グリニャール試薬
有機金属試薬 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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グリニャール試薬(グリニャールしやく、英: Grignard reagent)はヴィクトル・グリニャールが発見した有機マグネシウムハロゲン化物で、一般式が R−MgX と表される有機金属試薬である(R は有機基、X はハロゲンを示す)。多彩な用途を持ち、有機金属化学の黎明期を支えた試薬であり、今もなお有機合成には欠かせない有機反応試薬として、近代有機化学史を通して非常に重要な位置を占めている[1][2]。
その調製は比較的容易であり、ハロゲン化アルキルにエーテル溶媒中で金属マグネシウムを作用させると、炭素-ハロゲン結合が炭素-マグネシウム結合に置き換わりグリニャール試薬が生成する。生成する炭素-マグネシウム結合では炭素が陰性、マグネシウムが陽性に強く分極しているため、グリニャール試薬の有機基は強い求核試薬 (形式的には R−)としての性質を示す。
また、強力な塩基性を示すため、酸性プロトンが存在すると、酸塩基反応によりグリニャール試薬は炭化水素になってしまう。そのため、水の存在下では取り扱うことができず、グリニャール試薬を合成する際には原料や器具を十分に乾燥させておく必要がある。これらの反応性や取り扱いはアルキルリチウムと類似している。
調整済のグリニヤール試薬が市販されており、工業的スケールで使用することができる[3]。