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日本の競走馬 ウィキペディアから
ソールオリエンス(欧字名:Sol Oriens、2020年4月4日 - )は、日本の競走馬[1]。主な勝ち鞍は2023年の皐月賞、京成杯。
この記事は現役競走馬を扱っています。 |
ソールオリエンス | |||||||||
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第83回皐月賞出走時(2023年4月16日) | |||||||||
欧字表記 | Sol Oriens[1] | ||||||||
品種 | サラブレッド[1] | ||||||||
性別 | 牡[1] | ||||||||
毛色 | 鹿毛[1] | ||||||||
生誕 | 2020年4月4日(4歳)[1] | ||||||||
父 | キタサンブラック[1] | ||||||||
母 | スキア[1] | ||||||||
母の父 | Motivator[1] | ||||||||
生国 | 日本(北海道千歳市)[1] | ||||||||
生産者 | 社台ファーム[1] | ||||||||
馬主 | (有)社台レースホース[1] | ||||||||
調教師 | 手塚貴久(美浦)[1] | ||||||||
調教助手 | 名畑俊[2] | ||||||||
競走成績 | |||||||||
生涯成績 | 10戦3勝[1] | ||||||||
獲得賞金 |
5億7546万1000円[1] (2024年6月23日現在) | ||||||||
WBRR | I119 / 2023年[3] | ||||||||
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父はキタサンブラック。産駒に2022年の年度代表馬のイクイノックスがいる。母のスキアはGIIIフィユドレール賞(芝2100m)など仏3勝。産駒はGII富士ステークス勝利。GIドバイターフで2021年2着、2022年3着のヴァンドギャルド。フォティノース、セリノーフォスがそれぞれ2勝している。母父のモティヴェーターは、英ダービーを制している。祖母ライトクウェストは仏1勝。祖母父のクエストフォーフェイムは、英ダービーを制している。曽祖母グリームオブライトは英2勝。産駒に、英GIIチャレンジステークスを制したアラビアングリーム、孫には1000ギニーステークス、英オークス、ヨークシャーオークスなどGI5勝のラブがいる[5]。牝系は1号族-k分岐[6]。
2020年4月4日生まれ。2021年、募集馬名「スキアの20」として、予定厩舎手塚貴久、体高152.0cm、胸囲169.0cm、管囲20.5cm、馬体重375kg。募集総額6000万円(1口出資額150万円)で、社台レースホースによって募集された[7]。
2021年11月に左後肢に軽度の骨折などあったが、2022年8月まで社台ファームで育成された。吉田照哉は厩舎に行く度に、体重が何キロになったか聞いていたくらい体重増を気にした。キタサンブラック産駒について、「だんだん上がってくる馬が多い。逆に2歳時にあんまり走らないくらいがいいのかも」と話す[8]。手塚貴久は2021年5月に、初めて会った。「バネがありそうな感じはありました。筋肉のメリハリが、馴致を始める前からいいと思った」と話す[9]。
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【参考レース】2023年 京成杯|JRA |
2022年9月8日、美浦でゲート試験に合格した[10]。その後は外厩の山元トレーニングセンターで調整し、10月8日に帰厩。美浦のウッドチップ、坂路で11本走った[11]。デビュー戦の騎手は田辺裕信で予定していたが[12][注 1]、戸崎圭太に変更した。レース前、戸崎は「柔らかそうな走り。いいモノを持っていますね」と述べ、手塚は「クラシックに乗せたい馬」と期待をかけた[13]。
11月13日、東京競馬場5レースの2歳新馬戦(芝1800m)でデビュー。ゲートを出た際に隣とぶつかり後方も道中3番手につけ、レーベンスティールとの激しい追い比べを首差で勝利した。戸崎は「フットワークが良く、能力があると思っていた。レースは上手に走ってくれた。兄弟はテンションが高いが、今日は大丈夫だった。使ってどうなるか。素質はあると思う」と話した[14][注 2]。
