利用者:Pacifio/夜 (小説)
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『夜』(よる、英: Night)は、第二次世界大戦末期のヨーロッパで、ナチス・ドイツのアウシュビッツ強制収容所とブーヘンヴァルト強制収容所で1944年から1945年の間にエリ・ヴィーゼルが父親と体験したホロコーストの記憶を綴った1960年の自伝的小説である。本書で、 ヴィーゼルは故郷のシゲトでナチスが設けたゲットーでの生活から、いくつもの強制収容所への移住までの出来事を述懐する。この間、ヴィーゼルの父親が収容所で日々衰弱していくにつれ通常の親子関係は逆転し、当時10代のヴィーゼルが父親の世話をしなければならなくなった[1]。ヴィーゼルの父親は、赤痢および打撲によって1945年1月に死去し、火葬場へ送られた。本書は、1945年4月に米軍がブーヘンヴァルトを解放する場面で終わる。
著者 | エリ・ヴィーゼル |
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言語 | 英語 |
出版日 | 1956年(イディッシュ語版) |
英語版出版日 | 1960年 |
ISBN | 0-8090-7350-1 |
次作 | 『夜明け』(1961年) 『昼』(1962年) |
戦後、ヴィーゼルはパリに移住し、1954年、自分の経験を綴った862ページに及ぶイディッシュ語の原稿を完成させた。この原稿は、245ページの書籍『そして世界は沈黙を守った』(Un di velt hot geshvign)としてアルゼンチンで出版された[2]。小説家のフランソワ・モーリアックは、ヴィーゼルが同書を出版してくれるフランスの出版社を探すのを手助けし、1958年、深夜叢書から178ページの『La Nuit』が出版され、1960年、ニューヨークのHill & Wang(英語版)から116ページの翻訳版が『Night』として出版された。
本書は30言語に翻訳され、ホロコーストの文献として特に重要な作品の1つとされている[3]。本書のどの部分までが事実であるかは定かではない。ヴィーゼルは本書を自身の体験をありのままに綴ったものとしているが、専門家は、本書を脚色のない事実の記述とみなすことに難色を示している。文芸評論家のルース・フランクリン(英語版)は、イディッシュ語からフランス語への翻訳の際に行われた本文の削除によって、本書が怒りのこもった歴史的証言から芸術作品に変わってしまったと述べた[4][5]。
本書は、『夜』、『夜明け』、『昼』の三部作の1つであり、日暮れから1日が始まるというユダヤ教の伝統に基づいて、ホロコーストの暗闇から光へのヴィーゼルの心境の移り変わりを表現している。ヴィーゼルは、「私は『夜』で、この出来事の終わりを示したかったのだ。人間も、歴史も、文学も、宗教も、神も、すべてが終わりを告げた。何も残らなかった。しかし、私たちは再び夜から始まるのだ」[注釈 1]と述べている[6]。