トルテカ帝国
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トルテカ帝国(トルテカていこく)は、メソアメリカ(メキシコ)に、テオティワカン崩壊後、チチメカ侵入前までに存在したと考えられてきた伝承上の帝国。トルテカ帝国の存立したとされる時期は、年代で言えば7世紀頃〜12世紀頃に当たるが、12世紀とされるチチメカ侵入を11世紀に置く研究者もいる。テスカトリポカとトピルツィン(英語版)とケツァルコアトルの伝説などで知られるこの帝国は、メキシコ中央高原を支配したとされた。
トルテカにまつわる伝承の多くにあらわれる「トゥラン」あるいは「トゥーラ」が、これらの語が「都市」を表す普通名詞でもあるにもかかわらず、具体的なトゥーラ遺跡のひとつであるトゥーラ・シココティトラン(イダルゴ州トゥーラ。以下、便宜上単に「トゥーラ」と記す)を指すと考え、その実在を主張する説は、研究者の間でも長くあとをたたなかった。その大きな原因をつくったのはメキシコの歴史家として知られるウィグベルト・ヒメネス・モレーノ(スペイン語版)であった。ヒメネス・モレーノは、文献記述中のさまざまな部族の移動ルートを検証し、地理的な記述、王朝の系図を暦関連の記述、ケツァルコアトルに関する伝承を突合し、イダルゴ州トゥーラが伝承上の「トゥーラ」であることをつきとめたが、他の成果については、後述するように複雑な資料操作による矛盾を指摘する研究者もいる。