アリゲーターガー
ウィキペディア フリーな encyclopedia
アリゲーターガー (英語: Alligator gar、学名:Atractosteus spatula) は、ガー目ガー科[注 1]アトラクトステウス属[5]に分類される魚類の一種。ガー科の最大種で、北アメリカ大陸最大級の淡水魚である[6][注 2]。化石記録によると、ガー科は1億年以上前の白亜紀前期から存在していた。ガーは、サメの消化器系にも共通する腸の螺旋弁や、鰓呼吸と空気呼吸の両方を行うことのできる能力、初期の祖先の形態学的特徴の一部を保持しているため、「原始的な魚」や「生きた化石」と呼ばれることが多い。アリゲーターガーという名前は、幅広い吻と長く鋭い歯がアメリカアリゲーターに似ていることに由来する。最大で全長3.0 m程度まで成長すると言われる。
アリゲーターガー | ||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
保全状況評価[2] | ||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ![]() | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||
Atractosteus spatula (Lacepède, 1803) | ||||||||||||||||||||||||
シノニム[3] | ||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Alligator gar | ||||||||||||||||||||||||
![]() 分布域 |
体は背面が茶色かオリーブ色で、腹面は薄い灰色か黄色である。メラニン含有量が多く、黒っぽくなる個体もまれに見られる。アリゲーターガーの鱗は他の魚の鱗とは異なり、骨のような菱形のガノイン鱗で、縁が鋸歯状になっていることが多く、エナメル質のような物質で覆われている。ガノイン鱗は貫通することがほとんど不可能で、優れた防御力を発揮する。他のガーとは異なり、アリゲーターガーの上顎には獲物を突き刺してつかむための大きく鋭い歯が2列に並んでいる。アリゲーターガーは待ち伏せ型の捕食者で、主に魚食だが、水面に浮かんでいる水鳥や小型哺乳類も食べる。
アリゲーターガーの個体群は、生息地の破壊、無差別な駆除、無制限の漁獲の結果、歴史的生息域の多くから絶滅した。現在、個体群は主に米国南部からメキシコにかけて分布している。淡水湖や沼地からメキシコ湾沿いの汽水湿地、河口、湾に至るまで、さまざまな塩分濃度に適応できる。
ほぼ半世紀にわたり、アリゲーターガーは「trash fish (ゴミ魚)」[7]またはスポーツフィッシングに有害な「迷惑種」と見なされ、米国の州および連邦当局によって駆除の対象となっていた。1980年代には、生態系を維持するために必要な生態学的バランスについての理解が深まり[8]、アリゲーターガーは生態系の重要な要素であるという認識が浸透した[9]。時間の経過とともに、アリゲーターガーは州および連邦機関によってある程度保護されるようになった。法律の下でも保護されており、州法または規制に違反した場合、特定の魚種の州間取引での輸送は違法となる。いくつかの州および連邦機関は野生個体数を監視しており、一般市民を啓蒙するためのプログラムを開始している。アリゲーターガーは、連邦の孵化場では個体数の増加を目的として、大学では研究目的で、メキシコでは食用として、池、プール、水路、タンクで養殖されている[10]。