サビニの女たちの掠奪 (プッサン)
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『サビニの女たちの掠奪』(サビニのおんなたちのりゃくだつ、仏: L'Enlèvement des Sabines、英: The Rape of the Sabine Women)は、17世紀フランスの巨匠ニコラ・プッサンによって描かれた、古代ローマの歴史を題材にしたキャンバス上の油彩画である。2点のヴァージョンがあり、それぞれニューヨークのメトロポリタン美術館とパリのルーヴル美術館に所蔵されている[1][2]。
メトロポリタン美術館の作品は、ローマ駐在のフランス大使クレキ元帥が所有していたものである。彼は成人期をローマで過ごしていたプッサンに会う機会があったと思われる。作品は1946年にメトロポリタン美術館の所有となった[1]。ルーヴル美術館の作品はローマのルイージ・オモデイ枢機卿の所有であったが、1685年にフランス国王ルイ14世の所有となり、おそらく1779年にルーヴル美術館に入った[2]。
本作は長年フランス古典主義絵画を定義する傑作とされてきた[1]。その主題は、古代のローマ建国にまつわるサビニの女たちの掠奪の伝説に基づく。若い女性のいないローマの町のためにロムルスが詭計をたて、若い女性を掠奪して娶るために近隣のサビニの村人を祭りに招いたという伝説である。プルタルコスの『ロムルスの生涯』(14-19)、またはティトゥス・リウィウスの『ローマ建国史』(I-XI) に基づく。この作品に描かれているのは、画面左端にいるロムルスが外套を持ち上げて、ローマの兵士たちにサビニの女性たちを捕らえる合図を送っているところである[1][3]。
本作の制作の過程で、プッサンは、ルネサンス期のジャンボローニャの彫刻、ピエトロ・ダ・コルトーナの絵画作品、古代古代ローマ彫刻の『妻を殺して自害するガリア人』、『コンスタンティヌスの凱旋門浮彫』などに影響を受けてきたことが指摘されている。メトロポリタン美術館の作品に限れば、『ボルゲーゼの剣闘士』(ルーヴル美術館) にも影響を受けていると思われる。『ボルゲーゼの剣闘士』の姿は、前景右手前の3人の人物の中央で左手に刀を持って狼藉をはたらくローマ兵のポーズに類似しているからである。古代美術からの影響は、この兵士が着けている黄色い鎧からもうかがえる。鎧は、男性の胴体の形をかたどって皮革で作られたローマ時代のロリカを手本にしている[1]。
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