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ヒナゲシ(雛芥子、雛罌粟、学名: Papaver rhoeas)は、ヨーロッパ原産のケシ科の一年草。
ヨーロッパ中部の原産[1]。畑の雑草、グビジンソウ(虞美人草)ともいう[1]。
耐寒性の一年草で、全体に粗毛が密生し、茎は直立し[1]、草丈50センチメートル (cm) - 1メートル (m) 位になる。葉は互生し、羽状に深い切れ込みがあり、裂片は線状披針形、葉縁は粗歯牙状になる[1]。初夏に花茎を出し、上の方でよく分枝し、茎の先に直径5 - 10 cmの赤・白・ピンクなどの4弁花を開く。現在タネとして売られているものには、八重咲きの品種が多い。ケシやオニゲシに比べるとずっと華奢で、薄い紙で作った造花のようにも見える。
ケシとは、毛がないところと、葉に深い切れ込みがない点で相違があり、区別することができる[1]。
ヒナゲシは、観賞用のオニゲシとともに栽培してよい種である[注釈 1]。
土質は選ばないが、排水がよい土地を選ぶ[1]。移植を嫌うので、9月下旬から10月中旬頃に、花壇に直まきする[1]。覆土はタネが見え隠れする程度でよい。かなり細かいタネなので、砂を混ぜて散布し、発芽してきたら間引いて[1]、株間が30 cmくらいになるようにする。
生薬名はないが、咲いた花は花柄とともに採取して乾燥したものが生薬になり、咳止めに利用される[1]。ケシにあるような麻薬成分は含まれていない[1]。民間では、乾燥花を1日量2 - 4グラムを、水300 ccで半量になるまで煎じた汁に砂糖を少量加えて、2 - 3回に分けて分服する用法が知られている[1]。
俗に「咳によい」「睡眠障害によい」「痛みを緩和する」などと言われているが、信頼できる研究方法[2][3]で調べた情報は見当たらない[4]。
乾燥させた花の摂取は安全性が示唆されているが、焼いた花の多量摂取は危険性が示唆され、頻脈、徐脈、吐き気、嘔吐、胃痛、不安、痺れ、呼吸困難、乳酸アシドーシス、瞳孔収縮、強直間代性発作、意識喪失を生じることがある[4]。
小児の花や生の葉の摂取は危険性が示唆され、妊娠中や授乳中の安全性については情報が不足しているため、摂取を避けることが求められる[4]。
グビジンソウ(虞美人草)名は、中国の伝説に由来している。
秦末の武将・項羽には虞と言う愛人がいた。項羽が劉邦に敗れて垓下に追い詰められた時に、死を覚悟した項羽が詠った垓下の歌に合わせて舞った。
この舞の後に彼女は自害した。彼女を葬った墓に翌夏赤くこの花が咲いたという伝説から、こう呼ばれる。
— 木下夕爾陽(ひ)に倦(う)みて雛罌粟(ひなげし)いよよくれなゐに
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