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グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(glycerol-3-phosphate dehydrogenase; GPDH, G3PD, G3PDH)は、次の化学反応を触媒する酸化還元酵素である。
反応式の通り、この酵素の基質はsn-グリセロール3-リン酸とキノン化合物、生成物はグリセロンリン酸とキノール化合物である。組織名はsn-glycerol 3-phosphate:quinone oxidoreductaseである。FADを補因子とすることから、特にFAD依存的グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼと呼ぶことがある。
FADを補因子とする膜結合型の酵素である。四次構造の違いにより概ね2種類に分けられる。
哺乳類においてミトコンドリアGPDH(GPD2)の発現レベルが高いのは、褐色脂肪組織、筋肉、脳などで、逆に肝臓や心臓では低い。それ以外に、膵臓のβ細胞、精巣、胎盤などで重要な役割を担っていることが知られている。[2]
複合体IIや複合体Iの場合とは異なり、ミトコンドリアGPDHの変異を原因とする致死的な疾患は知られていない。これは、脂質代謝という点では細胞質GPDHが十分に機能しており、電子伝達系との関連ではリンゴ酸-アスパラギン酸シャトルが代替しうるからだと考えられる。それでもミトコンドリアGPDHが欠損すれば、個体や器官の代謝・エネルギー調節に悪影響を及ぼす。ミトコンドリアGPDHの欠損に由来する精神遅滞の報告があるし、インスリン非依存型糖尿病の一因になっている例も知られている。[2]
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