オルケゾグラフィ
ウィキペディア フリーな encyclopedia
『オルケゾグラフィ』(フランス語 Orchesographie et traicté en forme de dialogue par lequel toutes personnes peuvent facilement apprendre & practiquer l'honneste exercice des dances)は、1589年(勅許は1588年)にラングルの僧侶であったジュアン・タブロ(Jehan Tabourot)がトワノ・アルボ(Thoinot Arbeau)の名で出版したダンスを取り扱った書である。
この書は1596年に著者の死後の再版をされた他、1878年以降、数多くの再版をされて現在に至っている。
オルケゾグラフィは16世紀のダンスの実際についての最も完全な資料である。また特筆すべきことは初めて楽曲に対応させてダンスのステップを詳細に記録した手引書ということであろう(21曲に及ぶ舞曲の楽譜が記載されている)。同時に打楽器についての初めての指導書でもある[1]。
オルケゾグラフィの目的は若い「人々」、つまり良家の子女にダンスのステップと作法を手ほどきすることにあり、扱われているダンスは中世やこれに先立つ時代の書物に現れるものとは差異を見せている。こうした、「教育書」といえる書物の初期の例としても画期的な書のひとつである。
本文はCapriolと名乗るダンスの技術には未熟な宮廷の若者が、その指導者であるアルボArbeauに教えを請う会話形式で書かれている。.
扱われているダンスは、「もう古くて踊られないもの」としてバスダンス(Basse-Danse)、パヴァーヌ(Belle qui tiens ma vieというシャンソンが例として挙げられている)、アルマンドの列を作っての舞踏、トゥルディオン、ガイヤルド、ヴォルタ、クーラント、各種のブランル、ガヴォットの一例、モリスク(モレスカ)、カナリー、スペインのパヴァーヌ、各種のブフォンである。
オルケゾグラフィは20世紀においても影響を与えた。イーゴリ・ストラヴィンスキーのバレー「アゴン」、ピーター・ウォーロック(同書の英訳を一部担当している)の「カプリオール組曲」は同書に基づいて作曲された。