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2023年 京成杯(GⅢ)|JRA |
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2023年 皐月賞(GⅠ)|JRA |
2023年1月15日に中山競馬場で行われる京成杯に挑戦。レース前に横山武史は「完成までに時間はかかりそうだけど、重賞でもいいレースをしてくれそう」。手塚は「かなり走るよ。中山は少しどうかと思うけど、走りに不安はない」と話した[15]。当日は2番人気(2.7倍)の支持を受け[16]、道中後方4番手で追走。3、4コーナーで進出して先頭集団に並びかけたところで、外に膨れたが立て直し、直線一気の豪脚で馬群を突き抜け、上がり3F最速の34.5で、2馬身半差の完勝。2連勝で重賞初優勝を飾った。また手塚、横山武史も京成杯は初勝利となった。
武史は「調教のときに右に倒れて走っていたので気を付けていたら、外に膨れて他馬に迷惑をかけてしまい、大変申し訳なく思います。馬を気にする面だったり、精神的にもフィジカルも成長して欲しいところですが、クラシックを期待していいと思います」。手塚は「ドゥラメンテみたいだった、課題は多いが、距離が持ちそうなのも分かった。このまま本番でもいい」と話した[17][18][19]。
次走としてトライアルレースを使わず、4月16日に行われる中山競馬場での皐月賞に直行することが、2月17日に明らかになった[20]。レース前、武史は「文句なし。状態は言うことなし」。手塚は「人気にしていただいても、それに応えるだけのレベルの馬かなと思っています」と話した[21]。当日は、単勝オッズはファントムシーフ(3.8倍)に次いで5.2倍の2番人気となり[22]、1989年以来の重馬場以上で開催された[注 3]。
レースは前半1000m58秒5のハイペースで進んだが、1枠1番のスタートから、雨で内が荒れた状態を避け馬場を選んで進んで後方を追走し、4コーナーでは後方2番手から、直線入り口では大外に持ち出してムチを入れるとぐんぐん加速、好位から抜け出したタスティエーラを差し切り、デビュー3連勝でGI初制覇を飾った[23][24][25]。史上初の京成杯勝ち馬による制覇。デビュー3戦目の皐月賞制覇は、2歳戦が実施され始めた1946年以降では最少キャリアの勝利。上がり3Fは35.5で2位のファントムシーフに0.9秒速く史上最大差(過去最大はナリタタイシンとドゥラメンテの0.6)、4コーナー17番手からの史上最大差の逆転勝利(過去最大はナリタタイシンの12番手)、無敗での戴冠は2021年のエフフォーリア以来20頭目[注 4]。1枠1番の勝利は1988年ヤエノムテキ、1994年三冠馬ナリタブライアンと2020年三冠馬コントレイルに次いで4頭目[注 5]。キタサンブラック産駒初のクラシック制覇。手塚調教師初の皐月賞制覇など、記録づくめの勝利だった[26]。
武史は「馬場が特殊だったので、外を走りたいと思っていました。スタートで思った以上に行き脚がつかず、ポジションを取る予定でしたが切り替えてこの馬のリズムで運ぶことに決めました。負けるとしたら展開のアヤだったり、もっと強い馬がいたりした時かなと思いましたが、状態は言うことないぐらい本当に良かったですし、返し馬から自信がありました。とてもいい馬です」「普段からたくさんいい馬に乗せていただいているにもかかわらず、去年はいい成績を残せなかったので、毎日研究して、それでも結果が出なかったんです。馬のおかげですが、やっとここでいい結果を出せて本当に良かったです。久しぶりにGIを勝ちましたし、これを超える喜びはないです。日本ダービーは良い結果を得られていません。間違いなく成長しているはずなので、技術を上げた姿を、大きい舞台でこの馬と一緒に皆さんに披露することができたらなと思います」。手塚は「想像以上ですごいと思いました。経験の少ない中、ファンの皆さんに人気にして頂いて条件の悪い中で結果を出してくれました。難しい条件でどうするかと思っていたのですが騎手がうまく乗ってくれました。離れていたのでゴール直前まで届くかどうかはわかりませんでした。良く伸びてくれました」と話した[27]。名畑助手はフィエールマン、シュネルマイスターなどを担当していたが、「競馬が終わって『やったー』というよりも、どえらい馬をやっているなという緊張が勝ちました」。競馬学校の厩務員課程時、横山武史も騎手課程で在籍しており「武史とG1を勝ちたいと思っていたので、今までのG1とは違ううれしさがありました」と話した[28]。
