポーツマス海軍基地で、飛行甲板整備を行う予定である[11]。
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