社台ファームはロゴタイプ以来の10勝目。吉田照哉は「1番枠を引いた時は厳しいかなと思った。母の父はモティヴェーターですから、私は当初から距離が延びていい、ダービー向きのタイプだとみていました」と話した。社台レースホースはイスラボニータ以来の6勝目。吉田哲哉は「この血統は制御が難しいところがありますが、この子は比較的おとなしかったのでそれがいい方向に出たかもしれません」と話した[29]。20日、JRAはディーマジェスティ、コントレイル、エフフォーリアと並ぶ歴代トップタイのレーティング120と発表した[30]。
次走は東京優駿(日本ダービー)と発表され、アクシデントなくレースまで順調に調教を重ねた。5月25日、東京優駿の枠順が発表。ソールオリエンスは3枠5番に入ることとなった。無敗で皐月賞を制した馬がダービーで5番枠に入った例はグレード制施行以降これまで3例あり、1984年シンボリルドルフ、2005年ディープインパクト、2020年コントレイルが該当する。この3頭は全て無敗で三冠馬となっており、特にコントレイルとは皐月賞の枠順も同じであった[31]。さらに5番枠から出走して勝った馬の中には後の三冠馬オルフェーヴルもおり、手塚厩舎の平塚調教助手も「いいところじゃないですか」と好印象を持った[32]。そしてその枠はオッズ面でも人気・期待を呼び、単勝1.8倍と人気を被った[33]。
レースでは、好スタートを切ると前目につける。レースはプリンシパルステークスを勝ったパクスオトマニカがスローペースで馬群を引っ張り、3コーナーでは大きなリードを取る中、中団インに待機。直線に入ってから武史が追い始める。残り350m付近で進路を外に見出し、懸命に追い上げる。最終的にゴール板前では、外から追い込むハーツコンチェルトと内から追う武史の兄・横山和生の駆るべラジオオペラ[注 6]の追撃はハナ差で抑えるも、先に抜け出ていた皐月賞で2着に破ったタスティエーラにはクビ差届かず、2着となり無敗での二冠達成は夢と散った[34][35]。
武史は2021年、1番人気のエフフォーリアを駆り、このレースに参戦。ハナ差でシャフリヤールに届かなかった。この件のこともあり、武史の今回のダービーに対する思いは強く、「勝ちたい一心です」「勝ちたいです」と語っていた[36]が、雪辱を果たすには至らず、逆に負かした相手に果たし返される格好となった。馬主の社台レースホースも、イスラボニータで2着となった2014年に次ぎ、所有馬の二冠達成はならなかった。レース後武史は、「1番人気に応えられず、申し訳ないです。バランス的に内に倒すようなしぐさを見せるところがありました」「スローペースで道中手綱を引っ張った分、切れをそがれた感じです。運がなかったです」と語った[34]。
以下の内容は、JBISサーチ[37]およびnetkeiba.com[38]の情報に基づく。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭 数 | 枠 番 | 馬 番 | オッズ (人気) | 着順 | タイム (上り3F) | 着差 | 騎手 | 斤量 [kg] | 1着馬(2着馬) | 馬体重 [kg] |
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2022.11.13 | 東京 | 2歳新馬 | 芝1800m(良) | 9 | 5 | 5 | 1.4 (1人) | 1着 | 1:50.8(33.3) | 0.0 | 戸崎圭太 | 55 | (レーベンスティール) | 460 | |
2023. 1.15 | 中山 | 京成杯 | GIII | 芝2000m(良) | 9 | 4 | 4 | 2.7 (2人) | 1着 | 2:02.2(34.5) | -0.4 | 横山武史 | 56 | (オメガリッチマン) | 462 |
4.16 | 中山 | 皐月賞 | GI | 芝2000m(重) | 18 | 1 | 1 | 5.2 (2人) | 1着 | 2:00.6(35.5) | -0.2 | 横山武史 | 57 | (タスティエーラ) | 462 |
5.28 | 東京 | 東京優駿 | GI | 芝2400m(良) | 18 | 3 | 5 | 1.8 (1人) | 2着 | 2:25.2(33.3) | 0.0 | 横山武史 | 57 | タスティエーラ | 460 |
9.18 | 中山 | セントライト記念 | GII | 芝2200m(良) | 15 | 8 | 14 | 1.6 (1人) | 2着 | 2:11.7(34.0) | 0.3 | 横山武史 | 56 | レーベンスティール | 460 |
10.22 | 京都 | 菊花賞 | GI | 芝3000m(良) | 17 | 7 | 14 | 2.7 (1人) | 3着 | 3:04.0(35.1) | 0.9 | 横山武史 | 57 | ドゥレッツァ | 464 |
12.24 | 中山 | 有馬記念 | GI | 芝2500m(良) | 16 | 1 | 1 | 6.5 (3人) | 8着 | 2:31.6(34.8) | 0.7 | 川田将雅 | 56 | ドウデュース | 466 |
2024. 2.25 | 中山 | 中山記念 | GII | 芝1800m(稍) | 16 | 2 | 3 | 3.4 (1人) | 4着 | 1:48.6(36.4) | 0.5 | 田辺裕信 | 58 | マテンロウスカイ | 466 |
3.31 | 阪神 | 大阪杯 | GI | 芝2000m(良) | 16 | 5 | 10 | 8.2 (5人) | 7着 | 1:58.7(35.1) | 0.5 | 横山武史 | 58 | ベラジオオペラ | 456 |
6.23 | 京都 | 宝塚記念 | GI | 芝2200m(重) | 13 | 6 | 9 | 16.9 (7人) | 2着 | 2:12.3(34.0) | 0.3 | 横山武史 | 58 | ブローザホーン | 460 |
調教師の手塚は「速い脚が長く続くのはなかなかない。“シュッ”と一瞬切れる馬はいるけど、“シュー”っといける。うちで言うとフィエールマンがそうだった」「トモなどの緩さはあるが、つなぎが他の馬より少し長いので、より体が沈んで、踏み込みが“グーン”となる。僕はジョッキーが『緩い』と言う方が走ると思っていますから」と評価した[9]。
騎手の横山武史は、一番の長所に「操縦がしやすい真面目さですかね。控えたり我慢させたい時に対応してくれますし、ゴーサインを出したらスッと反応してくれます」と挙げた。「初めてのタイプ。ポテンシャルは高いけど、乗り味だけだったらエフフォーリア、タイトルホルダー、キラーアビリティ、ウンブライル、スターズオンアースの方が背中はいい。でも、競馬に行ったら素晴らしい。調教では見せない、競馬でしか見せない部分」と評価した[39]。
日本調教師会の鈴木康弘名誉会長は、胴も脚も首も長かったステイヤー体形の父とは対照的な短中距離体形。胸と後駆がバランス良く発達している。両前へ負重を強くかけた立ち姿から前向きな気性がうかがえると評価した[40]。
ソールオリエンスの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | サンデーサイレンス系 |
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父 キタサンブラック 鹿毛 2012 |
父の父 ブラックタイド黒鹿毛 2001 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | ||||
*ウインドインハーヘア | Alzao | |||
Burghclere | ||||
父の母 シュガーハート鹿毛 2005 |
サクラバクシンオー | サクラユタカオー | ||
サクラハゴロモ | ||||
オトメゴコロ | *ジャッジアンジェルーチ | |||
*テイズリー | ||||
母 スキア 鹿毛 2007 フランス |
Motivator 鹿毛 2002 |
Montjeu | Sadler's Wells | |
Floripedes | ||||
Out West | Gone West | |||
Chellingoua | ||||
母の母 Light Quest鹿毛 2000 |
Quest For Fame | Rainbow Quest | ||
Aryenne | ||||
Gleam of Light | *デインヒル | |||
Gold Runner | ||||
母系(F-No.) | (FN:1-k) | [§ 2] | ||
5代内の近親交配 | Lyphard 5・5(父内) | [§ 3] | ||
出典 |
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